酔拳

羽弦トリス

第1話修行開始

白髪の老人が、庭に設置してある椅子に腰掛け、テーブルの上の芋焼酎をストレートで飲んでいた。

鼻の頭は酒やけで赤い。

たまに、ため息をつきながらグラスを呷った。

そこへ1人の若者が老人に近付いてきた。

20歳前後であろう若者は、どちからと言うと、目鼻立が整っていてイケメンだ。


「あ、あなたが、最強の拳法・酔拳の達人ヨネイーさんですね?」

老人は振り向き、

「フンッ!ガキがワシに何の用だ」

「僕の名前はゼットリー・チェン。2年前に悪党に、父親を殺されました。その仇討ちをする為に、あなたの最強の拳法・酔拳を習得したいんです。どうか、弟子にして下さい!」

ヨネイーは、また、芋焼酎を呷り、

「ワシは、弟子は取らん」


「はいっ。分かりました」

若者は去ろうとした。

「待て待て、諦めるのが早すぎる」

「そうッスか?」

「何だっけ?父親の仇討ちをしたいんだろ?」

「はい。弟子にして下さい!」

「断わるっ」

「じゃっ、諦めます」

「ちょっと待て!悪党にお父さんを殺されたんだよね?」

「はい」

「背負っているのが、重いよね?そう言うのは、映画じゃグイグイ来るんだよ」

「僕はZ世代なんで、オリジナルの酔拳観たこと無いんですよね。じゃ、弟子にしてくれますか」


ヨネイーは、1人芋焼酎を飲みながら、

「ワシも若い頃に、悪党共に家族を殺されてな。毎日、酔拳の修行を積み、復讐をしたん……!?」

ゼットリー・チェンは、ホットドッグを食べていた。

「マジかぁ〜。今、ホットドッグ食べちゃいかんタイミングだろ?」

「朝めし食ってないんっスよ」

「分かった。弟子にしてやろう」

ゼットリー・チェンは喜んだ。

「やった、これで取り敢えず仇討ちは出来る」

「じゃ、今から修業だ!」

「イヤ、来週の月曜日からで、お願いします。土日祝は彼女と過ごすんで、それと、修行は朝の10時から12時の2時間で頼んます、師匠」

「え?1日2時間?」

「えぇ〜、まぁ」

「分かった、それでいいや。月謝は月三万で良い」

「月謝取るんスか?」

「当たり前だ!」

「じゃ、ママに頼もう」


こうやって、完全、土日祝休み、1日2時間の修行が始まった。


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