第47話 コナリスからの報告

 ベリーズを除く現在の【晶石の舞】メンバーはコナリスが勤めるリックガント魔法道具店を訪れた。

 彼女から最新の検証結果報告を聞くため、工房に集ったのだ。


 エリナとミランダは初めて訪れ、その場にいるだけで、店内に漂う魔法のアイテムたちから発せられる微かな魔力を感じ取りながら、コナリスの話を待ちわびていた。


 コナリスは昌石の舞のメンバーたちが集まると、彼らの注目を一身に集める形で、彼女が最近発見した、驚くべき効能を持つスライムについての説明を始めた。


「えっとですねぇ、発見がありました」


「ちょっと待て!その前に自己紹介をしない?まさか既知の仲なんて落ちはないよね!?」


 へっ?と唸りコナリスは人が増えていることに今更ながら気が付いたようだ。


「えっと、お客さん?」


 ロイはこいつ何処かに捨ててこようかと一瞬本気で思う。

 よくリックガントさんはこの人を弟子にしたよなと、心の底から思う。

 しかし、ソニアが紹介してくれた。


「コナリスさん。新たに私達の晶石の舞に加入したミランダさんとエリナさんです」


「エリナですわ。お噂は聞いております。宜しくお願いします!」


「ミランダだぜ!ミランダって呼んでくれ!あんたがロイ様の助手なのか?」

 

「ご丁寧にですぅ。私はここの店番してるコナリスですぅ!」


 何故かミランダがコナリスのことを気に入ったようで、背中をビシバシ叩いてよろしくなと笑顔を向けていた。ただ、コナリスからは痛いですぅと聞こえるが、スキンシップは良いことだよなとロイは生暖かい目で見る。

 どちらかと言うと真逆の性格で、歳も違うが、逆にそれが良いのかもとソニアも一緒に見ていた。


「今度兄貴を紹介するぜ!今日は野暮用で来てないけどさ、きっとあんたのことを気に入るぜ!多分兄貴のどストライクだ!」


「おにぃさんですかぁ?覚えておきますですぅ。じゃあ話を続けますねぇ!」


 あまり関心がないのか、スライムの話をとにかくしたいらしく、熱く語り始めた。


 そして最初に取り上げたのは、陰干しにしたスライムの身である。


「この陰干しのスライムの身には、美肌効果とお通じの改善に非常に高い効果がありますぅ。その秘密は、コラーゲンが豊富に含まれていることにありますぅ。定期的に摂取することで、皮膚の健康を維持し、若々しい外見を保つことが可能になりますですですぅ」


 とのことだった。


「それって切り身と効果が変わらないってことか?」  


「まだ検証が必要ですがぁ、効果だけならそうなりますぅ!でもですねぇ!かなり軽くなるんです!」


 質問したロイが頷くと、次にコナリスは天日干しにしたスライムの身の効能について、熱心に語り始めた。


「陰干しのものとは異なり、天日干しにしたスライムの身は疲労回復に特化しているのですぅ!お日様の天日の光をたっぷり浴びることでぇ、スライムの身に含まれる特定の成分が活性化され、体力の回復を促進しますぅ。冒険の後や厳しい訓練の後に摂取することでぇ、体の回復が格段に早くなるはずでぇすぅ!」  


 いつもの謎口調で語った。


 メンバーたちはコナリスの説明に熱心に耳を傾け、その驚くべき効果に目を輝かせた。特に、疲労回復効果に関しては、冒険や任務の際に直面する肉体的な疲れを迅速に回復させることができるため、非常に魅力的であると感じた。この新発見がどのように彼らの冒険や任務に役立つかを考え、その活用方法について熱心に議論を交わした。


「コナリス、これは本当に素晴らしい発見だよ。僕たちはこれらの効能をどう最大限に活用するか、真剣に考える必要があるね」  


 ロイの言葉に他のメンバーからも同意の声が上がった。コナリスは彼らの反応に満足し、この検証結果が冒険者活動にどれほど役立つかを見るのを楽しみにしていた。

 彼らの冒険がこれからも安全で、より成功するものになることを願いつつ、報告は和やかに?終わった。

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