ほのぼの生徒会(おもしろ同好会)部員募集中
たらころ
第1話 はい、今日は卵日和なので、卵を焼きます。
鶏肉が美味い今日この頃。私は寝坊しました。今日は転校初日です。
しかし、寝坊した事を感じさせない、優雅な食卓を囲んでおります。
目の前には鶏肉の丸焼き。横には飼い犬のステーキ(雑種)何でこんな名前にしたのかというと、初めて見た時の感想が『美味しそう』だったからです。
現在9時29分。登校時間の1時間後。もう今更取り返しは尽きません。あるのは鶏肉と死のみです。
「じゃ、ステーキ。行ってきます。」
坂道を上がるとあるのは新しく入る学校。『尾井市位子目田辺体中学校(おいしいこめたべたいちゅうがっこう)』略してお米中
お米中の前まで来ると、正門が閉じていた。
こりゃ転校初日からやってしまった。いるのは私と舞い散る緑葉だけだった。
「開けて下さーーい!!!開けてくれないんですか!?SNSに書いたら今時炎上しますけど!?良いんですか!?ここ私立ですよね!?あーーけーーてーー!!!!虐待だーーー!!!」
馬鹿でかい声で唾を飛ばしながら叫び、正門をガシャガシャしていると、体育会系のでっかい巨人先生が目の前まで現れた。
「あ、ありがとうございま、」
お礼を言おうとすると、これまた私の3倍ほどのあきらかに近所迷惑な声が町に響いた。
私は1時間程、校長室でみっちり怒られてきた。
その後、新しい教室でも白い目で見られ、放課後になった。
今日は本当に長い1日だった。
「死ぬかと思った、、、」
小声でそう漏らすと、目の前に人影が現れた。
「君、朝どでかい声で叫んでた子だよね!?思ったより可愛いね!ちょと一緒に来て!」
そう言われ、手を思いっきり掴まれた。何事かと思い顔を上げると、私の手を握っていたのはめっちゃ可愛い女の子だった。
走り続けてたどり着いた先は、生徒会室とデカデカと書かれた看板のある部屋だった。
「戻ってきたよーーーー!代わりに変質者連れてきた!」
変質者というのはきっと私の事だろう。人を変質者呼ばわりとは。ただ否定できないのでなんとも言えない。
「不審者連れてきちゃだめでしょー」
そういってのほほんと笑うのは、顔の整った男の子だった。ゆるゆるとした口調で話す彼は当然のように生徒会室に居座っていた。
「私の名前は果実野菜!ベジーって呼ばれてるわ。2年生の生徒会長よ」
さっきまで私の手をぎゅうぎゅうと握っていた美少女が名乗った。
果実野菜さんと言うらしい。ここはベジーさんとでも呼んどくか。
「僕の名前は富士山頂。ちょうくんって呼んでねー。3年の生徒会副会長だよー」
こちらののほほんくんは、先輩だったらしい。道理で背が高い訳だ。
ちょう先輩とでも呼ぼう。
「私は後藤こここです!前の高校では『この不良』って呼ばれていました!1年です!」
私は前の高校でも同じような事をしてそう呼ばれていた。
「そうなのね!ここって呼ぶわね」
この人はいつでも元気だな。
「早速、ここは生徒会ではありません!生徒会の皮を被ったおもしろ同好会です!」
、、、?おもしろ同好会とは?
「やる事は単純!その日やりたい事をやるだけ!」
、、、よく分からんけど楽しそう!!!
「入りたいです!」
「わかった!というか入れる気まんまんで連れてきたからね!」
そんなこんなで私は無事、生徒会の書記としておもしろ同好会に入ることになった。
次の日、放課後になると、一目散に生徒会室へと向かう。
「こんにちは!」
そう言いながら扉を開けると、ベジーさんがフライパンと卵を持っていた。
「よく来た!今日は絶好の卵日和なので、卵を焼きます!」
は?卵日和ってなんじゃそりゃあ
「まず私を見て学べ!」
そう言いながらベジーさんはフライパンに卵を3個一気に落とした。
そのまま何もせずに固まったかと思うと、急に酒をドバドバと入れ出した。
「何やってんですか!?」
ちょう先輩が叫んだ。いや、卵焼きに酒を入れるのもオカシイのだが、ベジーさんが入れているのはビールなのだ。
「お父さんのビール!どっかに『お酒を入れると大体料理は美味しくなる』って書いてあった!」
彼女は何を言っているのだろうか。案の定、フライパンからはぼーぼーと、火が高く上がっている。
それを見たちょう先輩が急いでコンロの火を止めるが、炎は消えない。
私は急いで水を汲んできた。よかった。生徒会室に水道があって。
「ベジーさん!水、かけますよ!?」
そう言いながら彼女に向かって水をぶちまけた。
よかった。火は止まった。しかしベジーさんが代わりに止まって、動かなくなってしまった。
「ああ、強度のショックで固まってる。大丈夫。ここちゃんは悪くない。」
そう言いながらちょう先輩はベジーさんの頭をコンコン、と叩いている。
卵が高騰化している今、卵を3個も失うのは確かにショックだろう。
そして、今日は生徒会長が動かないため、お開きになった。
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