【KAC20246】うちに来たトリには、どうやら相談があるようです。

肥前ロンズ

第1話 お前をコンフィ・ドゥ・カナールにしてやろか

「うぇぇぇい! 今日からここが私の城だぁぁぁ!」

「単に敦さんとみどりさんが留守にするだけだよね?」


 あたしの狂喜乱舞に、同居人のタケルが冷静に突っ込んだ。



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 前回までのあらすじ!

 妖怪が 見える男子タケルが やって来た!(五七五)

 詳しくは『うちに来た男の子には、どうやら秘密があるようです。』を読もう!!


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 ちなみに敦とみどりは、あたしことサチの両親の名前だ。今日は二人して遠出をするということで、晩まで帰ってこないんだそうだ。あたしらも小学六年、自炊する機会があっていいだろう。

 ――ってなわけで、あたしのテンションはバク上がり逆上がりモヒカン刈り!


「親がいないってことは、こりゃもう火使い放題! 水使い放題! 家改造し放題ってことだろ!!」


 ひゃっほーい! と床の上をローリングするあたしに、タケルは顔を青ざめながら、


「このバーサーカーを、俺一人が止めるのか……」


と呟いていた。人をバーサーカー呼ばわりとは失礼きまわりない。こんなに理性にあふれた小学六年生はいないというのに。


「で、今日何する!? コンフィ・ドゥ・カナールにする!?」

「コンフィ、何!? それ!?」


 いや、やっぱ夏だし流しそうめんかな。家を全部改造して全自動流しそうめん機でも作ろうか。そう思った時だった。


「ごめんくださーい! ここに、サチとタケルという子はいるトリー!?」


 ガラッと、鍵を掛けてない二階の窓から誰かがやって来た。

 二階である。普通の人間なら窓を開けられない。いや、泥棒とか強盗ならやるかもしんないけど、普通はやらない。そして現れたそいつは、人間でもなかった。

 どんぐり色をした身体、全体的にモフっとした感じ、何より窓を開けた腕は翼になっている。



 そいつは、トリだった。

 人間の言葉を話すトリってことは、ただのトリじゃないんだろう。

 あたしはそいつの三本になったトサカをガヅッと掴んで笑った。



「いい感じの鴨肉が来たな……トリあえず今晩はコンフィ・ドゥ・カナールだ」

「トリ――――!?」

「サチ、それ鴨じゃなくてフクロウ。妖怪っぽいけど」

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