第105話 【閑話】追放の理由
前書き失礼します。
88話や98話に出てきている話を、人伝ではなく、改めて当事者たちからの話と謝罪をしてもらい、面と向かって和解した話ですので、読み飛ばしてもらっても大丈夫です。
昨夜の話になる。
ロイが何故追放されたのか?についての話。
夜、ロイのところにレイナ、ミネア、父が土下座し、何故か国王も土下座している。
慌てて立ってもらったけど、何故かと聞いたら、えっ?と思う回答が来た。
「陛下?何故か聞いてもよいですか!?」
「何故だろうね?大した意味はないけど、まあノリだね」
「ノリ・・・ですか?」
「ほら、おっさんもいるけど、若い子が土下座しているのに、1人だけしないのも空気読まないじゃないか?」
ロイは諦めた。
「あまり面白い話しではないと思いますよ」
流石に后が引き剥がし、何やっているんですか!?と怒られていたな。
3人を立たせ、落ち着かないので座って話を聞くことにした。
先日ミネアから聞いていたけど、レイラが予知をしたのだと分かった。
彼女の予知の凄いところは回避可能なこと。
ロイが婚約破棄されたのは、国中に出していた通達により、【魔石操作】の加護を得た者がいた場合かつ、その者が婚約していれば婚約を破棄しなければならない。
3年前にレイラが行った予知には、新たに【魔石操作】の加護と【魔石抜き取り】のギフト持ちを得た者が現れる。
数年以内にこの国に現れ、その能力者に婚約者がいた場合、その者が婚約破棄しなければ・・・真っ先にその者から命を落とし、その者が住んでいた町、近隣の町、地方・・・と連鎖反応的にあることが起こり、国が滅びるとまで予言されていた。
只し、どこの誰がいつどこの町に現れるのかまで予言出来ず、婚約破棄すればその者がいずれ国を救うと。
ただそれだけだ。
不幸だったのはミネアだ。
好きな人との婚約を破棄しなければならなくなった。
頭が真っ白でろくな言葉が出なかった。
だから不自然な追い出され方をした。
それにより父親がしなくても良かった追放をせざるを得ない状況に追い込まれた。
外れを引いたからミネアの機嫌を損ねた。
婚約破棄される事態ということは、ロイが得た加護のせいで子爵に泥を塗った。
貴族家に泥を塗っておいて、婚約破棄しただけでは済まないと。
普通はそうなるからで、ミネアの態度からもしも家にそのまま置いてのうのうとさせてしまえば、更に怒りを買いロイが殺されかねないと思ったのだ。
だから誰が見ても【追放】されたと思われるようにしなければならなかった。
特に四男のギイは何かとロイのことを嫌っており、偽りの追放と知られると密告しかねない。
なのでギイの眼の前でロイに高圧的に追放を告げた。
妻にも告げられず、本当に怒りから追放したと思われるほどに鬼気とした態度を取った。
その甲斐有りギイを騙せた。
妻と娘から今すぐの追放だけはと言われ、荷物の整理などの猶予として2日、おそらくギイの目をごまかす限界を告げるにとどまり、この後は顔を見ると涙が出そうでロイと顔を合わすことができなかった。
妻にそっと剣と路銀を渡すのが精一杯で、妻はその涙にロイの追放は本意ではないと理解した。
その後ギイの不在の時を見計らい、魔法書などを送り込んでいた。
ミネアから聞いてはいたが、これまで父親とは会えずじまいで、今回は直接話を聞けた。
ロイは新たな出会いがあり、結果オーライだから気にしないでと、3人とハグをしてこの話はもう終わりとした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます