フェニックステイマーは面倒くさい
ムネミツ
フェニックステイマーは面倒くさい
「盗賊退治に来たけど、これはひどいな」
「ああん? 何だテメエは?」
「転生しろ!」
襲ってきたモヒカンを指さし、瞬時に燃え上がらせる。
炎が消えるとモヒカンは、赤ん坊に変わった。
今度は真っ当に生きろよ。
かつては牧歌的だったであろうと思われる農村。
俺が来た時にはあちこちに火の手が上がり、モヒカン共がヒャッハ―♪
うん、何と言うか世紀末とかマッド全開な悪行三昧祭りの最中だった。
正直、見ていて気分が良いもんじゃないけどやるしかない。
「げげっ! トニーが赤ん坊になっちまった!」
「お前も生まれ変われ!」
「おぎゃ~っ!」
民家から出て来た二人目のヒャッハ~を転生させる。
お前も赤ん坊からやり直せ。
「どいつもこいつも面倒臭いな、まったく」
燃える村の中を歩き、民家に入って殺された村の人達をフェニックスの炎で焼いて転生させて回る。
燃えてる家もあったけど、フェニックスと一体化してるから平気。
炎を吸い込んで消してから、亡くなった村の人達を転生させて回る。
おぎゃ~おぎゃ~の大合唱、取り敢えず待っていてくれ。
早く盗賊達を片づけて、赤ちゃん達の面倒を見てくれる人達を呼ばなきゃ。
村の消火と転生を終えて村の中心に行くと、盗賊達が言葉にするのも汚い邪悪なキャンプファイヤーをしていた。
「面倒くさい、お前ら全員生まれ変われ!」
俺はフェニックスの姿になると、低空飛行で突進して盗賊もひどい目に遭っている村人の生き残りも纏めて焼き払い全員その場で赤ん坊へと転生させた。
断末魔の悲鳴の代わりに産声が鳴り響く。
「取り敢えず、これで盗賊退治は終わったな」
後は、この生まれ変わらせた赤ん坊達の世話だ。
「フェニックス、街に飛んでいって人を呼んで来て」
俺はフェニックスと分離し、いつも通り街へ飛ばす。
後はギルドとか神殿とかがフェニックスと一緒に来てくれるはず。
「取り敢えず、MP切れたんで寝よう」
フェニックスと一体化してると疲れたりしないけど、離れたら疲れた。
「お目覚め下さい、テイマーさん!」
アニメのヒロインみたいな声が俺を呼び覚ます。
「……あ、神殿の僧侶さん?」
「はい、僧侶です♪ お疲れ様でした♪」
俺が目を開けるとシスター服の女僧侶さんが膝枕をしてくれていた。
周囲には五台ほどの馬車が止まり、兵士達が焼け跡の片付けや荷物の運び出し。
シスター服の女僧侶達が、元盗賊も含めた赤ん坊達の世話に追われていた。
「じゃあ、いつも通りあの子供達のお世話はお願いします」
「ええ、彼らは立派な信徒として育てて行きますのでお任せを♪」
女僧侶さんが承諾してくれる、赤ん坊達の事は心配しなくて良いだろう。
取り敢えず一休みしたら、また次の依頼来を受けるか。
フェニックステイマーは面倒くさい・完
フェニックステイマーは面倒くさい ムネミツ @yukinosita
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます