死眼の聖女

@RKTUS

プロローグ

いつからでしょうか。この瞳を開かなくてなってから幾年の日々が流れていたのでしょうか。


「へへっ…とんだ美女がいるって聞いて来てみたら大当たりだぜこりゃあ!!」

「大頭。最初にヤッてもいいすかね」

「駄目に決まってんだろうが。俺が最初にやるんだよ」


人は醜い。私はそれをこの永き人生で知ってしまった。

私を犯すために村を滅ぼし、女を凌辱、子供は奴隷に、鬼畜の所業でしょう。


「……貴方方に生きる資格はありませんね」

「何言ってんだ!?押さえちまえ!!」

「虫と同じく……地に這いつくばりなさい」


開いた眼が山賊達を定める。

赤い瞳は一瞬の輝きを放つと、全ての山賊は倒れた。

男達は一瞬にして冷たくなっており、そこには誰も生者はいなかった。


「……人は醜い。かく言う私も人ではありますがね」


燃えた村々を前にしながら聖女は歩む。

ここにいつまでも留まるわけにもいかないからだ。


「さて、次はどこを旅しましょうか。世界にはまだ価値があるのか………見定めさせてもらいましょう。観測者、としてね」


彼女はそのまま燃えた村を後に、旅立つ。

村の子供達や生き残った女は今駆けつけて来た国の兵隊が何とかするだろう。

彼女はそれを見送ると静かにその場を立ち去った。

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