天童君には秘密がある 6〈KAC2024〉

ミコト楚良

前編  いろいろあって、捜査にのり出すの回

 文化祭が近い。 

 今年の3年B組の出し物は、『ザ・ショウタイム』。



 クラス委員長の水無月みなづき君は、「なんか、こう、バラエティ番組の司会進行をしてみたい」と、猿田彦さるたひこさんに打ち明けたのだ。

「いいね! わたし、サポートするよ!」

 彼に片思いする猿田彦さるたひこさんが、賛同しないはずがない。


「じゃ。とりあえず練習してみようか。みなさん、ようこそ。夢のショウタイムへ!」

 水無月みなづき君のスパンコールの蝶ネクタイは、自前だ。


「る~るるるる~」

 猿田彦さるたひこさんは、ママさんコーラスに所属している母親の衣装を拝借してきた。

 バニラ色のドレスに大輪のコサージュ。全身全霊で水無月みなづき君を受け止めたい


 それから、猿田彦さるたひこさんは、もうひとりのクラス委員長に相談した。

茉奈まなちゃんは、ソロで歌——」

 

「『いとしのリヒテンシュタインさま』のオープニングとエンディング曲、両方、歌っていい?」

 食い気味に参加同意がキタ。


「いい、いい。バックダンサー、手配しよう」

「よっしゃあ!」



わか

 深町ふかまちは、黙っている天童てんどうをうかがう。

「——やつら、祭りに浮かれて手うすになるぞ」

 彼は天童てんどうの参謀だ。


「そうか。動くなら、その日だな」

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