前世の話
恋子
1
「君は前世を信じるか?」
身に覚えのない記憶は前世の記憶なのか。何かの占いで言われた結果が本当に自分の前世なのか。
『前世はインドの商人だった。』
『前世はフランスの戦士だった。』
『前世はどこかの森の熊だった。』
そう大真面目に言う者が、そう言われて真に受ける者がいるだろうか。
それこそ子供時代は夢を語り前世を信じ、自分に唯一の価値をつけた。大人になって社会の波に飲まれた今、意味もない物語を考えてる暇なんてなくなった。
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