スキル「サイコロ」



 空は暗雲に覆われ、時折鳴る雷が俺の思考を乱す。

 魔王を倒せば世界は平和になり、地球に帰ることが出来るかもしれない。本当に帰れるか分からないが――



 ピロン!

 サイコロたーいむ!

 ささ、俺さまサイコロを振ってください!


 (ポンコツ女神め……)


 どうしたんですかぁ?

 俺さまはサイコロを振るしかありませんよー?

 じゃないと死にますよー?


「わ、わーたよ、振りゃいいんだろ振りゃ」


 何が出るかな~?笑


 (わろてるやないか……)


 おっ!

 おおおおおおっ!

 【異世界永住権】が出たよ!

 よかったじゃん!


「いらんがな……。俺は地球に帰りたいんだ。ポンコツ女神め、スキル「サイコロ」のおかげで何回この世界をやり直してると思ってんだ? 俺は1000000回目の正直で魔王を倒し地球に帰るんだ!」


 いや~ん 寂しい~ 俺さまのいけず~笑


 (わろてるやないか……)


「お前が何を言おうと俺はスキル「サイコロ」で魔王を倒す!」


 ま、頑張ってな! 私は茶でも飲みながら見守ってますわ 笑


 (わろてるやん……。こ、こんにゃろ、今に見てろよ……!)




『魔王の部屋1000000回目』


「おっと入る前はノックしないとな……あ、紳士スキルを出してしまったよ……」


 中に入ると、1000000回目の魔王は俺に言う。


「また、お前かよ。ええ加減にせえよ」

「好きで来とるんじゃないけぇ。お前を倒さんと地球に帰れないんだよ。解れっ!」

「しらんわっ! 私は今忙しいねん! ネットショッピングに夢中やねん!」

「なんでやねんっ! 俺はあんたを倒しに来たんやわ 今度は本気やで! いくぜ!」


 俺はサイコロを振った。


 【水魔法が魔王を襲う 反射! 俺氏、瀕死!】


「バッキャローッ! 反射とは卑怯な!」

「ええねん、魔王は最強やねん」

「お前なぁ、そんな高級玉座に座りっぱなしで……太るで?」

「……!」


【魔王に1000000のダメージ、瀕死】


 (お、今回は勝てるかも……!)


「私が太っていると?」

「だから、を注文しているんだろ?」

「……!」

「図星だなっ!」


 (よーし、トドメをさそう!)


 俺はサイコロを振った。


 【やせる薬】が出た


 (あふぉかっ!)


「お、ありがとうの~♪」

「お前にはやらん」

「返せ! それを私に飲ませろ!」

「無理っ!」


 【俺氏、やせる薬を飲む。体重10キロ減】


「キャハハッ! げっそりしとるぞ俺氏!」

「く、くそ!」


 俺はサイコロを振った。


 (来い! 太る薬!)


 【太る魔法】を覚えた!


「魔法? よ、よーし早速使うか!」


 テレテレテレッ! ボン!


 【俺氏、20キロ体重増】

 【魔王、20キロ体重増】


「き、きさまーっ!」


 【魔王の無限ビンタ!】

 【俺氏、死亡!】


 テレテレ テレテレ テレテレ テレテレ テレレー



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