飯テロ 中華料理編

かざみ まゆみ

第1話

 俺はメニューを片手に悩んでいた。

 入店してからもう何分経っているか?


 なにが俺を悩ませているのか?

 それはこの中華料理屋のメニューの多さにあった。


 ランチ用の定食だけで20コース。

 定番の定食から麺料理を中心としたもの、好きな単品料理からチョイスして組み合わせるものまで、多岐にわたる。


 腹の減っていた俺は、まずご飯ものから目を走らせた。

 野菜炒め・肉野菜炒め・ホイコーロー、おっと酢豚もあったぞ。

 ここの酢豚は黒酢炒めか。


 全ての定食に餃子5個をプラスできるのか。追加料金は150円と……。


 麺類の方はと、なになに?


 ラーメン・タンメン・担々麺、刀削麺なんかもあるのか。

 麺類の方は全て餃子がセットになっているんだな。

 中華料理屋では珍しい普通のソース焼きそばもあるぞ。


 ちょっとご飯ものに戻るか。

 麻婆豆腐にチンジャオロース、レバニラ炒めもあるな。

 フーヨーハイってなんだ? あぁ天津飯みたいなものか……。


 隣のテーブルのサラリーマンが春巻きを食っている。

 パリパリに揚がった皮を良い音させながら食いやがって。

 それに炒飯か、炒飯に単品で料理をつけるのもいいな。


 俺の前で店員がエビチリを運んでいる。

 あれも美味そうだな。少し甘酸っぱい匂いが俺の鼻と胃袋を刺激しやがる。

 俺はエビマヨよりエビチリ派だな。


 今日は少し暑かったから、さっぱり目の棒々鶏でもいいな。

 トリに胡麻ダレ。

 いかん、昼だというのにビールが飲みたくなってきた。

 油淋鶏も美味そうだな。

 なんかトリづくしになってきたな。


 店員がこちらをチラチラ見ている。そろそろ決めないといかんぞ。


 やはり黒酢の酢豚にするか……。駄目だ!パイナップルが入っている。

 俺は酢豚にパイナップルは絶対に認めない派だ!


 手堅くホイコーロー定食に餃子。いや、麻婆豆腐定食に落ち着くか。


「何でもいいから、トリあえず早く決めるネ!」


 イライラした店員が水のおかわりをテーブルに置いた。


 気がつくと店内は俺一人だけになっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

飯テロ 中華料理編 かざみ まゆみ @srveleta

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