大文字伝子が行く252

クライングフリーマン

総理殺人キャンペーン(後編)

 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。

 大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。

 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。

 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。

 増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。

 馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。

 高木(日向)さやか一佐・・・空自からのEITO出向。副隊長。

 馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。

 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。

 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。

 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。

 新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長。

 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。

 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。

 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。

 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。

 青山(江南)美由紀・・・、元警視庁警察犬チーム班長。警部補。警視庁からEITOに出向。

 工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。

 伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。

 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。

 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。

 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。

 高坂(飯星)満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。

 財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。

 仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。

 七尾伶子・・・警視庁からEITO出向の巡査部長。

 大空真由美二等空尉・・・空自からのEITO出向。

 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。剣道が得意。

 青山たかし・・・元丸髷署刑事。EITOに就職。

 馬場力(ちから)3等空佐・・・空自からのEITO出向。

 久保田嘉三管理官・・・警視庁管理官。伝子をEITOにスカウトした。EITO前司令官。

 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。現在は、降格中。

 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。

 斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。

 夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。

 筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。

 原田正三警部・・・新宿風俗担当の潜入捜査官だったが、EITO出向。

 渡伸也一曹・・・EITOの自衛官チーム。GPSほか自衛隊のシステム担当。

 草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。

 早乙女愛・・・元白バイ隊隊長。EITOに出向していたが,娘の轢き逃げ以降、退職していたが、EITOに就職。

 市橋早苗・・・移民党総裁。現総理。

 志田前総理・・・移民党前総理。

 姿前総理・・・移民党総理。

 麻生島副総理・・・移民党副総裁。

 大泉元総理・・・移民党元総理。

 福山元総理・・・移民党元総理。

 野口元総理・・・違憲異種党元総理。

 外山元総理・・・違憲異種党元総理。

 阿寒元総理・・・違憲異種党元総理。

 林原官房長官・・・移民党官房長官。

 村越警視正・・・警視庁テロ対策室室長

 利根川道明・・・TV欲目の社員コメンテーター。今はフリーのMCをしている。EITO協力者。

 服部源一郎・・・南原と同様、伝子の高校のコーラス部後輩。シンガーソングライター。CDも出しているが、現在は妻のコウと音楽教室を開いている。

 服部(麻宮)コウ・・・見合いの席で服部に一目惚れし、後に結婚。

 天童晃(ひかる)・・・かつて、公民館で伝子と対決した剣士の一人。EITO東京本部武術師範。

 松本悦司・・・天童に同じく、かつて、公民館で伝子と対決した剣士の一人だった。EITO大阪支部武術師範。

 南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。

 本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー。

 芦屋二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー。

 用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレ。

 河村善子・・・国賓館SP隊隊長。

 東山英一・・・SAT隊長。

 高峰圭二・・・高峰くるみの別居中の夫。みちるの義兄。警察を退職後、警備員をしている。


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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==

 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

 ==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==



 翌日。午後2時。総理私邸。

「毎度毎度、お騒がせしております。」と工藤が言うと、「それじゃ、ちり紙交換よ。今はもう無いみたいだけど。」と早乙女が言った。

「お楽しみは、そこまでだ。」と、拳銃を持った男が2人書斎に入ってきた。

「そうね、待ってたわ。」と総理が言うと、早乙女と工藤は、袈裟固めで落した。

 早乙女は、長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、人間の耳には判別困難な、犬笛の様な笛で、簡単な通信に用いる。

「流石、早いですね。」とSAT隊員が言った。

 午後2時。志田邸。

 拳銃を持った男が2人、リビングに入って来て、志田前総理に拳銃を向けた。

 シュータが跳んできて、男達の拳銃を持った手に刺さった。

 シュータとは、EITOが開発した、うろこ形の手裏剣で、先端に痺れ薬が塗ってある。本来は、掠めるように、手首や足首の甲を投げることになっているが、緊急事態には刺さっても軽傷になることから、理事官に刺さっても構わないと言われている。

「卑怯な日本人め。」「どうかな?正当防衛でしかないが。」と、志田が応えた。

 かつて、暗殺に怯えて総理の座を譲った志田は、今では市橋総理のブレーンになっている。EITOのことも全面的に信頼をしている。

 伊知地が長波ホイッスルを吹いた。SP隊の河村が顔を出した。

「お呼び?すぐ警官隊が来るわ。ああ、これがシュータね。」と言って、河村は、そっとシュータを抜き、伊知地と葉月に渡した。

「隊長さんに頼まれているの。修行中の隊員だから、『忘れ物』するかも知れないって。」と言って、2人にウインクをした。

 警官隊がやって来て、男2人を逮捕連行した。

 午後2時。姿邸。

 ここでも、男2人が書斎に入ってきた。

「入って来やすかっただろう?不思議に思わなかったかね?」と、拳銃を向けた男達に手を挙げながら、姿元総理は言った。

 扉の陰から、結城と越後が出て、手刀で拳銃を落した。

 結城が、長波ホイッスルを吹いた。

「相変わらず,鮮やかだね。孫も感心していたよ。ありがとう。」

 姿元総理の孫は歌手で、以前の闘いで、みちるに助けられた。

 午後2時。大泉邸。

 大泉元総理は、孫の部屋で、孫とゲームをしていた。

 拳銃を持った、男が2人入って来た。

「ゲームの途中、悪いな。」男の1人が言うと、いつの間にか現れていた、エマージェンシーガールズ姿の大町が言った。「だったら、早く『お縄を頂戴』することだな。」

 男達が、拳銃を大町に向けた途端、下條のブーメランで拳銃は叩き落された。

「ほらね、悪い奴は、正義の味方にやっつけられるんだ。」と、大泉は孫に言い、孫は納得した顔をした。

 午後2時。野口邸。

 男が2人入って来た、拳銃を持っている。

「遅刻だな、2分遅刻だ。」「何をー。」増田が男の1人を一本背負いで投げ飛ばし、小坂が巴投げで投げ飛ばした。

「一本!お見事!!」と野口元総理は言い、拍手した。

 午後2時。外山邸。

 室内で外山がゴルフの練習をしていると、男が2人、拳銃を持って入って来た。

 ソファの陰から現れた江南と大空は、バトルロッドで、拳銃を叩き落とした。

「ナイスショット!」と外山は、思わず呟いた。

 午後2時。阿寒邸。

 庭に侵入してきた、拳銃を持った暴漢に阿寒元総理は言った。

「この人達には逆らわない方が身のためだよ。」

 男の一方は、屋根から延びた投げ縄で捕えられ、もう一方は、どこからか現れた警察犬にマウントを取られた。

「ほらね。経験者は語る。」

 午後2時。林原邸。

「ホントに来るのかなあ・・・来た。」ガレージで車の洗車をしていた林原官房長官の前に男が2人、拳銃を持って現れた。「新官房長官の林原一世さん、ですか?お命・・・。」

 男は、それ以上言えなかった。飯星がフライングヘッドシザーズで1人を倒し、もう一人は大空が卍固めで締めたからである。

 林原は思わず近寄り、カウントを取った。「わん、ツー、スリー!!」

 午後2時。麻生島邸。

 ここでも、書斎に男が2人、拳銃を持って乱入した。

 男達にタックルする者がいた。SAT隊長、東山である。安藤と静音は、倒れた2人にすかさず『指手錠』をした。指手錠とは、伝子直伝の技で、両手を後ろに回させて、親指と親指を何らかのモノで縛り、固定することである。2人は、エマージェンシーガールズのユニフォームの中からヘアゴムを取りだし、装着した。

「成程。仮逮捕、いや、捕縛、か。流石ですね。」と、麻生島元総理、いや、麻生島副総裁は言った。

 午後1時半。浜離宮朝日ホール。

「毎度、お世話になります。折角の卒業演奏会ですから、成功させたいですね、大文字さん。と、特別MCになった、利根川が言った。

「本番は午後6時ですから、『後片付け』して、間に合わせたいですね。私の後輩夫婦です。避難誘導は使ってやって下さい。」と、伝子は、服部とコウを紹介した。

「よろしくお願いいたします。」と、2人は利根川に挨拶した。

 午後2時。浜離宮恩賜庭園。

 大手門橋を渡り、なぎさ達は、庭園案内の前で佇んでいた。

 庭園は、予め、一般の立ち入りを止めてある。

 そこにこぶまんの一団がやって来た。ざっと50人。銃や機関銃、日本刀を持っている。

「待ち合わせか?大勢並べる訳には行かないから、待機している。」

 リーダーらしき男は、なぎさ達を眺めた。エマージェンシーガールズ姿のなぎさ、あつこ、日向、田坂、あかり、金森。リーダー格6人だ。

「たった、それだけで俺達の攻撃に耐えられるのか?」と、リーダーらしき男は言った。

 オスプレイが飛来した。オスプレイから、ホバーバイクが飛び出て、着地した。

 ホバーバイクとは、民間開発の『宙に浮くバイク』で、EITOが採用、戦闘や運搬に使っている。

 ホバーバイクで降りた用賀は、オスプレイから降りたロープを伝って降りて来た二美をキャッチ、2人でロープをホバーバイクに括り付けた。そのロープを伝って、EITOエンジェルズが降りて来た。

