第48話 無駄な実験?

前書き失礼します。

予約投稿ミスりました。16日7時の48話の投稿失敗し、その後の49話が12時投稿でした。




 独特の匂いのするリックガントの工房には、色々な状態のスライムが所狭しと並べられている。

 最早見慣れた光景だが、初めて見た者は息を呑むだろう。

 美容と健康向けの素材となる固形のスライムが一番多く、次に回復ポーションの材料となる液体状のスライムが並んでいる。

 一応札を置いて管理している。


 そんな中、ロイは砕いた魔石を液体状のスライムに混ぜた個体をいくつか並べて行く。


「コナリス、これはスライムの魔石に魔力を込めながら砕き、体内に入れてみた物なんだ。これで回復ポーションを作ってみて!」 


 同じくオークの魔石に魔力を込めて砕いたバージョンも置いていく。


「こっちのはオークだけど、一応試してね。多分良い結果は得られないから、その事実を記して欲しいんだ。これは一見すると無駄な作業だけど、実は大事な作業なんだ。無駄だと思っていたら、思いもよらぬ効果を発見することもあるから。地道にね」


「イエッサー」


 変な敬礼をしてコナリスはロイの司令を受理した。いや、今後の指示だ。

 もちろんコナリスにも一部のスライムを好きに使っても良いと、失敗は気にせずやってもらうことになっている。


 粉末化はロイが分からない部分なので、任せっきりだ。

 しかし、一進一退ではあるが、確実に開発は進んでいた。

 そんな中、リックガントがロイに一言告げる。

 

「ロイ君、恐らくオークの魔石を入れても変化はないと思うがどうかな?」


「もちろんそうだと思いますが、コナリスさんにもそうなると言ったうえで、そうなる検証の記録を頼んだ感じです」


「うむ。所で君の加護は魔石操作だが、複数の魔石を入れたり融合はできないのかね?」


「やったことはないですね。なるほど、面白そうですね。試してみます」


「それとスライムの魔力は、たらいの上とかで砕くとどうなるのかな?」


「粉になってしまうだけで、使い勝手は良くないかもですね」


「君が発見したスライムの特性だが、その中に攻撃を食らうと体液が劣化するというのがある。劣化の仕組みだけどね、魔石にそのヒントがないかね?外側、つまり膜の部分以外、不純物が見つからないんだ。私はこの事象のヒントが魔石に隠されているのではないかと思うのだ。ひょっとしたら砕いた魔石の中に他と違う何かがあるのではないかなと思うんだ。中級にしろ、上級にしろ、回復ポーションの作成に必要な触媒の製造方法は秘匿されているんだよ。そのキーパーソンが魔石だと思わないかい?」


「それじゃあ、今度砕いたり合成したりしてみますか?」


「頼めるかい」


「スライムの魔石は一度討伐証明部位として売らなければならないので、買い戻しをしてみます。試すのはその後になりますね」


「頼んだよ」


 この日はリックガントよりロイが思い付かなかった発想を伝えられ、自分はまだまだだなとため息をつきつつ、流石に薬師だよなぁと思うロイだった。

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