火炎怪鳥トリアエズ・バクハ
武州人也
怪鳥VS最凶警官の戦いだ!
駅前アーケード街の天井を突き破って白昼堂々、大きな塊が降ってきた。驚いたことに、降ってきたのはニワトリだった。ただ一つ普通のニワトリと違うのは、体高が4メートル以上はあろうかという巨体を誇っていたことだ。明らかにバケモノだ。
「コケーッ!コッコッコッ! 」
怪物ニワトリが大きく鳴いたかと思うと、その口から高熱の火炎が放たれた! あっという間に炎上する花屋。人々はパニックになり、我先にと逃げだした。
そんな中、人の流れに逆行して歩く男が一人。警察官の制服を身にまといながら、日本の警官が装備しているはずのないジャベリン対戦車ミサイルを担いでいる。
「殺人未遂および現住建造物等放火罪! よって容疑者を現行犯で射殺する!」
現れたのは……「県警の最終兵器」と呼ばれる最凶警官、
「火炎を吐くということは体内に可燃物があるのだろう。この聖ジャベリンで神妙にお縄につけぇい!」
この銃死松、予算の範囲内であれば、アサルトライフルから戦車まであらゆる兵器の使用が許可されている。それゆえについたあだ名は、「県警の最終兵器」だ。容疑者の殺害をも厭わぬ過激な取り締まりから、「死神」「湘南死刑執行人」「首狩りコマンドー」などという呼び名もある。
ジャベリンを構える銃死松。ロッキード・マーチン社が製造するこの歩兵携行式ミサイルは、戦車やトーチカなどといった硬い目標を破壊することに長けている。そんなものをまともに食らえば、怪鳥とて無事ではすまない。
発射されたミサイルに対して、ニワトリは背を向けて逃げ出した。おそらく危機感を抱いたのだろうが、自動追尾で飛来するミサイルを避けられるはずはなかった。
ドォォォォォォォォン!
ミサイルが目標に着弾したそのとき、ものすごい轟音とともに、猛烈な爆風と熱気が拡散された。辺りの商店がすべて爆発に巻き込まれたのは言うまでもない。
とりあえず、商店街の平和は守られた……のだろうか。
<完>
火炎怪鳥トリアエズ・バクハ 武州人也 @hagachi-hm
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