どこかで会ったような……
「なんだよ、これ……」
体から流れ続ける赤い液体。
止まることなく溢れ出ている。
腰まで伸びた長い髪。
華奢な身体つき。
まだ年若い相貌。
女の子だ。
女の子が、倒れている。
多分、年齢も俺と変わらないかもしれない。
いや、彼女が生きていればの話だが。
「あ、ぁぁ……」
歯がカチカチといって止まらない。
脚がガクガクと震え続ける。
当然だ、何気なく後ろを振り返ったら血まみれの女性が倒れていたのだ。
こうなって当然だろう。
「……そういえばこの子……どこかで……」
ふと、少女の顔に既視感があることに気づく。
「そうだ、朝にぶつかった人だ……」
朝の登校時に、瑠璃を見送ってすぐに誰かに当たってしまった。
そう、その人だ。
なんとなく気になっていたのを覚えている。
自分と変わらない歳をしているように見えたのに、学園の制服も着ずに歩いていた。
意味が分からない。
なんで?どういうことだ?なんでその子がこんなところにいる?本当にあの黒ネコがここまで連れてきたのか?なんで?なんで?なんでなんでなんでなんでなんで
「う、ぅぅ……」
「っ、大丈夫ですか!?」
ほぼ死体同然に見えていた少女の身体から声が発せられた。
生きていたんだ!
すぐに駆け寄る。
そうだ、今は考えている場合じゃない。
まずはこの子を助けることを優先しないと。
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