 こぶまんの一団は、呆気にとられて見ていた。

「何だ、2軍か?」その男に向かって、総子は言った。

「2軍ってカア、オッチャン。どこに目エつけてんねん。制服が違うやろうが。大阪支部や。」「おおさかしぶや?大阪にも渋谷があるのか?」

「15点。10点でええか。あろ-1にも出られへんな。天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ。悪を倒せと我らを呼ぶ。参上!EITOエンジェルズ。満を持して。」

 一団は、総子の口上に呆れた。

「ヒーロー、いや、ヒロインごっこか。後悔するなよ。」

 なぎさは、皆にゴーサインを出した。インカムは、オスプレイを通じてエマージェンシーガールズにもEITOエンジェルズにも音声通話の信号を送れる。

 各隊員は、散った。

 午後2時。浜離宮朝日ホール。演奏会場。

 日本刀を持った連中が数十人、入って来た。

 利根川と服部夫妻は、予定通り、演奏予定の学生達の避難誘導をした。

「遅れて済まない。」そう言って、天童と松本、他に剣道着を着た仲間3人を連れてきた。

「大文字さん。楽屋で着替えて、庭園に向かって下さい。」「了解。後を頼みます。」

 楽屋になっている部屋。

 慶子と蘭が待っていた。2人は急いで伝子をエマージェンシーガールズの姿に変えた。

 伝子が裏口から出ると、バイクに乗った高峰が待っていた。

 伝子がヘルメットを受け取り、後ろに跨がると、バイクは発車した。

 途中、白バイがやって来た。交通違反取り締まりではなく、高峰のバイクを誘導する為だった。

 午後2時半。浜離宮恩賜庭園。

 エマージェンシーガールズやEITOエンジェルズと鬼ごっこをしていた、こぶまんの一団だったが、リーダーは気づいた。ホバーバイク隊の水流ガンやフリーズガンの為に銃や機関銃が使用困難になって、日本刀、木刀、竹刀だけで自分たちは闘わされている、と。

 水流ガンとは、圧縮した水を放出し、飛び出てすぐにグミ状になる銃である。フリーズガンとは、文字通り銃口を凍らせる銃である。

 エマージェンシーガールズやEITOエンジェルズの何人かは持っているが、高木、馬場、筒井、青山、井関、大前、二美、弥生のホバーバイク隊のホバーバイクにも搭載されている。

 闘いに間に合って良かった、と闘いに参加しながら大前は思った。

 実は、オスプレイはEITO大阪支部のものではなく、アメリカ空軍からの借用で、昨日搬送されたばかりだった。

 午後3時。浜離宮朝日ホール。演奏会場。

 天童が、仲間の戦士に怪我を負わされた。

 その男は、組織のスパイだった。「悪く思うなよ。」

 形勢は不利になった。「思うわよ。」そう言って登場したのは、みちるだった。

 みちるは、三節棍を巧みに扱い、敵に対峙した。

 形勢は逆転した。

 午後4時半。浜離宮恩賜公園。

 1時間前から、伝子が加わり、500人はいたかと思われる一団は皆、雲一つ無い青空を見上げて寝ていた。

「総子。ありがとな。」伝子は総子を抱きしめた。

「水くさいこと言いなや。いつでも駆けつけるで。」と総子が言うと、「総子。いつでもじゃなくて、出来るだけ、にしとき。」と、大前が言った。

 インカムから、みちるの声が聞こえた。「おねえさま。ごめんなさい。」

 何かブツブツ言っているが、伝子はインカムを外した。

「これで、まだ序盤か。いつか、『昆布巻き』にしないとな。」と、独り言を言った。

 陽はまだ高かった。思えば、もう彼岸のシーズンだ。春はもうそこまで来ている。

 ―完―


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