【KAC20246】うちに来たトリには、どうやら相談があるようです。
肥前ロンズ
第1話 お前をコンフィ・ドゥ・カナールにしてやろか
「うぇぇぇい! 今日からここが私の城だぁぁぁ!」
「単に敦さんとみどりさんが留守にするだけだよね?」
あたしの狂喜乱舞に、同居人のタケルが冷静に突っ込んだ。
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪
前回までのあらすじ!
妖怪が 見える
詳しくは『うちに来た男の子には、どうやら秘密があるようです。』を読もう!!
■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪■□▪▫■□▫▪
ちなみに敦とみどりは、あたしことサチの両親の名前だ。今日は二人して遠出をするということで、晩まで帰ってこないんだそうだ。あたしらも小学六年、自炊する機会があっていいだろう。
――ってなわけで、あたしのテンションはバク上がり逆上がりモヒカン刈り!
「親がいないってことは、こりゃもう火使い放題! 水使い放題! 家改造し放題ってことだろ!!」
ひゃっほーい! と床の上をローリングするあたしに、タケルは顔を青ざめながら、
「このバーサーカーを、俺一人が止めるのか……」
と呟いていた。人をバーサーカー呼ばわりとは失礼きまわりない。こんなに理性にあふれた小学六年生はいないというのに。
「で、今日何する!? コンフィ・ドゥ・カナールにする!?」
「コンフィ、何!? それ!?」
いや、やっぱ夏だし流しそうめんかな。家を全部改造して全自動流しそうめん機でも作ろうか。そう思った時だった。
「ごめんくださーい! ここに、サチとタケルという子はいるトリー!?」
ガラッと、鍵を掛けてない二階の窓から誰かがやって来た。
二階である。普通の人間なら窓を開けられない。いや、泥棒とか強盗ならやるかもしんないけど、普通はやらない。そして現れたそいつは、人間でもなかった。
どんぐり色をした身体、全体的にモフっとした感じ、何より窓を開けた腕は翼になっている。
そいつは、トリだった。
人間の言葉を話すトリってことは、ただのトリじゃないんだろう。
あたしはそいつの三本になったトサカをガヅッと掴んで笑った。
「いい感じの鴨肉が来たな……トリあえず今晩はコンフィ・ドゥ・カナールだ」
「トリ――――!?」
「サチ、それ鴨じゃなくてフクロウ。妖怪っぽいけど」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます