隠された怨念
途上の土
第1話 プロローグ
群馬県前橋市にある楽歩堂前橋公園にはとある噂があった。
『午前2時零分から22分の間に西側のトンネルを通ると、本当の自分に出会える』
まことしやかに語られるその怪談は、怪談と言うにはパンチが弱く、おまけに内容が曖昧でイマイチぴんと来ない。
しかし、その割には、実際に不思議な現象が起こったという体験談が尽きなかった。
本当に大切な人が誰か分かった、進路の迷いが消えた、など、その内容は語る人によってまちまちで、どれが本当で、どれがガセなのか、はっきりとしなかった。
だからだろうか。
クラスの仲間内で実際に確かめてみよう、と誰かが言い出したのも自然な流れだったのかもしれない。
ゲンちゃん、曽根くん、ヒロ、シゲ、僕。僕らは軽い気持ちで家を抜け出し、夜中の前橋公園で待ち合わせたんだ。
それが僕らの小学校生活最後の夏を締めくくる最高の思い出になると信じて。
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