恋するサキュバスの恋愛メソッド
龍神雲
第1話 恋するサキュバスの恋愛メソッド
――何処だ? これは、夢?
しかし夢にしてはハッキリしていた。
「お兄さん」
不意に声が掛かった、真上からだ。見上げれば着物の少女が宙を浮いていた。金髪ツインテ、瞳は紅く、まるで吸血鬼のような牙が笑った口の端から見えていた。
あの歯で噛まれたらどうなるのだろう? なんて考える内に、少女はふわふわと浮遊しながら俺の頭の頭頂部に片足で乗った。
「ほっ! 第一印象は大事!」
少女は俺の頭の上で何故か片足でバランスを取り始めた。もはや理解不能だ。
「何をやってるの……?」
「ん? これはねぇ、鹿威しと勝負する為の準備運動だよぉ?」
間延びした声がした瞬間、カコンと鹿威しの音が一斉に鳴った。良い音だが大量に鳴るとかえって不気味だ。
「いっくよぉ!」
「えっ?」
疑問が浮かぶ中、少女は一本立ちのスタイルを崩さず、俺の足場を踏み台にして、両手を広げて飛び立った。
刹那、少女の腕から鷲のような羽が無数に突出する。どれも鋭利な羽で、一本一本が鋭く煌めいていた。
――あんな羽が掠めたら、怪我だけじゃ済まなそうだな……
そんな中、少女の鋭い羽が鹿威しの数本を破壊した。パキ、メキッと割れ、竹の木っ端が宙を舞う。少女が飛ぶ場所は軽く竜巻が起きていた。鹿威しは鹿威しの役目をしているのみで何も変化は起きない。
――矢張り、夢?
しかし夢と思い込むも中々目覚めない。次に頬を引っ張ろうとして、少女の笑い声が響いた。
「ムリだよお兄さん、私の好みだもん」
「えっ」
「私はサキュバス、トリあえず……お茶しよ?」
お茶会後、今までの下りが彼女なりの求愛行動なのだと
了
恋するサキュバスの恋愛メソッド 龍神雲 @fin7
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