blood 血の誓い
さくらもち
第1話始まりは夏の空
季節は夏、外を覗けば空は雲ひとつない晴天だ
眩しい光が、少しだけ空いた窓の隙間から、生ぬるい風と共に入りこんでくる。
カーテンが揺れるたびに、部屋を照らす太陽の光。
その光が眩しくて、そっと目を細めれば、生ぬるい風がふわりと頬を伝うのが分かった。
淡い水色の髪が、ふわりと舞い上がると、ほのかに甘いシャンプーの香りが漂い、ふわりと風で、軽く浮いた髪を気だるげに手で整えた。
ベットの上から、こうやって窓の外を眺めるのは、もう何度目になるだろうか?
もう季節は夏だと言うのに、季節外れの風邪をひき、拗らせてしまった、この自分の自己管理の甘さに、だんだんと嫌気がさしていく。
この日の為にと、体調管理には十分に気を付けていたつもりだった
念願の高校に入学し、初めての体育祭に向けて友人達と、まだかまだかと心待ちにしていた矢先、こうして病に伏せている自分に腹が立つ。
昔から普通よりも体が弱い事は、重々承知しているが、体育祭に向けての準備やイベントを、誰よりも楽しみにしていたのは間違いない
本来ならば、一緒にリレーや競技にだって、皆と一緒に、参加したかった。
けれど、こうしてすぐに体を壊しては寝込んでしまうのだから、きっと周りに迷惑をかけてしまうのは目に見えている。
今も、自分の代わりに代打で、誰かが頑張っているのだと、そう思うだけでとても申し訳ない気持ちでいっぱいだ
しかし、どんより沈んだ自分の気持ちとは裏腹に、空はこんなにも晴れやかで、明るい
本来ならば、望んだ天気のはずなのに、今の自分はただ、惨めな気持ちが募って心の中は曇りだ。
いつも、肝心な時にこうして体調を崩し寝込んでしまう、この体が本当に恨めしい
どうせなら健康になりたい、そう昔から願ってきたが、なかなかそう簡単には行かないものだ。
そんな事を思いながら室内に目を戻せば、静かな部屋の中、カチカチと音を鳴らす時計が目に入った
時刻は丁度お昼、普段ならばとっくにお腹の音が鳴るのに、今日は全く音がなる気配がない
そりゃそうだ、だって食欲も、気力もないのだから。
とりあえず、最度寝る事を選択した私は、この重たく、気だるい体をゆっくり動かし、下にずり落ちた掛け布団を掴むと、頭から羽織り布団の中に潜り込んだ。
夏なのに、こんなに寒く感じるなんて
全くおかしな話だ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます