自創作短編倉庫

奈保坂恵

HA-ご褒美が待っている


 尋ねられたくないこと、というのは往々にしてある。

 それは胸に秘めて、閉じ込めておきたいものだ。それを答えることはおろか、話題に触れられることすら拒みたい。そういうもの。


「だから、必ずしも君が応じることはないよ」


 鴬さんはそう言った。優しく聞こえるよう、努めている時の声だった。


    ***


 夏の日差しが照りつける中、なるべく日陰を選んで歩く。風が吹き抜けて夏服のスカートを揺らした。爽やかだけれど、せっかくの涼しさも太陽には易々と負けてしまうものだ。


 徐々に街路樹は減っていき、木陰がなくなったところで手庇を作りながら顔を上げた。前方、水平の車道の向こう側には目立つ建物があった。三階建てでレンガ調のタイルが外壁に貼られたそれは、小綺麗な公民館にも見える。一階部分の周りは駐車場になっていて、大小種類様々な車が止まっている。外に出ている人影は無い。


 初めて訪れる場所に不安感を覚える。否、訪れたことはあるけれど、一人で来たのは初めてだ。前は真夜中に、しかも移動中はほとんど眠っていて外観をよく覚えていなかった。敷地の塀に、瀟洒な飾りがついたプレートを見つける。『ククリ』と刻まれていた。ここで合っているようだ。


 携帯のメッセージアプリを立ち上げた。トーク履歴の一番上にいる相手を選び、「着きました。受付行ってます」と送っておく。

 気持ち背筋を伸ばして歩く。部外者とはいえやましいところは一つも無いし、ここを訪れる名分も十全に持ち合わせているけれど、慣れない場所は落ち着かないものだ。


 自動ドアをくぐってエントランスに入ると、冷えた空気が出迎えてくれた。それで、自分が汗をかいていると意識する。ハンカチで拭い、ついでにスカートがよれていないか軽く確認する。入り口から真向かいに受付が設置されていて、カウンターにはスーツの男の人が立っていた。柔和に微笑みかけてくれる。


「いらっしゃいませ。恐れ入りますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」

「滝山つつじ、です」


 受付さんはモニターを横目に見ただけですぐ視線を戻してきて、「滝山様。お待ちしておりました」と言った。真正面に大人扱いをされて、くすぐったい気持ちになる。


「ストリングが応対すると伺っております。が……」


 自分の中で、一瞬反応が鈍る。ストリング。まだ聞き慣れない名前だ。きっと言い慣れもしていないに違いない。


「……が?」

「申し訳ございません。まだ戻ってきていないようで」

「あ、遅れるかもとは聞きました。私が早めに来てしまっただけで」


 受付さんを気遣ったわけでもなく、実際の話だ。訪ね人からは、直前に予定が入っているから遅く来るくらいで良いと言われていたのだ。カウンターの背後にある壁掛け時計はまだ約束の十分前を指しているのに。


「ストリングにお伝えいたします。戻るまでこちらでお待ちください」


 受付さんはカウンターを回ると、そばにあった待合スペースに案内してくれた。壁際に白い革張りのソファと無垢のローテーブルがいくつか置かれていて、どこを向いても鉢植えのグリーンがそばにある。ジャズだろうか、カフェを思わせるような心地よい音楽が流れていた。私の他には誰もいない。


 ソファはふかふかで、あまり深く座ると沈んでしまいそうだ。受付さんは一度カウンターの奥に消えると、飲み物を運んで戻ってきた。ローテーブルに音も立てずに置いて、「何かあればお呼びください」と言い残してまた奥に入っていった。もしかして、普段からカウンターに待機しているわけではなくて、奥の部屋で監視カメラ越しとかに外の様子を確認して、来客があったら出てくるのかな。自分がエントランスに入る前に変なことをしていなかったか、少し気になってしまう。


 シンプルな丸いグラスにはお茶が湛えられていた。氷もたっぷり入って、まだ汗のひかない身には助かる。

 一口飲んで、覚えのある香りにすぐ気がついた。ジャスミン茶だ。




 

 私は現在、家族でない人の家に居候している。

 名を乃森鴬さん。彼は私の父の知人だ。知人と呼ぶのは正確でないけれど。家族を失った私の、今のところ保護者をしてくれている。

 ところで先日、誘拐された。


 普通に生きていて拉致の被害に遭うなんて早々あってはならないことだ。今までだって夜道で突然見知らぬ車の中に引き込まれそうになったり、帰り道でやたらと背後をつけてくるインスタントなストーキングをされたり、少なからず厄介ごとに巻き込まれたことはある。運良く生き延びてきた。でも誘拐はまた別だ。しかも殴られたりもした。正直今までで一番怖かった。思い出したくもないくらいに。


 少なくない厄介ごとは基本自力で解決してきた。今回の誘拐を経て私がまだ生きているのは、無論私の自力ではない。保護者である鴬さんが、保護者の役割を果たして救い出してくれた。警察を呼ばずに自らが敵陣に乗り込んで庇護対象を助けるのは、まぁ保護者の範疇を超えたことではあるけれど。


 さて、鴬さんが保護者の範疇を超えたことが出来たのは、鴬さんの職務に由来する。彼の勤め先は、今私がふかふかのソファで寛いでいるここ、要人警護などを請け負う警備会社『ククリ』だ。実際、要人警護という概要以外に普段どんな仕事をしているか私は知らない。知っているのは鴬さんが、朝早く出ていったり、遅く帰ってきたり、しばらくまとまったお休みを取ったりすることだけ。


 本来この場にいるべきでない私が来ているのは、私が誘拐された件に関係する。

 やはりこれも詳しく知らないのだけれど、この事務所と私を誘拐した不届きな一味は浅からぬ悪縁があったそうだ。私の救出作戦には鴬さん以外にもかなりの人数が動いていた。鴬さんは乃森鴬としてではなく、ククリのメンバーとして私を保護したことになっている。


 ジャスミン茶を半分まで飲む。暑さも引いて、落ち着かなさも落ち着いた。物思いに耽る。

 一週間前のことを思い出す。

 鴬さんの自宅のリビングで、夕食も終えた私たちはテーブルを挟んで向かい合っていた。鴬さんは珍しく真面目な顔つきをしていて、けれど肩の力は抜いて前屈みに、天板に肘をつく。


「ククリから君に聞き取りの要請が来てる」

 端的な切り出しに、私は補足を求めた。


「聞き取りって」

「君が攫われた件について。事情聴取って言ったらニュアンスが伝わるかな?君に嫌疑がかけられてる訳じゃないけどね。警察が関わってもいないし」


 すぐに是も非も答えなかった。思うところはあるけれど、それは一旦後回しにする。


「私が聞き取りに応じたら、どういうことが起きますか」

「特段、何も。単に君が話すか、話したくないか聞きたいだけ」


 誤魔化しだ。

 同じ家で寝起きする生活はまだ半年にも満たない。何を考えているか分からないことも多い。それでも鴬さんの感情の機微くらいは悟ることができる。嗚呼、きっと慣れない気遣いをしている。だから珍しく、会話の主導権を私が握っている。


「お兄さんのところの情報網が」

「……」

「どんな仕組みになっているかは、何にも分かりませんけど。私みたいなどこにでもいる高校生なんかよりよっぽど、ああいう危ない人たちに詳しいと思います。何なら私が攫われる前からあの一味について知っていたんじゃないんですか」

「……そうだね」

「それでも私に聞き取りを乞うのは、私の話に何か利益があるんですよね」

「……」

「話すか話したくないかは、お兄さんが言ったら、答えます」


 それとも、握らせてくれているのだろうか。

 鴬さんは手を組んで逡巡を見せた。


「……今回君を拉致した組織の構成員を何人か取り逃してる。下っ端はまだ良い。頭領を失えば空中分解する程度の人員だ。でも幹部は別。能力のある人間がまたメンツを集めて新しく組織を立ち上げる可能性が残ってる。矛先がうちに向くかもしれない……その前に、先手を打って幹部まで捕まえておきたい。捕まえるまで行かなくても、動向を把握できる状況にしたい。些細でも情報が欲しい」


「だから、私の話を聞きたい?」

「そう。君が屋敷で見聞きした情報。ただの印象や感情論で良い。そういうのを知りたがってる。でも」


 私が答えるのを阻むように逆接で止めた。

「……」

「うちがどれだけ礼節を弁えたとしても、これは君のトラウマを掘り起こす行為だ」


 問われれば答える。答えるためには仔細を思い出さなければならない。

 尋ねられたくないこと、というのは往々にしてある。

 それは胸に秘めて、閉じ込めておきたいものだ。それを答えることはおろか、話題に触れられることすら拒みたい。そういうもの。触れられれば、どうしたって思い出すのだ。

 一番怖かった。思い出したくもないくらいに。


「だから、必ずしも君が応じることはないよ」


 出会ってからというもの、散々私に礼節を欠いていた人がそう言う。

 なんとまぁ面の皮の厚いことか。でも、それは今やどうだって良いのだ。この人と暮らす決断をしたのは私だから、私の面の皮だって十分厚いことだろう。鴬さんが私に──多分、優しくもしたくなかったはずの私に。いま譲歩して、逃げ道を残してくれている。ただ首を横に振るだけで良いと言ってくれている。


 私にはそれだけで十分だ。あとは、思うところを聞くだけ。


「……聞き取りは鴬さんがするんですか」

「いいや。誰がやるかはまだ決まってないけど、別管轄が担当する。ただし俺も同席する」

「どうして」


 我ながらなんとも自明な質問だ。それらしい理由なんてすぐに思いつく。でも聞きたかった。鴬さんも今日ばかりははぐらかさない。


「君が未成年で、俺が保護者だから」


 私はつい笑った。鴬さんは不服そうに唇を少し歪めたけど、別に小馬鹿にしたわけじゃない。だって、嬉しかったのだ。

 一番怖い思いをした日は、怖いままでは終わらなかった。いまだに夢を見ることがある。そこは知らない場所で、知らない大人に囲まれて、私は縛られている。勝手に取引の材料にされて、命を値付けされて、逃げ出せば殺されかける。でも夢の中の私は泣いたりしない。


「……聞き取り、受けますね」


 貴方がいるから。





 そういう経緯で、今日はここに来ている。

 けれど鴬さんは鴬さんで、このあと予定している聞き取りの前にも仕事が入っている。外に出ているけれど必ず戻ってくるからと言われていたから、そこは気兼ねなく待つ。そういえば、今日の聞き取りをする人はどんな方なのだろう。怖い人でないなら誰でも構わないけれど。


 ジャスミン茶は早くも飲み干してしまい、あとは氷が残るのみ。喉が渇いていたのもあったけれど、美味しかったのもある。どこのお茶を使っているのか鴬さんに聞いてみることにしよう。

 壁掛け時計に目を凝らした。予定の時間も五分過ぎている。鴬さんはまだ来ない。


 暇つぶしを何か持ってくるべきだったかもしれない。背もたれに身をあずけると同時に携帯が振動した。さっき送ったメッセージの返信だろうか。


「おかわり、いかがですか?」


 けれど確かめられなかった。突然かけられた声に驚いて、メッセージを確かめる前に顔をあげる。

 ソファのすぐ横に女の人が立っていた。すらりと高い背でスーツを着こなし、人当たりの良い笑みでこちらを見おろしている。小首をかしげる拍子に、うなじでまとめた柔らかそうな髪が揺れた。


 何も恐れる印象の人ではない。けれど驚いた。今の今まで、横に立っているなんて気づいていなかったからだ。中々返事をしない私に、彼女は不思議そうに「どうかなさいましたか」と尋ねる。


「あっ、いいえ。すみません、大丈夫です」


 必要もないのについ、立ち上がってわたわたと両手を振ってしまう。私の慌てっぷりが面白かったのか、彼女は優雅に微笑を浮かべた。


「かわいらしいお客様ですね」


 もしかしてからかわれているのだろうか。居心地悪く、曖昧な相槌しか打てない。


「どなたかにご用事ですか?うちの者がお待たせしているようでしたら、すぐお呼びいたします」


 お待たせされているわけだけれど、それには及ばない。鴬さんだって、予定が済んでないからまだ来ていないのだろうし、きっと外に出ていてまだ戻って来てもいないのだろう。いや、鴬さんが意地悪で私をほったらかすこともあるにはあるけれど、今日ばかりは無いはずだ。


「さっき受付の方がう……ストリングさんに」


 やっぱり咄嗟に出てこない。けれど名前を告げるので精一杯になって、続きの言葉が喉の奥に引っ込んだ。受付の人が連絡するって言ってたから大丈夫です、と。そう言おうとしたのに。


「嗚呼、ストリングの」


 彼女が言う。声色も顔色も、何も変わっていないはずなのにこちらを威圧するような重みがあった。身が竦んでしまう。後ずさりは上手くいかず、彼女が大きく一歩距離を詰めてくる。


「うふふ、初めまして。滝山つつじさん」


 私は一体いつまで、知らない大人から名乗ってもいない名を呼ばれねばならないのだろう。秘密の花園を見つけたような、一段跳ねた声が追い詰めてくる。きっと鴬さんよりも低いのだろうけれど、立ち上がってなお彼女は私より背が高い。細い指先が顎をすくう。


「そう、あなたがストリングの……。思っていたよりかわいい子で驚いたわ。単身で敵陣を抜け出したって聞いていたもの。もっとたくましい子かと思っていたの」

「……」


 混乱して何も言えない。私の名前を知っているのは、事前に聞いていたのだろうとか推測ができるからそこはまだ良い。ただ、この人は順当に考えればここの人で、きっと鴬さんの同僚か何かで、人を護る仕事をしていて、つまり私に害を為すはずの無い人で。なのにどうしてこんな形で迫られているのだろう。逃げるべきか落ち着いて受け答えをするべきなのか、判断に戸惑う。


 ふと視界に何かが過った。

 ──あ。

 直感で手だと分かった。その腕は私の肩を抱き寄せて、彼女から引きはがす。ふらついた私を誰かの胸板が受け止めた。


「やぁ、エステル」


 頭上の声が言った。嗚呼そこの人、エステルさんって言うんですね。


「何してるのかな」


 エステルさんは微笑みを崩していなかった。さっきよりも愉快そうにすら見える。何を考えているのだろうと、見透かせもしないのにじっと見ていたら、目を合わせてはいけないと言いたげに掌が視界を遮ってくる。


「かわいらしいお客様がいたから、もてなそうとしていたのよ。ストリング」

「そう?俺の妹だよ、エステル。かわいいだろ?弱っちくてさぁ……君のおもちゃにはとても向かないよ」


 見えなくても、エステルさんが吹きだすのが分かった。「うそばっかりね」


「良いわ。意地悪するのはやめてあげる。それじゃあまたあとでね。ストリングと、お客様」


 足音が一瞬近づいて、通り過ぎていった。そのまま玄関の方へ離れていく。

 ほどなくして頭に回されていた掌が外れ、乱れた髪を撫でるように直す。


「大変おまたせしました……」


 いつになく殊勝な態度で、鴬さんはそう言った。

 本当に申し訳なさそうだ。よく見たら軽く汗をかいていて、上着を脇に抱えている。外にいただけかもしれないけれど、もしかして走ってきてくれたのだろうか。それにしても。


「……すごい、心臓が」


 胸に耳元を宛てているからよく分かる。鴬さんの拍動がまるでマラソンのあとのようだ。


「うん、走ってきたからね。ほら、美人さんが今頃さみしがってるかと思うとね、待たせたら悪いからさ」

「絶対それだけじゃないでしょう。さっきの人、エステルさん?そんなに怖い人なんですか」


 うんともううんともつかない唸り声をあげる。私は妙な豹変っぷりに身が竦んだけれど、鴬さんまで怯えるなんてどうなっているのだろう。


「俺が新人だったときの教育係……」

「上司じゃないですか」

「にこやかにスパルタ。すごい怖い」


 そろそろ暑くなってきたから離れたいのだけれど、走ってきてくれた人をぞんざいに扱うのも気が引ける。背に腕を回して軽く叩くとようやく解放された。

 それにしても、人は見かけによらないものだ。まとう雰囲気こそ、小学校で音楽の教科とか担当していそうなのに。優しそうに見えても中身は分からないものだ。……ん?


「さて……じゃあ行こうか」


 鴬さんがさもエスコートのように腕を引いてくるけれど、拒否した。はねのけるまではしないにしろ、私は私で腕を引き返す。


「いや、あの、待ってください」

「なに?」

「さっき、『またあとでね』って言ってた」


 鴬さんが露骨に目を反らした。それで私は思いっきり殴ってやりたい気持ちになる。しないけれど。

 エステルさんがいった『あとで』とは、つまりこのあとすぐという意味で。


「聞き取り、エステルさんがするんですか」

「まぁ、そう……だね」

「知ってたんですか⁈先に言ってくださいよ!」

「落ち着いてよ美人さん。素直に怒ってる顔も素敵だけどね。弁明を聞いてくれるなら言わせてもらうけど、エステルが担当なのは俺も今朝聞いたところだったし、まさか俺が合流する前にエステルが君にちょっかいかけるなんて想像もしなかったよ。君って本当……変な人間に好かれるよね」

「貴方を含めてね!」


 ひとを誘蛾灯呼ばわりするなんてあんまりだ。今度こそ腕を引く彼の手を軽くはねのけた。


「私、帰りたくなってきました」

「待って待って。あの人仕事はきっちりしてるんだよ。繊細な話をするそばで、さっきみたいな悪戯をするとかは無い。これは絶対」

「すごい怖いって言ってた」

「言った言った。でもあれは俺に対してね。同僚全員にスパルタだけど、お客にはきちんと丁寧に応対しますとも。あれは君越しに俺をおちょくってただけで。そこの分別はついてるよ。これも絶対」

「……」


 どうして鴬さんがエステルさんの擁護をしているのだろう。当の鴬さんですら「なんで俺が庇ってるんだろうね」などと言い出している。私は別に、彼女の印象を和らげてほしいわけでもないのに。

 私がうんともすんとも言わなくなったからか、わざわざ軽く屈んで目線を合わせてくる。仕方がないとでも言いたげに肩に手を置く。


「大丈夫だよ、俺がいるから。これが一番絶対」


 これにはちょっと参る。今日、私が聞き取りを受けると決めた理由と合致してしまうではないか。

 でもこれで『じゃあ行きましょう』なんて快諾する気にもなれない。


「……アップルパイ」

「もちろん、喜んで。帰りに林檎を買い足そうね。ついでにカップケーキも焼こうか」

「そんなに要りません」

「はい」


 鴬さんはちょっと楽しそうだ。いつものにやにやした笑い方じゃなくて、右の口端だけ上がっている。我が儘を言われているのに楽しそうにするなんて。


「変な人間……」

「ん?エステルの話かな」


 下手なおとぼけを聞き流して鴬さんの袖を引いた。無くたってどの道帰るつもりも無かったけれど、アップルパイが待っているのなら、今日は頑張れそうだ。

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