第7話 大イベントの前準備
いよいよ今日は待ちに待ったイベントの前日である。アンナは、らるから依頼を受けてからはこの日の事ばかり考えていた。家でケラスやマネ達と一緒にいても、今までにない優越感を覚えるようになった。
(私は、あんた達みたいにこんな所で終わらない‥)
ソマや錬に対しても、近くにいながらどこか遠いところにいるような自分を感じていた。
そんなアンナをマネは、時おり少し心配げに見つめていた。アンナの気持ちの変化にいち早く気がついたのは彼しかいなかった。
残すところあと1日、今日は前準備で泊まり込みである。
驚いたことに、らるの地下の部屋は中規模のイベントができる会場になっていた。
舞台が前方にあり、そこに取り付けられた大きなスクリーンは見事である。そして舞台からは、続いて真ん中に花道がありその両脇には備え付けの椅子が何十脚も並べられていた。ソマは、今までにこんな設備はみたことがなかった。派遣で駆り出された他の10体ほどのロボット達も、全員がその豪華さに興奮が隠せなかった。
皆、床を磨いたり椅子を拭いたりしながら明日の1日目の演奏会とダンスパーティーが開かれることについて、お喋りが止まらなかった。
「2日目の大イベントは、私たちメイドにも知らされていないのよね。きっと、らるのことだから趣向を凝らしたものに決まっているわね」アンナは得意げに言う。
その、大イベントを盛り上げるために呼ばれた自分達‥皆、どこかしら壊れている障害ロボット達。決して、壊れているからといって安い賃金で呼ばれたわけではない。
自分達は選ばれたのだ。理由はわからないが、この高賃金の大イベントに‥。
皆の顔にも(人工的な作られた顔ではあるが)自信が溢れてくるのが隠せなかった。
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