穢れ浄いの無才少女~確実に絶対ヤバいお偉いさんによって自身もヤバい少女に~

晴れ雨

無才

キン

「あっ」

刀が弾かれる

「そこまで!勝者、防人焔」

「、、、ありがとうございました」

「あ、、、ありがとうございました」

打ちあっていた2人は勝者の少女はそのまま模擬戦場に残り、敗者の少女は模擬戦場から出た

「よっわーい」

「なんであんな子が」

「浄化ノ巫女なんかなれるわけないのに」

敗者の少女には小声ながら侮蔑の声が掛けられる

「福岡の汚点が」

「っ!」

{福岡の汚点}それが彼女の二つ名であった





「はー、、、いくら焔ちゃんが相手だからって1撃で終わるなんて」

敗者の少女は学園内にある森林の中落ち込んだ様子でそう息を吐いた

(筋力無い。運動できない。魔力量少ない、、、無い無い尽くしのこんな私が強いわけないよね)

少女は悲しそうな顔をしながら考える

「でも頑張らないと、、、高等部からは給料が出るからそれさえあれば林斗と火凛と山門を学校へ通わせるためのお金が稼げるんだから」

しかし確固たる目的がある少女はそう言って自信を奮い立たせる 

「一週間後の進級試験で高等部へ進級できればね」

しかしそんな少女の後ろからそんな声が響いた

「あ、焔ちゃん、よくここがわかったね」

「風香の行く場所私には想像できる」

「そっか。凄いね」

「福島の神童と言われた私にとっては普通よ。それよりも今の言葉、、、本当に実現できると思ってるの?」

焔はあきれた様子でそう風香に問う

「、、、」

そして風香はその問いに顔を下に向ける

「風香が弟妹のためにお金が必要なことは分かってるよ。でも風香には浄化ノ巫女としての才能は一切ない。努力していることは私が一番知ってるよ。でも風香には本当に才能がない。そんなんじゃ高等部になって穢れと戦うことになったら真っ先に死んじゃうよ、、、それにそもそも高等部への進級すらできるか怪しいのに」

「わかってるよ。でも私はお金が必要なの」

風香ははっきりとそう言う

「だったらこないだの話があるんでしょ」

それに焔はそう返す

「っ!!」

そして風香ははっきりと顔を顰める

「私の側付きとして働く。私の家は防人家よ。給料は前払いで風香の弟妹の学費ぐらいは出せるわよ」

日本は浄化ノ巫女の始まりの地とされており世界トップクラスの巫女の質を誇っており世界巫女管理局の本拠地も日本の横浜にある

そして日本社会において防人家は他の5つの名家も含めて六神家は世界的に見てもトップクラスの権力を持っている。

「、、、」

「これは幼馴染の情けとかそういう理由じゃないわ。純粋にあなたの能力を評価しての誘いよ」

「、、、私は幼馴染として焔ちゃんの隣に立っていたい」

「、、、側付きとしても隣に立っていると言えるわよ」

風香の言いたいことを理解したうえで焔はそう返す

「、、、、、、また明日ね。焔ちゃん」

風香はその場を去った






「ただいまー」

「「お帰り!!」」

風香が夜に帰ると林斗と火凛と山門の3人が出迎えてくれた

「洗濯は終わってるよ!」

「掃除も!」

「あと買い物もしといた」

「ありがとう!!それじゃーご飯作っちゃうね」

立花4姉弟はそれぞれ家事を分担している 本来なら両親の仕事なのだが

「4人ともありがとうね」

「「お母さん?!」」

「起きて大丈夫なの?!」

「大丈夫よ。今日は調子が良いから」

風香達の母親はとある非常に重い病を抱えていた

そして父親は

「そうだ!お父さんの仏壇に帰って来たってあいさつしなくちゃ」

すでに死んでいた




「お父さん。今日も私は元気に帰って来たよ」

風香は仏壇に手を合わせる

(そう言えばもう少しで2月14日、、、お父さんの命日か。8年前の穢災でこの家は、、、)

「それを私が元に戻すんだ!」

風香は確固たる意志を持ってそう呟く

「さてご飯作りますか」

そして夕飯を作るため台所へ向かうのであった





「はい!回鍋肉に炒飯、あと小籠包とスープだよ」

「「おー!!」」

完璧な中華定食を食卓に並べると弟妹達は歓喜の声を上げる

「「美味しい!」」

「ふふ。よかった」

「本当に風香は料理が上手ね。どこからそんな才能が出てきたのか謎だわ」

母親が不思議といった様子でそう言う

「う~ん。焔ちゃんが美味しいって言ってくれたからかな?」

「焔ちゃんかー。そういえばこないだ白ちゃん、、、焔ちゃんのお母さんが風香のことを焔ちゃんの側付きにしたいって話があったんだけど」

「えぇ?!!」

突然の発言に風香は驚愕する

「風香の巫女としての才能は理解しているけど私と焔ちゃんが巫女になることに関して大反対だからって」

「あ、あー、、、」

(外堀埋めにきてる!しかも私が才能ない事を使わずに!配慮できてる!)

風香は素晴らしい外堀埋めに顔を硬直させる

「お母さんはそれが1番嬉しいわ。お金の問題が解決するからじゃない。風香の未来を考えたら、、、ね」

母親はそうなって欲しいと言った様子で言う

「ただ風香が焔ちゃんの隣に巫女としての立ちたいと言う気持ちも分かるから、、、風香の考えに任せるわ。ただ私は白ちゃんの話を受けて欲しいとだけは覚えておいて」

しかし最後は風香の意思を尊重すると伝える

「うん。お母さん」

そして2人の会話が終わると

「「、、、え?なにこのシリアスな雰囲気」」

弟妹がいきなりのシリアス話に顔を顰める

「「あ、ごめん」」

「ところで側付きって何なの?」

長男の林斗が気になった様子でそう問う

「側付きっていうのは1人の巫女の身の回りの世話全般を行ういわばメイドさんね。ただ側付きというのは巫女の仕事について行くから殉職率が1%と高いのよね。ただ危険度が高いことと側付きを付けるほどの実力か名家だから給料は良いのよね。初任給で平均30万。大卒の初任給平均が20万ちょいだから破格よね」

「ちなみに警察の殉職率0.003%で浄化ノ巫女はなんと驚き50%だよ」

それに2人がそう答える

「「へー!」」

「ましてや防人家のそれも防人家の最高傑作として福島の神童と言われる焔ちゃんの側付きだから凄まじいことになるでしょうね」

「いいなー。そんな仕事があるなら焔お姉ちゃんの側付きになりなよ!」

「そうだよ!安全だよ!」

「苦労しないで済むよ!」

弟妹は勧めるようにそう言う

だが

「私は巫女として焔ちゃんの隣に立ちたいからいやだ」

風香はそう返すのであった

「「えー!」」

「そういう考えがあるから焔ちゃんがも風香のことを選んだのかもね」

母親はどこか諦めた様子でそう呟くのであった

「ご馳走様でした。火凛、お風呂沸かせておくからさっさと入ってね」

「はーい」

夕食を終えた風香は自室へ向かう




「よし。刀の手入れ終わり!」

風香は日課のの手入れをしていた

(高等部へ行かなかったら浄化刀を返還しないとだからこの刀ともお別れか)

浄化刀という特別な刀は浄化ノ巫女のみが所持を許されるものなのでその道から外れた場合は返還しなければならない

「座学・運動・戦闘力の3つのテストでそれぞれ合格点取らないと、、、行けない。頑張らないと!」

そう言いながら刀を鞘に戻すとそのまま机に座り勉強を始めるのであった



そしてそのまま

「、、、ちゃん、、、お姉ちゃん」

「ん?」

「もう朝だよ!」

「え?!寝ちゃってたの?!」

いつの間にか眠ってしまい朝になっていた

「朝ごはん作っておいたよ。早く食べて学校行かないと!」

山門の言葉に

「あ、ありがとう」

ビュン

風香は大急ぎで準備をするのであった

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