特性ヘタレ!
矢斗刃
特性ヘタレ!
はなさないでこのままここを立ち去るのか・・・
時間が永遠に感じるように立ち止まって、何も話すことができない状態でこの気まずい空間が成立している。
彼女はただの店の店員で、ダンジョンに行く前に弁当やポーションなんかを買っていく。
これが何度目?何十回目だろうか?わからない。
ただここに通うようになって、彼女に会ってただ癒しをもらえればいいと思うそんな日々。
この関係が崩れないで欲しいと思っていた。
しかし、時間がそれを許さないのかもしれない。
彼女が次の日からそこに現れることはなくなってしまったからだ。
それが一日、二日と続いて・・・一週間になった。
普段から話さない俺は・・・彼女がいなくなった理由を別の店員に聞こうとしたが口を開いてコイのようにパクパクするだけで精一杯だった。
これもステータス画面にある特性ヘタレ(好きな異性に対して臆病になる)のせいだろうか?
「はぁー。」と溜息をついてクエストに必要なアイテムを購入する。
それからダンジョンだ。
ここのダンジョンはランダム要素が強くて、未だ強い魔物と会っていない事が安定した収入に繋がっていた。
特に採取系が楽でいい収入になるのだが・・・
今日も楽で安全ないいダンジョンならいいなーと思いながらソロでダンジョンに潜る。
しかし、今日の俺は運が悪かった。
ダンジョンにモンスター達、ゴブリンの群れに追いかけまわされて、どこをさ迷っているかわからない。
「はぁーはぁー。」と隠れて息を整える。
どうにか逃げ切れることに成功したが・・・周りを見れば散会して俺を亜がしているようだ。
短剣を取り出して後ろから敵のゴブリンを倒す。
一匹倒し、もう一匹をなんとか攻撃を躱して捻じ伏せる。
最後の一匹と対峙して短剣を投げつけ、ゴブリンの剣で切りつける。
「俺は股彼女の笑顔を見るまで死ねない、死ねないんだ!」と言って全力で切る伏せる。
おかげでレベルが上がり、身体が楽になる。
しかしこれは参った。恐らくこのダンジョンはゴブリン達を殲滅しないと出れない特別なダンジョンのようだ。
「やってやる。やってやる。そうして彼女の今度こそ話しかけるんだ!それまでは死ねない、死ぬわけにはいかないんだ!」と言って決意する。短剣とゴブリンの剣を持ってさらに先に進む。
それからゴブリンを何体もなん十体も倒して、今までにないほどのレベルアップの速度を経験する。まぁサボってたからな。と言うか命を大事にでやってきたからな、強くなることは悪くはない。
「はっ!」と忍び寄ってに三匹に傷を負わせる。そこからは傷で弱体化したゴブリンを狩る。卑怯者の戦法だが、一体何百なんだ。悪く思うな。
そんな繰り返しの俺の前にゴブリンアーチャーや、ゴブリンシーフ、ゴブリン戦士何かが現れる。完全に普通のゴブリンの上位互換だ。
スキルの下位隠密なんか効かない。
「倒してやる。絶対ここから出るんだぁぁぁ。」と向かって行く。
戦士から重い一撃をもらい。
その後ろからアーチャーの攻撃が飛んでくる。
その矢を躱したところにシーフの短剣が迫り服を切り裂いた。
そこに一撃を見舞ってシーフを屠る。
「ぐぎゃ。」と言いながら意識を借りながら飛んでくる矢をシーフを盾にしながらアーチャーに近づき短剣で切りつけた。
「ぐぎゃ。」
「ごぉぉぉぉ。」と戦士が怒り状態になりながら俺に向かって来る。
大剣を振りかぶりそれを振り降ろしてきた。
その攻撃を紙一重で躱して、隙だらけな所に攻撃を加える。
倒したことによりレベルが上がった。
「ふぅー。」と溜息を吐いて、一体どれくらいの時が経っただろうかダンジョンの中では時間の感覚がわからなくなる。
食糧何かはゴブリンが携帯している食料を食べたりしていたが・・・
「まずい。」流石に外の食料を食いたくなるぞ。
アーチャーの弓矢とゴブリン戦士の大剣を持つ。
まるで武器コレクターみたいだ。
黙々と作業を続けて、容量の少ないアイテムボックスに戦利品を入れる。
それからは普通のゴブリンは出なくなり、上位職のゴブリンばかりが出る様になる。
よりギリギリの戦いを繰り広げながら・・・
「まだ、死ねない。まだ死ぬわけにはいかない。」と独り言のように呟く。それを糧に生きる。
そして俺の前には大きなでっかいゴブリン。ゴブリンキングが現れていた。
「やっとここまで来たか・お前以外は皆死んだ。後はお前だけだ。」と大剣を向ける。
俺の背にはコレクションした武器が沢山背負われていた。
「ごぉぉぉぉぉあああああああ。」と同族が殺された恨みでもあるのか怒りまくっている。
「さぁー来い。これで脱出だ。」と大剣と大剣のぶつかり合いを繰り返す。
体格差があるはずのなのにそれをものともしないように俺は大剣の応酬を凌いでいる。
それもそのはずでいつの間にか身体強化の魔術を修得していて、身体に掛けることにより応戦ができている。ニヤリと笑う余裕があるくらいだ。
「ぐぎゃあああああ。」とその笑いを目にしたのだろうむきになって攻撃してくる。
「おっと。」と思っていたら俺の大剣が折れてしまった。
迫ってくる大剣に折れた大剣を手放して、両手にロングソードを持って応戦する。
少し手がビリビリしたがいける。
「はぁはぁー。」と疲れた息をしている。俺ではないゴブリンキングがだ。
「ここまでだ。俺を閉じ込めた代償を支払え。、お前のせいで彼女に何カ月も会ってないじゃないかぁぁぁぁー!」と魂の叫びで奴の腕に手傷を追わせて怯んだところに畳みかけるように攻撃を加えて最後に心臓を貫いた。
「ぐぎゃ。」と言って立ったまま逝った。
流石ゴブリンキング。
倒したことにより俺は今までの疲れが出てきたのかぶっ倒れるようにその場に崩れ落ちて眠った。
それから戦利品を回収して現れたゲートから元の場所へと帰還を果たすのだった。
「眠たい、もっと寝ていたが・・・。」やるべきことが俺にはある。
彼女のいる店舗に向かえばそこではいなかったはずの彼女がいる。
「ほーっ。」と癒されながら弁当とポーションを補給する。
「・・・。」
「・・・。」と会話はなかった。
そこから去るように店を出る。
「はぁー。」レベルは上がって精神とかも上がってるはずなのにヘタレと言う特性だけは治らなかったようだ。
ステータスを見ればレベルやステータスは高くなって、ゴブリンを討伐せしものという称号を持っているのに、特性のヘタレが・・・特ヘタレ(好きな異性に対して特に臆病になる)に変わって進化していたりする。
もしかしてこれは呪いか?俺はもしかしたら一生彼女と話さずに人生を終えるのかもしれない。
「ふっ。」それも悪くはない。悪くはないはずなのだが・・・涙が出てくる程だった。
特性ヘタレ! 矢斗刃 @ini84dco5lob
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます