外れギフト魔石抜き取りの奇跡！〜スライムからの黄金ルート！婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

第4話 商業の町アルディスと貨幣

　高い壁が空に向かって伸び、人々の活気が街を満たす商業都市すアルディス。

　その町の前には剣を手にしたロイが立っていた。

　彼の心は戦闘系の加護とギフトを持たないという重荷に沈んでいたが、冒険者ギルドへの一筋の希望を抱いていた。

　家を出るよう言われた2日後、婚約者がいる町とは反対方向に、２日ほどかかる大きな町を目指すことにした。

　村から近い町だと加護のことを知っている者と遭遇したり、元婚約者に出会ってしまう恐れから、別の領主が治める町に向かったのだ。

　また、餞別として、元々成人の祝いとして渡そうとしていた剣をもらった。アルディスまでの旅費は母親から渡されたが、父親は見送ることもなく、『もう使い道もないからお前の好きにしろ。売るなり飾るなり』そうやって妻に渡していた。

　なんだかんだと言って心配で、立場的に追放ざるを得なかった。子爵に責められ、儂の領地に不能者はいらぬと言われ、泣く泣く突き放さざるを得なかった。

　恐らく留まれば子爵から暗殺者を差し向けられ兼ねないからだ。

　だから表面上は無情にも追放した素振りを見せねばならず、回りくどいことをしていた。

　特に四男が子爵家に密告しかねないので、そうしていた。

　手持ちのお金は１か月分の生活費、それもかなり切り詰めての額しかない。仕事を見つけないと早々に飢えてしまう。

　そこで冒険者登録をすべく、冒険者ギルドを訪れた。夕方までまだ時間があるためか、比較的空いている時間のため空いている受付があり、冒険者登録をお願いする。

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「申し訳ありませんが、貴方の加護では冒険者登録はできません」

「でも僕は準男爵である騎士の息子で、子供の頃から剣を修めてきました。ゴブリンなら単独で倒したことがあります。それにほら、ちゃんとした剣もあります」

「そうかもしれませんが、規則です。それでしたら、騎士の方の推薦状をお持ちください。なければ規則に則るだけです。お引き取りを」

　美人受付嬢の言葉に打ちのめされ、ロイはギルドを後にした。しかし、彼の心には、困難を乗り越える強い決意が芽生えていたが、現実とは厳しいものだ。

　残念ながら冒険者ギルドの門は、外れギフト持ちのロイに対し閉ざされていた。

　街を歩き、仕事を探すロイ。

　だが、どこも門前払いだ。

　農場の護衛、承認の護衛、生産系のギフトや商いに有用なギフトもない。

　貴族の屋敷に使用人として雇ってと言うも、推薦状をと相手にされない。町に来てから数日が経過し、焦りが見え隠れしてきた。

　もし魔物を討伐しても、魔石や素材の買い取りは冒険者以外からギルドは受け付けない。

　ならばどうするか？直接取り扱っているところに持って行くしかなく、大抵は二束三文に買い叩かれ、生活できる額の稼ぎを得られないのが関の山だ。

　そんな中、ギルドの裏手にある解体場で、ロイはチャンスを見つける。

　ギルドの裏手を覗くと解体場があり、職員が手際よく解体し、魔石を抜き取っていた。

「ばかもん！何度言ったら分かるんだ！こんなふうにナイフを入れたら魔石が傷つくだろ！ほら、やっぱり傷が入っているじゃねぇか！これじゃあ・・・・」

　そんな怒鳴り声が聞こえてきたのだ。

　魔物から魔石を抜き取る作業には、己の特殊なギフトが役立つと確信し、若い者を怒鳴り散らしていた監督者に声をかけた。

「ちょっとよろしいですか？実は仕事を探していまして、僕のギフトなら魔石を効率よく、かつ無傷で抜き取れます。試してみませんか？」

　疑わしげな監督者だったが、ロイの決意に心を動かされ、試す機会を与えた。

「魔石抜き取りのギフトか。また珍しいな。まあいいだろう、お前の腕を見せてみろ。言っとくが安い上にかなりきつい仕事だぞ。お試し期間の日当は5000リュピスだが構わんか？採用したら条件は見直すが、お試し期間の働きぶり次第だからな」

　安いな…と思うも背に腹は変えられない。今の話から働き次第で給金は上がるらしい。

　確か安い宿屋で一泊4000リュピスとなるので、食べ物を買うと赤字だ。

　貯金を切り崩すことになるが、採用されれば最低限の生活はできるかなとひと安心だ。

　そうしてロイは一週間お試しとして、解体場で働き始めることになった。

　ロイのギフト【魔石抜き取り】は驚異的な成果を上げた。

　これまで１割ほどの魔石を傷つけており、それなりの損失があった。だがロイに、冒険者が魔物を倒す時に付いた傷があるの魔石を除き、歩留まりが大幅に改善されたのだ。

　父に鍛えられたのもあり、歳の割に体はしっかりしており、重労働に何とかついていけていた。

　また、魔物の知識が役に立ち、解体の効率を改善したりしたのもあり、ロイは一週間後には解体場に欠かせない存在となり、監督者、解体場長のガレスから住込みでの仕事を提案された。

「ロイ、この一週間にわたるお前さんの働きぶりは素晴らしい。外れと言われているようだがな、ここじゃあ良ギフトだ。給金は低いが、良かったら住み込みで働かないか？倉庫に使っていた部屋なら寝泊まりくらいできるしな」

　ロイは提案を快諾し、新たなスタートを切った。

　冒険者としてはギルドから門前払いをされたが、その苦難を乗り越え、自分の居場所を見つけたのだ。

「ありがとうございます。私はここで必要とされています。この恩は必ず返します。」

　ロイは取り敢えず何とか新たな生活をスタートしようとしていた。

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　以下はこの世界の通貨についての概要についての説明文。

【通貨概要】

　単位名称：リュピス

　由来：その昔、魔王を討伐した勇者を称え、勇者リュピスの名が貨幣の単位となった。

　通貨形態：硬貨のみ。

　硬貨の種類と価値：

　1鉄貨：10リュピス

　1銅貨：100リュピス

　1銀貨：1,000リュピス

　1金貨：10,000リュピス

　換算基準：金貨1枚を現代日本での10,000円と考える。

　この通貨システムは、冒険者たちが獲得する報酬や、日常の買い物における支払いなど、経済活動全般において重要な役割を果たしています。リュピスの価値基準を理解することは、この世界での生活や冒険において不可欠。