第7話
そこからは、勇者時代を思い出すように隠密行動で盗賊を狩りまくっていった。
その途中だった。盗賊レベル5を発見した。たぶん、この盗賊団のドンだろう。
さらに左右に盗賊レベル3もいる。……普通に考えたらかなりの強敵なのだろうが。
――隙だらけだな。
俺は盗賊たちからかき集めたナイフを投擲する。
「ぐあああ!?」
「なんだ!?」
すぐに距離を詰めて盗賊の首をかっさばく。
「てめぇが、さっきからちょこまか俺の仲間を殺していやがるやつか!?」
「あっ、挨拶遅れてすんませーん、初めまして。んじゃさよなら!」
「舐めてんじゃねぇぞ!」
盗賊が持っていた短剣を振り下ろしてきたが、俺はそれをかわす。すぐに追撃のナイフが迫る。
さすがにレベル差もある無駄な動きをすれば、すぐにやられそうだ。
ああ、くそ、魔法が使えればなぁ。
俺は両手の短剣を交差させるようにして攻撃を受け流す。
すぐに隣にいた盗賊が迫ってきたが、
「足元がおるすだな」
攻撃をかわしつつ、足払いでよろめかせる。その体を肩から突進し、吹き飛ばす。
「ぐっ!?」
「くそ!」
盗賊のドンへとぶつけると、ドンは味方だからかそれを受け止めた。
隙だらけだ。俺はナイフを投擲し、ドンの目に投げた。
「ぐあああ!?」
「悲鳴上げてる暇があるのか?」
さっさとその喉へと短剣を振りぬいて仕留めた。
その瞬間だった。
『称号【村の英雄(ランクS)】を獲得しました! ボーナスステータスポイントを獲得しました! 村エリア、村周辺で戦闘を行う場合、ステータス、獲得経験値が上昇します。この称号はすべてのプレイヤーで一人のみ獲得可能です』
『称号【殺し、始めました(ランクB)】を獲得しました! ボーナスステータスポイントを獲得しました。また、対人との戦闘において、ステータスが上昇します』
『職業解放の条件を満たしました。【暗殺者】、【剣闘士】の職業が解放されました。近くの転職神殿で転職が可能です』
「……おお、また称号が手に入ったのか」
ここまでも様々な称号を入手していた。
今回のように、ステータスなどに反映されるような称号は初めてだったが、これは便利だな。
おまけに、まさかチュートリアルをクリアしただけでSランクの称号をゲットするとはな。
ていうか、盗賊はざっと50人いた。
討伐してもあとからあとからどんどんわいて出てきやがって、面倒極まりなかったな。
もう盗賊というか、一つの組織だったな。
とりあえず、【暗殺者】の職業が出てきて良かった。
やっぱ人を殺しまくるのが条件なのかな? あるいは隠密状態でのキルとか。
結構敵に気づかれる前に殺したりもしていたので、よかったよかった。
『チュートリアルはこれで終了になります。報酬としてHP10%回復ポーション5個と50000ゴールドをプレゼントします』
おお、基本的なアイテムとゴールドか。
まあ、大したものではないが、嬉しい限りだ。
『さらに、あなたは隠しミッションを達成しました。100000ゴールドを追加でプレゼントします。さらに、すべての盗賊を討伐せよをクリア。すべての盗賊を無傷で討伐せよをクリア。報酬を以下からお選びください』
……マジで? まあ、もらえるならもらっておくとしようか。
俺は早速提示されたアイテムを確認する。
武器かアクセサリーがもらえるって感じか。
武器に関しては、たぶんそこそこいいんだろう。今つけている【ただの短剣】は何のステータス効果もないので判断に迷うが、それなりの性能だ。
ステータスポイントが今後どのくらい手に入るか分からないが、ここに提示されている装備品はすべて。
ただ、武器はどんどん買い替えていくものだろう。
俺は防具より先に武器をそろえるたちだしな。
そうなると、後回しになるだろうアクセサリーを入手しに行ったほうがいいな。
アクセサリーを二つ入手した。
一応、装備品はどちらもレアなものだろう。使わなくてもコレクターアイテムとして売りに出すとかもできるかもしれない。
俺はあまり気にしないが、ゲームとかだとすべてのアイテムを獲得したい、みたいな人間もいるからな。
『それでは、『リトル・ブレイブ・オンライン』をお楽しみください』
そんな声が聞こえるとともに、俺は見知らぬ街へと移動していた。
マップを見てみると、第一の街アンタレスと書かれていた。
俺のように、続々と人がログインしていく。
声を聞いていると、皆プレイヤーなのがわかる。限りなくリアルに近いこの世界に感動する声がいくつも上がっているが、とりあえず俺は今日は一人でプレイする予定なので、さっさと目的地へ向かう。
まずは転職神殿だ。それからは、称号効果を発揮するため、どこかの村にでも行こうかね。
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