16.王宮図書館、イイ!
「うわああぁ……っ!」
本、本、本、本……!
全てが本で埋め尽くされている!
―――私が求めていたのはこれよ!!
「どうだ、王宮図書館は?」
「すごいです! すごすぎです!」
王宮図書館にやって来た私は感動する。
―――天井高っ! 広っ! すごっ! 最高!!
木の匂い、紙の匂い、インクの匂い……すべてが最高にいい!
ところどころにある緑の植物がまたいい。
―――住みたい。
まさに天国。
すぐに心が穏やかになって行く。
ずっと見ていても飽きないんだろうなぁ。
―――王宮図書館、イイ!
「あの、ノーブル様。ここにある本を読むことは……」
「いいに決まってる。なんのために王宮図書館に来たんだ? それともユラは見るだけでいいのか? それだけで満足か?」
―――そんなわけありませんね! はい!
「俺はこれから予定が入っているから少し席を外す。先に王宮図書館について説明と見学だけ手短にするぞ」
「よろしくお願いします!」
ということでノーブル王子の説明付き(かなりレアな)王宮図書館見学から。
どこにどんな本がどんな並びで置かれているのかをノーブル王子に教えてもらった。
あぁ、これだけでも最高……。
―――でも、意外だな。
王宮図書館はすごく広くて大きい。
所蔵数は万を超えていることだろう。
なのにどうして―――
「どうして俺がこんなことを知っているのかって感じの不思議な顔をしてるな」
「えっ!? そ、そうでしたか?」
「否定しないんだな」
「あっ、すみません……」
「謝らなくていい」
俺は、とノーブル王子が言った。
「静かな場所が好きなんだ。昔はよく自室を抜け出してここへ来ていた。その時に並び方とか所蔵の系統について自然と知ることになったんだよ」
「そうだったんですか」
―――抜け出してって……。
前世の小説内の王族あるあるその一、王宮内でのかくれんぼ&出会い。
勉強や魔法の授業が嫌で部屋を抜け出し、小さな体を活かしてかくれんぼをする王子が王宮にやってきた令嬢と出会い恋に落ちて……などといった展開がある。
昔はということは今はやっていないのだろう。
安心安心。
ほぼ100%ないと思うがその出会った令嬢が私になった場合、
しかも人によっては結婚に発展することもある。
―――そんなの絶っ対にやだ!!
そんなことが起こってしまえば私の読書時間がなくなること間違いなしだ。
必ず回避しなければならない。
王宮図書館はいいのだが(むしろ大歓迎だが)そういう謎の展開が起こる可能性も否定できない。
だから王宮&王族関係は好きじゃないのだ。
ちなみにノーブル様は別だ。
私の読書生活を後押しする支援をしてくれる人は王族だろうがなんだろうが関係ない。
けど
一通りの説明が終わり、ノーブル様とは数時間後にまた会うことになった。
それまでは私の自由な読書時間!
なにを読もうか迷ってしまう。
けどまずはこの王宮図書館でしか読めない本を読まないとね!
時間は有効に活用する。
読む順番はもう考えてある。
いつ来れるかわからないこの王宮図書館を満喫しなくては来た意味がない!
私はノーブル王子に教えてもらった本棚へ移動する。
―――たしかこのへんに……あった!
しかし見つけた本は私の背よりも高い位置にあった。
頑張って背伸びをするが届かない。
―――あとちょっと……!
すると―――
「これであってる?」
「! はい!」
横から他の人の手が入り、読みたい本を取ってくれた。
「あのっ、ありがとうございま……す……」
しかし、私の運が悪いのか、はたまた相手の運が強いのか。
「見かけない顔ですね」
金髪碧眼の紛うことなき王道の色アリキャラクターが私の視界に映る。
―――で、で……
「三日ぶりでしょうか。リンドール公爵家のユリアーナ・リンドール嬢?」
甘い笑みを浮かべた貴人。
普通の者ならば桃色の悲鳴を上げて卒倒しているだろう。
だが今はそれどころではない。
「覚えてないとは言わせませんよ? ブライト・コルトレッド・アンリィリルです」
―――出たーーーーーっ!!
一番警戒していた人物……ブライト王子が私の前に現れたのである。
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