第5回 威療士の装備 ~〈ユニフォーム〉~

「は~い、みなさん。アナタの機母マーテル・マキナ、救命活動随行支援機ルヴリエイトです。そして!」


「前回さ、なんかめっちゃ古い資料映像ながしてなかった? あれ、最後にドクがブチ切れて帰ったやつじゃなかったっけ」


「そこはちゃんとカット……じゃなくて。テーマと関係ない部分だったじゃない。編集のマニピュレータを褒めてほしいわ。はい、エリーちゃん、挨拶」


「毎回やんの? あたしの名前おぼえてなかったら、読み進められないじゃん」


「まあ、エリーちゃんも、この企画のシステムがわかってきたようで嬉しいわ。でも、挨拶は基本よ?」


「わぁったって。威療士レンジャーチーム〈CL〉、威療士兼パイロット、リエリー。いちおう、主人公、らしいよ? ……で、今日はなにすんの」


「今日は、ワタシたちが救命活動で使ういろんな装備ガジェットのことをみなさんに知ってもらおうかなって、思っています」


「お、いいじゃん。ガジェットのことなら、あたしに任せてよ」


「ええ、そうするわ」


「うっし。そんじゃ、〈ユニフォーム〉からいこ。これがなきゃ、始まらないし」


「そうよね。威療士のシンボル、だもの」


「〈ユニフォーム〉は通称で、正式名称の頭文字から取ってるんだけど、長いからカット。見た目は、ロングコートが近いかも」


救世主ネオのアレに似てるわよね。もうちょっとゆったりしてるけど」


「救世主? なにそれ」


「ごめんごめん。独り言。続けて、エリーちゃん」


「わぁった。んでもって、〈ユニフォーム〉っていったら、なんたってこのカラーと機能性でしょ」


「この色、何と言うんだったっけ?」


「ホープブルー。海と空の蒼を足して、白い羽根を一枚、垂らした色」


「冗談みたいだけれど、これ、公式の説明なんだからちょっとビックリよね」


「うん。蒼はいいとして、白い羽根ってなに? みたいな。〈ダブルウィング〉の羽根のことだろうけど、なんで羽根なんだろ。調べてもわかんなかったんだけど、ルーはなんか知ってる?」


「残念ながらワタシもわからないのよ。〈ミーミル〉――威療士の統合データベースにもないっていうのは、ちょっと不思議」


「ま、とかく、雲が掛かった青空みたいな色に光ってる、って思えばいいよ。これは実際に見ないと、わかんないだろうし」


「じゃあ次は、機能ね」


「うん。とかく〈ユニフォーム〉は機能がめっちゃ多い。ぜんぶ説明したら、夜になると思うけどいい?」


「かいつまんで、お願い」


「へいへい。〈ユニフォーム〉は、威療士と負傷者を保護するために作られてる。セーターぐらいの厚さしかないけど、30メートルくらいの高さなら、落ちても死なない。めっちゃ痛いけど」


「笑えない体験談よねー?」


「……あとは、パワーブースト。〈ユニフォーム〉があったら、ビークルより速く走れるし、ロカと腕相撲アームレスリングできる」


「救命活動ではパワーブーストが一番、活躍するかもね」


「ま、あたしには個有能力ユニーカがあるから。おまけだよ」


「まぁたそんなこと言って」


「ほかにも、温度調整機能、各種センサー、簡易ポッド機能とか付いてる。救命活動に必要な機能はほとんど搭載されてるかな」


「じゃ、最後にこんな多機能な〈ユニフォーム〉のエネルギー源について教えて」


「基本はバッテリ駆動。普段は、専用のチャージワードローブで充電してるんだけど、〈ユニフォーム〉がすごいのは――」


「――エリーちゃん。出動要請よ。コンソールに送ったわ」


「オーケー。こんなふうに、着用者の体温と運動から充電できるのが、サイコーだよね。じゃ、ルー」


「ワタシもすぐ行くわ。……というわけでみなさん。毎回バタバタでごめんなさい。威療士の日々は、こういう連続なんです。それではまた次回!」

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