とりあえず、鳥になりたい
だるまかろん
トリあえず
「とりあえず、鳥になりたい。」
彼女は、鳥のように羽ばたけたらいいのになと考えていました。
そんなある日、彼女はいつものスーパーマーケットに行きます。特売セールの商品がずらりと並んでいます。
「いらっしゃいませ。こちらの商品はいかがですか。こちらの商品は、背中に着けるだけで、鳥のように羽ばたくことができる優れものですよ。」
「鳥のように羽ばたける商品?」
店員は背中に羽を着けました。すると、店員の足元が空中に浮いたのです。
「素晴らしい商品ですね。私も試したいです!」
彼女は商品を購入し、背中に羽を着けました。
「わああ、背中に羽が生えたみたい!本当に舞い上がった!」
彼女は鳥のように羽を広げました。すると、彼女の体は浮き上がり、大空を舞います。
「鳥になりたかったの!」
彼女は感動し、大喜びしました。しばらくして、飛ぶことに疲れた彼女は地面に着地しようと考えました。
「あれっ、どうしてなの……地面に足がつかないし、羽を外すことができないわ。」
彼女の背中についた羽は、彼女の体にくっついてしまい、離れません。地面に足をつけることもできず、彼女は鳥のように羽ばたきつづけるしかありませんでした。
「どうしたらいいの……、お母さん、お父さん、誰か助けて!」
助けを呼びましたが、誰も来ませんでした。彼女は羽ばたき続けました。やがて彼女は歩けなくなり、その場に倒れてしまいました。
「もう鳥にはなりたくないや……。」
彼女はつぶやきました。買い物を終えた母親が通りかかって、彼女を見つけました。
「こんなところに、鳥が倒れているわ。心配したのよ。」
母親には、倒れた娘を背負う力はありませんでした。母親は救急車を呼びました。
「ピー、ピー、ピー。」
彼女は口笛を鳴らします。彼女は母親を呼びました。まるで鳥のようです。鳥のようになった娘を見て、母親は気味が悪いと思いました。本当に私の子供なのかしらと疑っていました。
救急車が来て、彼女は一命を取り留めました。背中の羽を取り除く大掛かりな手術でした。手術が終わって、彼女は病室に運ばれました。母親はそれを見ていることしかできませんでした。
彼女は手術のあと、一日中眠り続けました。
「先生、娘は、何時に目を覚ましますか。食事はどうしたらいいですか。娘はいつから歩けますか。お金なら払います、どうか娘を救ってください。」
母親は医者に懇願しました。
「早ければ明日の朝には目を覚ましますよ。娘さんの体調次第ですね。」
医者は淡々と言いました。母親は少しホッとしたようでした。
次の日になりました。彼女は目を覚ましました。
「目を覚ましたわ!」
母親は驚き喜びます。
「あなたは鳥になって倒れていたのよ。」
母親が説明すると、娘は状況を理解しました。
「鳥になれば、幸せになれると思ったの。」
娘は涙を流しました。母親は娘を抱きしめました。
「とにかく、無事でよかったわ。生きていれば、もうそれだけで充分よ。」
「お母さん……、ありがとう。」
娘は母親に感謝を伝えました。彼女の背中には、大きな手術の跡がありました。
「もう鳥にならないで。あなたは私が産んだ人間よ。」
「鳥になるのは、こりごりだわ。」
娘は笑っていました。窓の外では、小鳥がピーピーと鳴いていました。それは、桜の花びらが舞う温かい春の午後の出来事でした。
とりあえず、鳥になりたい だるまかろん @darumatyoko
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