ファンタジーな冒険がしたいのにエロゲの世界はどこまで行ってもエロゲだった。by俺、ゲイです。

第1話 プロローグ

【終ノ空〜黄昏のエクスカリバー】というエロゲがある。

　このゲームは平民の身でありながら、金玉がでかいということをきっかけに、主人公のアレン・マイヤーが特例で王族や貴族にしか入学を許されない聖騎士学校に入学を果たすところから物語が始まる。アレンは学園に通うヒロインたちと肉体関係を築きながらレベルを上げ、最後には『聖王』に覚醒して魔王を倒して世界を救い、学園で出会ったヒロインたちの一人と結ばれるという王道エロゲファンタジーゲームである。

　このゲームがエロゲ好きにウケた理由は2つある。

　1つ目は、何と言っても女性キャラの多さだ。

　学園の生徒の9割が女性キャラで構成されており、その全員が攻略対象となっている。そもそも【終ノ空】というゲームは女尊男卑という世界設定なのだ。

　というのも、この世界では基本的に女性しか魔力を持ち合わせていない。

　この世界の魔力が子宮に宿るためだ。

　しかし、稀に睾丸に魔力を宿す男児が生まれてくることもある。

　つまり、学園に通う1割の男子生徒は、睾丸に魔力を秘めたスーパー金玉の持ち主ということになる。

　しかし、子宮と異なり、睾丸に溜め込める男性の魔力量は、女性のそれに比べると圧倒的に少ない。

　事実、男子生徒は死物狂いでレベルを上げたところで、そこまで強くはなれない。理由は単純明快、金玉が小さいからだ。

　だが、男性が全くの役立たずというわけではない。

　それが2つ目の理由に関係している。

　実はこのゲームに登場する女性キャラクター達には、レベル上限というものが存在する。

　レベル上限は魔力を有する男性にもあるのだが、女性だけは限界突破によって、レベル上限を引き上げることが可能なのだ。

　その方法というのが、レベル上限に到達した者よりも高レベルの男性から、直接子宮に魔力を注ぎ込んでもらうというものだ。

　つまり、これこそがエロゲの醍醐味――エロに直結する部分である。

　この物語の主人公――アレン・マイヤーは、何を隠そう史上稀にみるほど金玉がでかいことで有名なのだ。

　つまり！

　めちゃくちゃ魔力を溜め込める金玉の持ち主というわけだ。

　社交界にて、前世は狸だったのではないかと噂されるほど、アレン・マイヤーの金玉はでかい。

　これまでは、魔力持ちの男性と出会ったとしても、金玉が小さすぎるが故にその効果が大して見込めなかった。だが、アレン・マイヤーのデカすぎる金玉ならば、確実に限界突破をすることが可能なのだ。

　レベル上限≒才能とされていた令嬢たちの救世主、それこそがアレン・マイヤーという男なのだ。

　プレイヤーは優越感に浸りながら、様々な女の子たちと肉体関係を持ち、お気に入りのキャラでパーティや軍を編成して、至高のハーレムを築き上げるのだ。

　これぞまさに学園ハーレム。

　エロゲに相応しいイカれた設定である。

　しかし、この度エロゲの主人公、アレン・マイヤーに転生した男には一つだけ問題があった。

「どうして乙女ゲームじゃないんだ！」

　彼は同性愛者――ゲイだった。