トリアポロジー

そうざ

Tri-apology

 まぁ、取り敢えず落ち着いて聞いてくれよ。『トリ』っていうのは接頭辞なの。ギリシャ語だったかな、『三』って意味。トリオ漫才、三色旗トリコロール三つ子トリプレット、トリケラトプス、三回転半ジャンプトリプルアクセル、鳥居、捕物帖、鳥人間コンテスト――あ、話が逸れてるな。

 それでさ、実は日本語にも『とり』っていう接頭辞があるんだよ。取り乱す、取り繕う、取り敢えず謝るとかの『取り』。面白い偶然でしょ。

 そもそも日本人って『三』が好きなんだと思うな。三人寄れば文殊の知恵、石の上にも三年、女三人寄れば姦しい、朝起きは三文の徳、三度目の正直、三日坊主、駆け付け三杯、三遍回って煙草にしょ。

 戦国時代は毛利元就の『三本の矢の教え』があったし、昭和の頃にはヒロシ&キーボーの『3年目の浮気』がヒットしたし、平成は世界のナベアツが3と3の倍数の時だけアホになって、のちに桂三枝に弟子入りして桂三度って芸名で落語家やってるし。三枝は文枝になったんだな、そう言えばあの人も女性スキャンダルがあったっけ――確かに話が逸れてるね。

 そうだっ、もう直ぐ祖母ばあちゃんの三回忌だっ、準備しなきゃ、こりゃ忙しくなるぞ、忘れないようにカレンダーに書いて――はいはい、話が逸れましたよ。

 おおっ、三者連続三球三振スリーアウトだって。やっぱり大谷翔平は凄いなぁ、でも結婚しちゃったなぁ、長続きすりゃ良いけどねぇ――そうですとも、話が逸れましたとも。

 要するにとどのつまり掻い摘んで何が言いたいかって言うと、三角関係もトリと言うか逆にアリだと思うんだよね、3Pっていう楽しみ方だってあるんだしさぁ、仏の顔も三度まで許されるじゃん、妻は三つ指を突いて亭主を待ってれば良いんだーっなんてもう口が裂けても言いませんからっ、どうか勘弁して下さいっ、二度と浮気はしないと少なくとも今この瞬間は取り敢えず思ってる気がしなくもないような感じなんですけどっ、だって二度ある事は三度あるって言うじゃないですかぁ。

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トリアポロジー そうざ @so-za

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