第55話 バワーレベリング二日目
リラのパワーレベリングの予定は1週間。
そしてこの日は2日目となり、パーティーメンバー6人全員が揃った。
リックガント魔法道具店の工房では、今日の方針について打ち合わせが行われている。
今は秋、冬が迫っているが、ミランダは新しい胸当ての出来に満足していた。
「ロイ様見てくれよ!アタイの胸にジャストフィットなんだぜ!ほら、動いてもブレないんだぜ!」
ジャンプしたり、体を振ったりと胸を強調しており、ロイは目のやり場に困っていた。
装備のお披露目なので見ない訳にもいかず、でも長く見ると女を意識してしまう。何よりソニアからむっつりスケベと嫌われるのが怖かった。
しかし、救世主が!エリナがミランダにダメ出しを始めた。
「ちょっとミランダさん!駄目ですよ!ロイ様が困っているじゃないですか!貴女は端女ですか?そんなに胸をタプンタプンさせて、露出狂ですか?加護は分かりますが、もっと貞淑にすべきです!」
「わーった、わーったって!でもな、ロイ様は喜んでいると思うぜ!」
「駄目ですよ!貴女のオッパイは誰の物ですか?その辺の人に見せるものですか?」
「いや、ロイ様の物だ・・・」
「ならば、戦いの場までは隠しなさいな!それに殿方はこうやって見せびらかすよりも、見えてしまったという方が萌えるそうですよ!」
ロイはちょっと待て!変な方に話が進んでないかと思い、ミランダのオッパイの問題はエリナに任せ、リックガントと打ち合わせをしていた。
エリナは生真面目だが、何やら間違った方向の知識を持っている。話から体を安売りするなと言っているようにしか思えない。聖女のような笑みを浮かべてはいるがその実、男を手玉に取る悪女なのではと思わなくもない。
装備の点検が終わると、本日はゴブリンの集落の調査依頼に出掛けた(可能なら殲滅)
目的地は町から歩いて1時間半ほどの村を少し超えたところにある。
・
・
・
秋が深まる中、一行はゴブリンの集落へと進んでいた。主街道から分岐路を村に向かって歩き始めると、リラの護衛を務めるベリーズ、ソニア、エリナの三人は、緊張感を隠せずにいた。この日の標準フォーメーションは、ベリーズがソニアとエリナ、リラの護衛を担当する。戦闘が始まるとソニアは収納から出した大盾で防御し、網を出す機会を伺う。エリナとリラはモーニングスターを手に敵を待ち構えるスタンスだ。
しかし、予想よりも早く、ゴブリンの群れが現れた。
「敵だ!フォーメーション、キープ!」
いち早く気が付いたベリーズの声が響き渡る。
彼が司令塔を担うが、それはロイがアタッカーであるため全体を見ることができないからだ。
ソニアは盾で前面を固め、エリナとリラは彼女の背後から敵を狙う。ベリーズは周囲を警戒し、敵の背後からの奇襲に備えていた。
ロイとミランダは、アタッカーとして前線に立つ。ロイの剣が光を帯び、ミランダの動きは獣のように俊敏だ。二人は、ゴブリンたちを次々と切り伏せていく。
しかし、数の優位を誇るゴブリンたちは容易には退かない。ロイは五体のゴブリンに囲まれ、ピンチに陥る。彼の剣は、敵の攻撃をかわすが、集中を保つのが難しい。
一体に手を触れるとロイは叫ぶ。
「抜き取り!」
その瞬間、その一体は倒れ、一秒ほどすると触れていないにも関わらず、触れたのとは別に三体のゴブリンが倒れ、ロイの手には四つの魔石が握られていた。
ロイは残り一体を剣で薙ぎ払って倒すと、触れて魔石を抜き取る。
『これは・・・【魔石抜き取り】加護の力が増したのか?ここにきてギフトがバージョンアップしたということか!。以前は直接触れなければならなかったが、今は距離を置いても魔石を抜き取ることができるようになったのだろう!よし!行くぞ』
ロイは周りを見渡し、次の獲物を見定める。
ミランダは堅実に敵を貫いて倒し続け、ソニアたちも順調にゴブリンを討伐していく。網を出して絡め取った所にリラとエリナのモーニングスターが襲いかかる。網を逃れたゴブリンに対し、ベリーズの斧が情け容赦なく振り下ろされる。
ロイはポケットに魔石を詰め、リックガントからの指示を試す時が来たと感じた。
「今だ!」
ロイの声が、戦場に響き渡る。
残り10体となったゴブリン、その中の4体の集団に突っ込む。
戦いは激しさを増し、ミランダたちの息遣いが荒くなる。しかし、彼らの絆と戦略は、この戦いを乗り越える力となる。
「抜き取り!」
ロイは棍棒を振り回すゴブリンたちの間合いに入ると、【魔石抜き取り】と再び叫んだ。
一秒ほど経つと、触れてもいない三体のゴブリンが倒れ、ロイは少し離れた所にいた残り一体へと一気に距離を詰め、間髪入れず剣の腹で殴り倒す。
馬乗りになり組伏せ、そのゴブリンに対して魔石合成を試みる。
「魔石融合」
魔石を体に押し付け叫ぶとそのゴブリンは光だし、びくんびくんと体が震えていた。
数秒して震えと光が収まると・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます