コロシアムになった世界で、進化する!

@kakoijunsi

第1話 エンドデー

 静かでこの広い法廷の中裁判長が有罪判決の宣告だけが響いている。そんな声を聞いていながら星野真吾ホシノシンゴは初めて人生終わりの実感できた、その感覚がいま手首に掛けられている手錠のほうよりも重く強く星野を縛る。

 宣告が終わった後、横で自分を引っ張っている警察を置いて、星野は原告の席に顔を向ける、そこで親友の両親の怒りが満ちている目が見えている。彼たちは何も知らない、その怒りは自分に向くべきではないと星野は心の中で呟く、でもそんなこと彼たちは一生知ることはないだろう。

 そのまま元の場所に突っ立ている星野を見て警察は更に強い力で引っ張てくる。平衡を保ちそうにない星野は仕方なく歩き始め、そして視線を陪審団に移す。

 やはり来ていない、あの自分にこんな目にあわせた野郎が来ていない。あいつにとって自分なんかも見ぬに足りん些細な邪魔でしかないという訳か。星野がそう自嘲しながら静かに歩こうとするその時に突変が起きた。

 『ウーンー』

 最初は外から伝わってくる変な音が、三秒の間に蚊が翼を振る程度の声からだんだん耳が痛くなる程度にますます大きくなってくる。

 『コンー』

 そして誰も反応できなかったその時、その声を作った物が天井を質の悪いプリント用紙のようにぶち抜け法廷の地面に刺さった。その時の震動でその場にいる全員が転がて地面に腹ばいていて。ばら撒いた破片や落ちた瓦礫などその瞬間で十数人の命を奪った。

 法廷は混乱に落ちる、叫び声と鳴く声が重ねて絶えずに星野の耳に響く。しかしあまりにも落ち込んでいたのか、今の星野は異常に冷静で何もなかったのように墜落したあれを観察し始めた。

 あれは逆さまになったら細長いピラミッド状なもの、その滑らかな表面は金属材質し持たない光の反射をしている。法廷の地面はまるで熱いナイフに刺されたバッターのようにその先端に容易く、深く差し込まれていて、そのお陰でこの法廷よりも高い銀色のピラミッドは地面と完璧な九十度でそこで立つことができたのだ。

 直感はいいものだ、ある時は持ち主の命を救える。いま星野の直感は「ヤバい!」と叫んでいる。こんな見たことのないものは何の関係もなくここに落ちたわけがない。

 そう判断した星野は隣に倒れた頭部が破片に貫通されたかわいそうな警察の死体からキーホルダーを手に取って鍵を一つ一つ手錠の穴と合わす。そして三つ目で正しい鍵を見つけ手錠を外したその時、ピラミッドからでかい電子音がした。部屋中の誰もがその声に惹かれてピラミッドの方へ目を向ける。

 声がしたあと、ピラミッドのその滑らかな表面は一つ一つ円形の隙間が現る、共に白い冷気が湧き出して地面を覆って人たちの下半身埋め込む、そして遂に冷気の圧力を耐えられなくなった円形の板がピラミッドから離させ次々と地面に落ちる、するとピラミッドの上に百を超える数の穴が現れた。

 机の下から禿た頭を出した裁判官も埋められた人を助けようとした陪審員たちも、みんなピラミッドを見つめている。

 「シャガー」

 どんな生物でもない吠える声を伴って百の穴の一つから、ウサギを借る鷹よりも早く、あるものが四メートル外の裁判官が机の下から出した顔に飛び降り、絶叫と鮮血の中で被害者を殺害した。

 そして裁判官の死が合図になったようにその一つ一つの穴からさっき裁判官を殺した虫のような青くて半透明な生物は蛇口から流れ出す水道水のようにあの穴から湧き出して周りの人を襲い掛かる、少数の虫は裁判官を殺したものと同じくピラミッドから人間に飛び降りるが大多数の虫は蟻のようにピラミッドに伝って這い降りて周囲に拡散する。

 静かになった法廷はもう一度叫び声と鮮血に満ちられた、あるものは殺されて、生きているものは扉の方へ逃げて部屋から脱走しようとしている。でも余りにも多くな人が扉に集まっていて逆にその小さい出口を塞がって誰にも出れなくなった。

 逃げ出したいのは星野も例外ではない、さきどれほど冷静でもこんな状況になったら流石に怖がって慌てる。だが不幸にも彼が逃げようとする途端に一匹の虫はもうすでに彼の足を抱き着いていて、そんなことを反応できなかった星野は再び地面に転んだ。

 そして獲物に立ち上がる間も与えず虫は星野の上半身に素早く移動して彼を完全に身の下に抑え、そして六本の足の真ん中にいる放射状の口を開いて体を降ろそうとする。

 星野は左腕を使って死ぬ気で虫を支えながら、右手は前方に倒れている警察が腰に付けている銃を取った。しかし銃を手の中に掴んだ瞬間、あの放射状の口の右側の部分が急に百円玉サイズの渦が生み出して、一秒もかからずにその渦は星野の驚愕ででかく開いたその目の前で管状の器官に変わる、そして変形が完成した同時に水晶のような弾を撃った。

 幸いなのはさっき暴れて落としたキーホルダーが偶々に星野の胸に落ち、その弾は二つの鍵が重なっている部分を命中して、星野の肺に至らなかったこと。

 こんな急変を目撃し恐れた星野は手を一刻も止めなく、手早く銃の保険を開いその醜い口の中に塞いた、そして人差し指でトリガーを引く。

 『パン、パン、パン』

 連続の三発を食らって虫は軽く痙攣し生気を失って体勢を崩れた。

 自分の上にいる虫の死体を傍に押し出して上半身を上げる星野は激しく暴れたとあまりの緊張感で喘ぎながら銃をしっかり掴んで次に襲ってくる物を警戒するが。奇妙なことは他の虫どもは星野のことを見えないようにただ法廷の出口から外に湧き出て逃走した人々をを追うだけ、例え進路の前に星野がいてもただその上で通るだけで目線をそらすこともなかった——目があればの話だが。

 一分も掛からない間にこの法廷ではもう星野以外の生き物が一人もいなくなった、少し安心した星野は銃を降ろして、胸に釘付けられたキーホルダーを弾ごと抜き出した。このキーホルダーのおかげで死に免れたが流石に鍵二枚でこの円錐状の水晶を完全に防ぐには不可能のようだ、骨までは至らなかったのは不幸中に幸いだ。

 気を引き締めて立ち上がる星野は天井をぶち抜いていま地面に刺さっているピラミッドと法廷に倒れている十数人の死体を見て、さっきからずっと頭の中に詰まっている言葉がようやく喋り出した。

 「どうなってんだよ、これは。」

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