俺だけが二週目の人生を送っていることがバレたら死ぬ……幼馴染以外には。

神白ジュン

第1話 

 「ねぇアンタ、もしかして、人生二週目してたりしない?」


 その言葉を言われた時、心臓を鷲掴みされたような感覚に陥って、呼吸が止まりそうになった。いやむしろ実際のところは本当に止まるはずだったのだが。


 過労の末三十歳手前で死んでしまった俺は、神様に頼み込んで二週目の人生(ループ)を送らせてもらえることに成功した。しかも前世の記憶を持ったまま。だがその代償として、このことが他人にバレたら死ぬ、という十字架を背負うこととなった……のだが。




 「頼む七香ななか!!このことは決して誰にもくれ!!」


 放課後、誰もいない教室で俺は幼馴染の鈴白すずしろ七香に土下座していた。何故だか分からないが、彼女にバレても俺は死んでいなかった。


 「はぁ……。中学までそんな頭の良くなかったはずの萩原はぎわらが、高校に入った途端いきなり成績トップに行くわ、集会で校長先生のカツラが取れるのを予言的中させるだわ、昨日だって不明瞭な理由で辺な道から帰ろうとか言って、帰ってニュース見たら丁度避けた場所で事故が起きてたら流石にね…………」


 恐々としながら顔を上げると、七香はまるで呆れたとでも言うような表情で机に座って上から俺を見下ろしている。


 「……………返す言葉もございません」

 バツの悪い表情を浮かべながら、俺はそう返すのが精一杯だった。



 「まぁ、良いわよ。その方が萩原にとっても私にとっても都合いいもんね」

 どんな条件を突きつけられて譲られるのかとドキドキしていたが、あっさりと承諾されてしまったので、思わず口をぽかんと開け、七香を見つめた。


 

 「さ!ぼーっとしてないで、帰ろ!!日が暮れちゃうよ?」

 そういって手を差し伸べてくれた七香の手を取る。彼女の体温がこちらに伝わってきて思わず照れてしまいそうになり、思わず顔を背けてしまった。


 「……ありがとう」


 そうして俺たちは日が沈みきる前に下校した。







 ────────────────────

 

 「…………あぁ!!!!やっと隠しルート見つけたああァァァァ!!!!」


 「マジで!?やるじゃんお前」


 「いやぁ、三日間ぶっ倒してやり続けた甲斐があったよー」


 「…………にしても、恋愛ゲームにしてはこのルートだけ見つけるの以上に難しくないか?」


 「ほんとそうなんだよなぁ。これ、普通に幼馴染にバレるだけではダメだったから、まだ俺たちも分かってない内部条件があるんだろうな」


 「発売半年で未だ分かっていないルートとか、難易度鬼畜すぎだろ」


 「これでやっと幼馴染とのgood endが見れるわけか……。世界で何人がこの先を知っているんだろうな」


 「いや、この難易度でまだどこの攻略サイトにもSNSにすらも載ってないし流石に誰も知らないはずだ」


 「つまり正真正銘、俺たちが一番乗りだな」


 「おう」


 「と、いうことで……当初の取り決め通り、これは俺たちだけの秘密ということで……このことは誰にもくれよな?」


 「もちろん!!」


 

 

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俺だけが二週目の人生を送っていることがバレたら死ぬ……幼馴染以外には。 神白ジュン @kamisiroj

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