連休

 連休に遠出はしないと決めているわけではないけれど、混雑が苦手なのと、宿泊代が吊り上げられるのに対して「ううむ」と思ってしまう小市民のため、ちょろちょろと出かける程度で済ませることが多いです。今年の連休もそんな感じに過ぎ去りました。

 まさおはイマジナリー猫なので、いざ旅行という時も宿の心配をしなくて良いのは便利です。以前に犬と生活していた時は、犬の分の宿の確保やら送り迎えにご機嫌取りと、忙しなかった思い出があります。不貞腐れた犬って、どうしようもなく可愛いものです。懐かしい。


 連休前半は先述のカーニバルに行ったり、実家に顔を出して冷凍作り置きを渡して母の話し相手になったり、父(義父)の顔色を伺ったり、新鮮な野菜を貰ったり(農家)、最近コストコで買ったオモシロ食材を貰ったりなど。

 その帰りに行きつけの酒屋さんにも立ち寄りました。昨年の今頃に購入したお酒がとても美味しかったので、今年も無いかしらと伺いに。

 お店のおやっさんは、店の戸を開けた私の顔を見るなり「今日はね、これだよ!」と力強くお酒を勧めて下さりました。ま、まだ何も言ってないのに。

 お勧めされたのは長野県の地酒、「佐久の花」のプリントが裏返ったバージョン、「裏・佐久の花」。純米吟醸直汲み生、透き通った瓶も涼しげな夏酒です。

 お目当てのお酒は次週からと教わり、また改めて来ることに。勧められたお酒を下げて帰り、採れたて野菜のグリルで一杯やったのは書くまでもないですね。おとなしめの発泡と程良い酸味を含んだ甘過ぎない日本酒は、するすると飲めてしまい、大変危険な代物でした。

 カレンダー通りの出勤を挟んで、連休後半はショッピングモールで夫の夏服をまとめて購入したり、ついでにワンピースを購入したり(数千円程度のプチプラです)、それからお互いに新しい夏服を着てお芝居を観に行きました。チケットは会社の福利厚生でゲットしたものですが、ぜひ観たかった公演なのでホクホクです。

 今回、夫は人生初のミュージカルでした。曲終わりの拍手するタイミングに戸惑い、アンサンブルの多さに驚き、ラストのスタンディングオベーションに戸惑い、ダブルアンコールに驚く。そうですね、そこら辺は独特の文化なので、慣れるまでは新鮮に思うものです。

 翌日は部屋の大掃除をしつつ(年末は忙しい上に寒いので、連休に大掃除をしています)パンフレットを眺めては「たまには舞台も良いもんだねぇ」「でも次は落語がいいねえ」と言い合う、そんな感じで連休を過ごしました。


 再びカレンダー通りの出勤を挟んで、今日は出勤する夫を送り出したあとに、近所にある温泉にふらりと出かけてきました。まぁ、いわゆるスーパー銭湯的な場所ですが、ちゃんと温泉の露天風呂で、岩盤浴もできて、漫画も読めて、御飯処もあるのです。

 実は最近、文章が書けないターンに入っておりまして。と言ってもカクヨム外の短編賞的なものに二つほど参加は出来ていて、そこから三つ目が書けず、煽りを食って書きかけの長編もお休み状態が続き……なんだか、モヤモヤ。そこへ来てタイミング悪くSNSのメッセージから「魂を込めて書いた小説を読んで下さい!」やら「あなたの小説を読むので私の小説も読んで下さい!」やらが送られてきたりして……なんかこう、無性にぼんやり、したくて。

 午前中の温泉はご近所のお姉さま方が静かにお湯に浸かっていらして、とても穏やかです。日の光を浴びながら寝湯で「うあー、日焼けするー」とゴロゴロし、岩盤浴で玉のような汗をかき、漫画を読み、ジェットバスに翻弄され、再び温泉でぼんやりし、ご飯処の本日のオススメ、姫竹の天ぷら蕎麦を食べて帰ってきました。姫竹、とても美味しかったです。


 もう何も書けないような気分になるのはよくある事です。

 そうやって一丁前に落ち込んだような顔をしてソファに沈み込んで唸っていると、まさおが長い尾を振りながらやって来てソファに飛び乗り、私の体をクッションがわりに寝ようとしたり(ええ、確かにふかふかでしょうよ)、不安定な中で寝返りを打ったり、あまつさえ爪を立てて伸びをするもので「いでででで!」と叫んで飛び起きたり、非難がましい目でじっとりと睨まれたりする、そんなイマジナリー猫との一幕を過ごしながらリズムが戻ってくるのを待つ日常なのです。

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