無才の終わり

「よし!引越し終わり!」

風香がそう言うと

「おめでとう!」

希蘭がそう祝福する

「手伝ってくれてありがとうね」

「大丈夫、大丈夫、暇だったから、、、それにしてもいい写真だね」

希蘭がそう言って見る先にはは風香のスーツや和服姿の写真が飾られていた

「来年は火凛と山門が学園に入学するからその時にまた写真が増えることになると思うよ」

「風香の妹かー、強いの?」

「中々にヤバいらしいってお母さんが言ってた、、、それにしてもお母さん大丈夫かな?」

風香の顔が曇る

「体悪かったのに神威使ってさらに体調崩したんだっけ?」

「うん。死ぬことはないらしいけど、、、お母さんに迷惑かけちゃった」

「そっか、、、大切にしなよ」

そう言う希蘭の目は羨ましそうであった

「、、、希蘭ちゃんに二つ名が無い理由ってなんなの?」

「え?」

「気になっちゃって。百花ちゃんには二つ名あるのにそれよりも強い希蘭ちゃんには無いのが気になっちゃって」

風香は希蘭の手を握ってそう聞く 逃す気は無いと言った感じに

「えっと、、、うん、話しておいた方が良いよね」

そしてその雰囲気に希蘭は話すことを決める

「元々私は幼少期から才能があって鳳凰家の分家の朱雀家っていう血筋も合わさって将来は超一流の巫女になると鳳凰家含めてお兄ちゃん以外の親戚家族から期待されてたんだ。でも、お兄ちゃんだけは逆に期待をしていなかった。でもその時はほとんど気にしていなかったし当たり前だと思ってた。だってお兄ちゃんはとっても頭が良くて普通の家だったら賞賛されていたはずなのに私のせいでむしろ冷遇されていたから。でも違った。私が8歳の時に心臓病になっちゃって剣をまともに振ることが出来なくなってしまうだからから日に日に生命の灯火が消えていくことになった。手術も無理だった。今まであんなに見てくれてた親戚家族は一度たりともお見舞いに来てくれなかった。そして私はこのまま孤独に死ぬんだって感じた時にお見舞い来てくれたのがお兄ちゃんだった。お兄ちゃんはその時高校入試が近かったのにお見舞いに毎日来てくれた。しかも私がいなくなって家族からの期待を1人で受け取れたのにもうすぐ死ぬ私を見ていてくれたんだ」

そう言う希蘭の顔を本当に嬉しそうだ

「希麟さん良い人、、、いや、そんな言葉に片付けて良いことじゃないよね。なんでいえばいいんだろ」

風香は希麟のことをどう評すればいいか分からない

「零さんが言うには{ただの馬鹿}だって」

そんな風香に希蘭は面白そうにそう言った

「はい?」

当然風香は困惑する

「馬鹿は真っ直ぐに1つのことしかできない。だからこそ一番大切なものを守ることができる、、、だって」

「あー、なるほど」

(焔ちゃんみたいだなー)

「と言うかあれ、、、確実に愛の告白だったよね?」

ふと数日前の記憶を思い出しては風香はそう呟く

「え?!風香、誰かに告白されたの?!」

希蘭は驚愕する

「た、多分、、、幼馴染に」

「風香の幼馴染って、、、防人焔以外には?」

「立花の娘にそんなのいると思う?」

風香は笑ってそう言う

「だよねー、、、え?逆玉じゃん!だったらその告白受ければよかったのに」

「私は焔ちゃんと巫女として隣に立ちたいからまだ受けれないよ」

風香がそう言うと

「と言うことは受ける気はあるんだ」

希蘭はそう呟いた

「桜吹雪!」

ドカン!

そして次の瞬間希蘭は光に包まれ扉ごと廊下に飛ばされた




「それで扉を破壊したと?」

「はい」

正座する風香を神柱は絶対零度の目で見下ろす

「ここに所属して1日目に部屋を壊す奴は偶にいるがまさか風香がやらかすとはな」

「いやー、、、手が滑っちゃって」

「手が滑ってドアを破壊するな!!」

「すいませんでした!!!」

風香は平謝りだ

「そう言う神柱は聞いた話だとここに来て5分で塔の正面玄関から扉殴り飛ばして破壊したって聞いたけど?」

そんな中横から春奈がそう言ってきた

「あれは僕のノックに耐えられない扉に問題がありました」

「ぇえ、、」

(可愛い顔してとんでもない武闘派なんだなー)

「そういえば希麟さんのそう言う浮いた話全く効かないな、、、嫌がらせに合コンに放り込もうかな」

「、、、」

(こいつただのクソガキだ!!)

「は?殺すぞ、お兄ちゃんは私の物なの!」

「はー、ブラコンキツイ」

「お前もシスコンだろ」

バチバチバチ

二人の間にまるで火花が散ったような空気感になる

「、、、あのさ神柱くん。嫌なこと聞くかもしれないけど神柱君って鳳凰家とその関係、、、」

そんな中、風香がおずおずとそう聞くと

「ああ、、、お姉ちゃんは僕にでろでろに甘かったから。流石にシスコンになるだろ。あんな家の環境じゃ」

神柱はそう自嘲するように言った

「えっと、、、神柱さんはどういう経緯でここに来たの?」

「元々希蘭さんが零に医者としての腕を買われてここに来たんだけどその時に俺も誘ってくれたんだよ」

風香の問いに神柱はそう答えた

「それ親怒らなかったの?」

「普通にブちぎれたね、、、そしたら零がえげつない手を使って黙らせたんだよな」

「えげつない手?」

「教えれないほどのえげつない方法だったよ、、、うん」

神柱は遠い目をしてそう言う

「え゛?」

「零さんの闇はとんでもないって噂だからね、、、はは」

「え゛?!!」

神柱と春奈の言葉に風香は絶句する

「まー、これから頑張りなよ。百花姫様」

「これから頑張って秘書仕事頑張らないとな~」

(焔ちゃんにあんな啖呵切ったんだから頑張らないと)

そう考える風香は故郷の方角を見るのであった





ドカン!!!

「これじゃー、あいつに勝てない」

血まみれの焔の周囲には死屍累々の学生が居た

「高等部の生徒も全員倒しちゃうなんて」

側で見ていた白はそう呟く

「あいつならこんな怪我せずに全員倒していたはず」

「零君でもさすがに、、、いやでもやりかねないわね」

零のヤバさを思い出しながらハクはそう呟いた

「お母さん!やろ!」

「はー、全員治療したらね」

「弱いの無視して良くない?」

焔は名前に似合わない冷たい目で倒れ伏す巫女見習の学生を見る

「、、、本当に私の子供時代みたい」

(私の時は名鏡と旦那が私を止めて宥めて導いてくれたから、、、家柄だけの私と違って焔は才能がある。どうにか私が導かないとね)

白はそう覚悟を決めるのであった

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