TSしてしまったので、女の子になってもダンジョン配信者続けます。~妹に薬を飲まされて女の子になったけど薬の力でどんどん強くなります~
ぷにたにえん
第1話 女の子になっちゃった!
なんだかおかしい。服がだぼだぼになっているような……。あと、胸元もなにか大きなむにゅむにゅしたものがあるというか、股もなんだかスースーする。身長も、心なしか縮んでいるような。
時を夏休み中盤。高校に入ってから初めての夏休みを早々に宿題を終わらせてクーラーのきいた部屋でだらだら寝ていた僕は体の変化に気付いて起き上がった。すると、胸がたゆんと揺れた。……たゆん?
恐る恐る下を見て、僕は仰天した。昨晩までなかったはずの平らな胸には大きなおっぱいができている。慌てて股間を触ると、ない。男の象徴がなかった。なにが起こったのか寝起きでうまく回らない頭で考える。
僕は
昨日は何をしてたっけ……。バイトしてないのをいいことに友達にも遊びに誘われていなかったからゲーム三昧で、弱冠十一歳で大学を卒業した天才科学者である妹の天内里奈が珍しく研究所から帰ってきていたから、差し入れのジュースを飲みながらゲームをやって寝たはずだ。
それからは特に変化もなくて、深夜になって眠くなってベッドに入って寝た。そのはずだ。
「あれ……僕、もしかして……」
「お兄ちゃん、薬効いてるー? おお、実験成功! これは画期的なTS薬作っちゃったかも!」
「やっぱりお前のしわざか!」
俺はすっかり女の子になってしまった声で叫ぶ。
里奈は大学を卒業したのち、怪しいTS研究所なるものに二年勤めていた。いつかその毒牙が自分に向くんじゃないかと思っていたが、やっぱりか……。というか、なんで僕?
お世辞にも男らしいとは言えない背丈に声と顔。元々女みたいと友達にからかわれていたのがコンプレックスだったのに、それを本当に女にするやつがあるか!
「いやー、だってお兄ちゃん可愛いんだもん。女の子になったらさぞモテるだろうなーって思って」
「おいこらふざけんな! 元に戻して!」
「残念。今回は我がTS研究所が存続の危機を賭けて作り出した永久TS薬なのだよお兄ちゃん」
「ありがた迷惑すぎる! そういうのって研究所の人間がやるもんじゃないの!?」
「いやー、それが男性諸君に使ってもまったく効果がなくてさ。中性的だったお兄ちゃんなら効くんじゃないかって仮説を立てたの。こんなにうまくいくとは思わなかったなー」
いくら研究所の危機といっても、家族に手を出すなんて最低すぎる。これで女の子から戻れないなんてことがあったら……。
「あ、お兄ちゃん。戻れるかもとか思ってるかもしれないけどさっき言ったように永久TS薬だから元に戻れないよ。大丈夫。戸籍とかはわたしに任せてくれれば」
なん……だと……。じゃあ、もう男には戻れないってこと? そんなのあんまりだよ。なんでも研究を優先する妹だしだから家にもろくに帰ってこなかったけど、越えちゃいけない一線は越えてこないと思ってたのに。
名前も中性的なのも相まって、理央くんから理央ちゃんである。僕はいったいどうすればいいんだ。学校にも恥ずかしくて行けないぞ。
「ああ、大丈夫。遺伝子操作の段階でどれくらいのカップ数になるかわかってるし、服も下着も用意したからそれ着て」
「なんでそんなところだけ準備がいいんだよ! じょ、女性ものの服なんて……」
「でも今はお兄ちゃん……いや、お姉ちゃんは女だよ?」
「だーーーーーーっ!!」
俺は認めたくなくて頭をかきむしる。うわ、髪も長くなってる。肩くらいまでだけど、一晩でここまで伸びる薬とか劇薬すぎないか。あ、一晩で男を女にするって時点で劇薬か。
「お姉ちゃん、嘆いてても仕方ないよ。今まで女の子っぽいのがコンプレックスだったじゃん。女の子になってしまえばそれからも解放されるよ?」
「解放されたけど別のものに縛られてるわ! あー、どうするんだよ。今日ダンジョン配信の予約してるのに」
ダンジョン。といっても中身はゲームのような感じで、敵の攻撃で死んでもダンジョンの入り口にリスポーンする。どんな大怪我を負ってもダンジョンボスを倒すかダンジョンを出るかで傷もきれいさっぱりだ。
父さん母さんは元々日本の研究所でその研究をしていたんだけど、腕を認められて今はアメリカで最先端に立っている。二十年前に法整備されて、ダンジョンに入ってスキルが開花しなかった人間はダンジョンに入ることを禁じられている。里奈がいい例だ。だから研究所で働いている。
だけど俺はありがたくもスキルが開花した。【俊敏】と【剣錬成】のスキル。【俊敏】はだいたいの人が持ってるありふれたスキルだけど、【剣錬成】はレアスキルらしい。実際聖剣やら魔剣やら普通の剣も創れる。だけど肝心の剣術スキルがないから宝の持ち腐れだけど。
とにかく、今はそんなことはどうでもいい。男に戻れないなら、女として生きていくしかない。こんなんで自殺とかしてたらいくら命があっても足りないからね。
「あー、配信の時間まで時間がない……。行きたくない……」
「ほら、早く服着替えて。ふむ……だいたいEカップってところかな。想定のカップ数ぴったり。ほら、これ着て」
かわいい柄のブラジャーとパンツを出されて僕は絶叫する。そ、そんなハレンチな。いや、今は女だからハレンチじゃないのか?
「ブラジャー、見るの初めてだよね。大丈夫、わたしが責任もって着かた教えてあげる」
里奈がそう言って後ろに回ってきて僕の服をまくりあげておっぱいをぽよんと露出させる。うわでか……。昨日まで平らだったのに、大きなおっぱいがついているのを見て恥ずかしくなる。
「わ、わ、わ……!」
「触るよー?」
「ひゃ……!」
変な声が出る。くすぐったい。その間にも里奈は慣れた手つきでブラジャーに手を使っておっぱいを寄せて上げて、僕の手を取ってホックをつけさせてくれた。こんなの、一回で覚えられないよ。
パンツだけは志願して自分で履いた。里奈には背中を向けてもらって。うう、股がスースーする。触って確認したけど、しっかり女の子になっている。あとは最近の流行りだという服を着て、天内理央という女の子が完成した。
「お姉ちゃん、かわいいよ」
「もういい! ダンジョン配信いってくる!」
「いってらっしゃーい」
のほほんと笑って手を振る里奈に背中を向け、最近日本でも流行りだした浮遊型の配信機器を持って玄関に用意してあったパンプスを履く。これも里奈の研究のうちなのか、サイズはぴったりだった。
今回挑むダンジョンは難易度が低いと噂の初心の窟。僕は友達にどんな反応をされるか怖がりながら、現場の近くの河原に走っていった。
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