【KAC20245】あい らぶ おねえちゃん
いとうみこと
離れたくないにゃ
我が家には三匹の猫がいる。いずれも保護猫で上から九歳のさくら(三毛)、八歳のもも(白黒ハチワレ)、六歳のうめ(黒猫)である。どの子も生まれて半年以内くらいのタイミングで我が家に来た。
三匹いると当然相性が合う合わないがあるが、さくらはいずれにもフラットな対応を取る。来る者拒まず、ただしうるさいのは嫌いといった感じ。ももはにゃんずより人間の方が好きで単独行動が多く、他の猫にグルーミングしたことがない。ももはとにかくさくらが好きで好きで、一方でうめを明らかに嫌っている。
もものさくら愛は異常なほどで、さくらの姿が見えないと捜し回り、さくらが寝ているハウスや猫ベッドはどんなに狭かろうが割り込んでいく。そして頭を舐めてもらうためにさくらの顎の下に自分の頭をグリグリと突っ込む。さくらは仕方なさそうに舐めてやるが、面倒くさいときは噛み付いて撃退する。ももはほうほうの体で逃げ出すのだが、暫くするとまた懲りずに頭をグイグイ押し込んでいく。さくらが猫一倍リバースするのはももの毛繕いまでしてやっているからだと私は思う。
うちの子たちは皆保護施設から引き取った。さくらとうめは生まれてすぐに保護された猫だが、ももには僅かだが外暮らしの経験があるらしい。そのせいか、今でも食に対してものすごく貪欲だ。そして凄まじく警戒心が強く、抱っこは嫌いだし、家族の中でも私の膝にしか入らない。
そのももが唯一全幅の信頼を寄せているのがさくらなんだろうと思う。そう考えると、そういう先輩猫に出会えたももは幸せなんだろうな。そして、渋々だとしても面倒をみてくれるさくらには感謝しかない。
さくらは今年で十歳。そろそろシニアの年代だ。もしさくらが先に逝ってしまったら、ももはどうなるんだろう。そう考えるだけで胸が締め付けられる。
今も私のそばで磁石のように張り付くさくらともも。きっとももは思っているだろう。決してニにゃんを離さないでねと。
【KAC20245】あい らぶ おねえちゃん いとうみこと @Ito-Mikoto
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