第4話 秘密の贈り物、夜明けの約束

授業が終わり、ピットはいつものように教室の片付けをしていた。窓の外からは、夕暮れの光が教室に優しく差し込んでくる。そんな穏やかな時間、町娘が教室の扉をたたく。


「ピット先生、これをどうぞ。」彼女は小さな包みを差し出した。それは、彼女が手作りした布製の小さな袋だった。内側には、乾燥したハーブと花が入っており、ほのかに甘い香りが漂ってきた。


「ありがとう、とても素敵な贈り物だよ。」ピットは心からの感謝を込めて言った。町娘は恥ずかしそうに微笑みながら教室を後にした。ピットはその小さな袋を手に取り、深く香りを吸い込む。何気ない優しさが、彼の心を温かくした。


夜が訪れ、ピットは再び討伐人としての準備を整える。今夜も、こくすけとやよいから新たな任務の情報が届いていた。しかし、今夜は何かが違った。大治郎からの秘密の贈り物が、彼の部屋に届けられていたのだ。


包みを開けると、中からは特別製の軽量で動きやすい新たな黒装束が現れた。さらに、牛鬼の仮面をより強固に保護するための改良が施されていた。これらは、兄である大治郎がピットの夜の活動を支援するためにこっそり用意したものだった。


ピットは、兄の思いやりと支援に深い感謝を感じながら新たな装束に身を包む。そして、彼はこくすけとやよいと共に、夜の町へと足を踏み出した。今宵の任務は、闇市場で密かに取引される危険な薬物を取り締まることだった。


密偵たちの正確な情報とピットの新たな装束のおかげで、彼らは見事に闇市場を壊滅させることに成功する。任務が終わり、夜明け前の静けさの中、ピットは再び教室に戻り、町娘からの贈り物を手に取った。


この夜を通じて、ピットは改めて自分が一人ではないことを実感する。町娘の優しさ、兄の支援、そしてこくすけとやよいの忠誠心。これらすべてが彼を支え、彼の使命を果たす力となっていた。彼は新たな決意を胸に、夜明けの約束を自分自身に誓った。どんな困難も乗り越え、渚王国の平和を守り続けると。

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