ビルドの街へ~入店お断り発生!~
「おお、無事に戻って来たか!」
「六審王様達がブラッドドラゴンの群れを駆ってくれました」
「他にドラゴンや危険そうなモンスターの気配は無かった、安心しろ」
「六神王様方、有り難うございます!」
ドーンさんが頭を六神王様達に下げる。
「カズエ、食い損ねたから昼飯にするぞ、そして明日移動してブラッドドラゴンの解体だ」
「はい、分かりました」
「もう、紅は勝手に決めて……」
「それでいいだろう」
「そうだけど、もうちょっと私達の意見も聞いてちょうだい」
「白、諦めろ。紅が言うことを聞いた試しがあるか」
「……ないわね」
「幼子だと思って諦めろ」
「そうね、そうするわ」
「誰が幼子だ!」
紅き王が黒さんと白さんの言葉に怒る。
「あ、紅き王! 喧嘩は止めてください!」
「む……分かっている」
なんとか宥める事ができた。
「とりあえず、お風呂入ってきます……」
と、住居の方に行き、用意してあるシャンプーや入浴剤、リンス、ボディーソープを使って体を綺麗にし、暖めた。
髪の毛を乾かそうとすると、緑さんが温風を作り出して乾かしてくれた。
「ちょっと疲れたので休みますね……」
そう言って私はベッドに入った。
「おい、カズエ」
「んむぅ?」
「そろそろ飯にしろ」
「ふあぁい……」
紅き王が私を起こしたので、私は着替えて六神王様とレストランへ向かった。
いつも通りの席で、料理を注文する。
「ちょっと疲れたのでお粥……いや鳥雑炊で……」
「なんだそれは?」
「その胃袋に優しい? 感じの料理で……」
「腹にはたまらぬか、仕方あるまいローストビーフにするか」
「何が、仕方あるまいなのよ、紅は」
「ほっときましょう」
「そうだな」
「ええ」
「ああ」
「お前ら……」
「紅き王、喧嘩は……」
「……分かっている」
喧嘩なんかされたら紅き王様達が店に入れなくなっちゃう。
それだけは嫌なので、止めました。
入れなくなったら喧嘩も酷くなりそうなので。
とろとろのご飯と卵の味、それから優しい鶏肉の味と出汁に私はほっとしながら料理を堪能した。
デザートにプリンだけを頼んだ。
プリンはカラメルなしののどごしの良いプリンだった。
そして住居に戻り、歯磨きをしてふかふかのベッドで再度眠りに落ちた。
疲れていたのか十数分で眠りに落ちた。
「カズエ、起きろ。出発するぞ」
「ふぁい……」
紅き王に言われて目を覚まし、既に支度をしている他の神王と共に街の外に出て、紅き王の背中に乗り、ビルドを目指しました。
二時間ほどで着き、冒険者ギルドへ行くと──
「おう、カズエと六神王様方ですか、話は聞いております。ブラッディドラゴンですな」
「五体居るが肉を所望する」
「分かりました、二日ほどお待ちください」
「分かった」
私はレストランを空き地に出して、朝食を取ることに。
漸く元気になったから、オムライスを食べることにした。
紅き王もオムライス、おっきいサイズの、それにイチゴパフェのLL。
他の方々もいつもと同じように頼んでいた。
お店は相変わらず大繁盛。
それを見つめていたら突然ガラの悪そうな人が。
「場所代払って貰おうか」
「子爵様に逆らおうってんなら容赦しねぇぞ?」
ひぃー!
ど、ど、どうしよう。
「ここはギルドの許可を貰って使っている、貴様等の許可など必要ない」
「オーナー追い出しましょうか?」
「お、お願い!」
店員さんにそういうと。
「お客様は当店にふさわしくありません、即刻
そう言うとガラの悪そうな人達は店からはじき出された。
「ちょ、どうなってんだ⁈」
「店にはいれねぇ⁈」
店員さんはその人達に近づいて言った。
「当店へ迷惑行為をする者や器物破損行為をする者は、当店に
「貴様等何をやっとるかぁ‼」
警備兵の方々が来てその人達を確保する。
「巫女様の店に迷惑をかけるようなことをするなと言われてなかったのかテメェ等は!」
「み、巫女⁈」
おじさん警備兵が言う。
「この店はなぁ六神王の巫女様のスキルの店なんだよ! 本拠地はここじゃねぇから中々食べられねぇんだ美味い飯が!」
「残念だったな、貴様等はその美味い飯にもう二度とありつけんようだ。子爵にも言っておけ。店に手を出したら我ら六神王が直々に神罰を下すと」
「ひ、ひぃいい!」
「六神王様方、申し訳ない、とりあえずこいつらには洗いざらい吐いて貰わないと駄目だな!」
警備兵の方々は連れて行ってしまった。
ひそひそと話声が聞こえる。
「ばっかだねぇ、きっとあの子爵だろ? たかがはした金でこんな美味い店の料理が二度と食えなくなるなんて」
「きっと食ってなかったんだろうよ、馬鹿だなぁ」
「儂らはそんな事せんぞ、美味い酒が飲めなくなる。おう、店員さん! ウィスキーのおかわりをー!」
「はい畏まりました」
店員さん、何事も無かったかのように働いている。
「ちょうど時間もあるし狩りに出掛けるか」
「カズエちゃんは私達とお茶を楽しみましょう?」
「む……」
「だって私達の誰かが魔物を倒せば経験値がカズエちゃんに自動で入るんだから気にしないで、狩ってくるのが一番でしょう? それにカズエちゃん病み上がりっぽいし」
「──仕方あるまい、行くぞ、青、黒」
「いいだろう」
「仕方あるまい」
女性陣だけが残る。
「じゃあ、お茶にしましょう?」
「はい」
私達はVIP席に戻り、お茶をすることに。
「この紅茶美味しいわー」
「飲みやすくって砂糖との相性も抜群」
「緑、あまり砂糖を入れすぎるのもアレよ」
そんな会話をしながらゆったりと時間を過ごした。
夕方──
「遅いですねぇ」
「遠くまで行ってるんじゃないですか?」
「そろそろ街に入れなくなっちゃいますよ」
「ちょっと待ってね」
白さんが目を閉じなにか集中しているようだった。
「紅も、青も、黒ももうすぐつくそうよ街が見えてるって」
「狩ってきたものは?」
「自分のアイテムボックスに入れたって」
「……何で今まで狩ってた者私のに入れてたんだろう?」
「自分のアイテムボックスに入れると中々使う機会がないから何入れたか忘れちゃうことが多いのよ」
「オウフ」
何となく納得、六神王様と呼ばれる位偉い方々だもん、人里や街なんか普段は来ないはず。
だから忘れちゃうんだろうなぁ、とか思った。
「紅き王、青さん、黒さん、何を取ってきたんですか?」
「ワイバーン二十匹」
「マーダーブル三十匹」
「レッドドラゴン一匹」
黒さんの言葉に私は吹き出した。
「黒さん、先日ブラッドドラゴン狩ったばかりじゃないですか⁈」
「いや、視界に入ったのでつい」
「もー!」
ビルドの街に滞在する時間がもう少し増えそうで頭が痛くなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます