次の日からまるは不登校になった。

 まるは平日のお昼ごろに小学校に行かずに公園でぼんやりとしながら時間を潰している。空に浮かんでいる雲が犬の形に見えるとか、猫の形に見えるとか、そんなことをもうまるは朝から一人でずっとやっていた。(結構、楽しかった)

 ブランコに座って、赤いランドセルを(用意は一応、毎日していた)膝の上に置きながら、じっとしている。

 まるはお気に入りの白い帽子をかぶっている。伸ばしている黒髪は頭の後ろでまとめてポニーテールの髪型にしていた。

 白いパーカーに水色のスカートを履いている。足元は(最近買ってもらった新しい)白色のスニーカーだった。

 少し離れたところにある公園のベンチにはまるのお母さんがいる。お母さんはまるが心配だからと言って、こうして公園までまるを見守るために(すごく忙しいのに)ついてきてくれるのだった。(ありがとう。お母さん)

 季節は春。

 とてもあたたかくてなんだか眠くなってしまう。

 担任の南雲先生は「小林さん。無理して小学校にはこなくていいですよ。ゆっくり休んで、小学校にこられるようになったら、また元気に小学校に通ってくださいね」と言ってくれたのだけど、きっともう南雲先生はまるは学校にこないと思っているのだとまるは思った。南雲先生はまるのほかにもたくさんの生徒の担任をしているし、まる一人にずっと構っている余裕はないのだ。(南雲先生はいつも忙しそうだった)

 南雲先生。ごめんなさい。とまるは心の中で思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る