紅き王の花嫁
解体作業~ステータス解禁と明らかになる事~
メルディスで二日間過ごし、次の街ギルティクスへと私達は向かった。
当然二日目の深夜まで粘られたようだった。
そして、二時間でギルティクスへ到着した。
「六神王様達とその巫女さんか。 俺はギルティクスの冒険者ギルドのマスタージンだ、宜しくな」
「はい、宜しくお願いします」
ギルドへ案内され、話が始まる。
「困ってるのはクラーケン、そしてリヴァイアサンだ」
「クラーケン、リヴァイアサン……」
「調査の結果クラーケンの群れが居てソレを餌にリヴァイアサンが居るようだ」
「どうにかなります?」
「どうにかしよう、任せておけ」
青さんが言う。
「船は……」
「いらん」
青さんがそう言ってギルドを後にしたので慌てて追いかける。
すると其処にはドラゴン──というより龍、日本の蛇のような龍の姿の青い存在がいた。
『いくぞ乗れ』
「いや、乗れと言われましても……あわわー!」
紅き王に小脇に抱えられ、飛び乗る羽目に。
他の神王様達も次々と飛び乗る。
「じゃあ、お願いね」
『ああ』
そう言って移動を開始する。
凄く速い。
けど結界のおかげでそれを感じずにすんでるようです。
『あそこだ』
十匹ほどの黒い影が見えます、イカっぽい。
「どうやって海の中にいるのを──」
『こうする』
水の竜巻が生まれる。
それが消えると十匹の巨大なイカが空中に浮いていた。
『出番だぞ』
「まかせて」
緑さんがそう言うと雷がイカ達に直撃し、ブスブスと音を立ててぼちゃんぼちゃんと海に落ちた。
「えっと回収」
『よし、来たぞ』
「はい?」
青さんより小さいが巨大な蛇のような生き物がやって来た。
「なんですかアレー!」
『リヴァイアサンだ、一匹だけのようだ、緑やるぞ』
「勿論」
電気を帯びた水がリヴァイアサンを包み込む。
水が消えるとリヴァイアサンはばしゃーんと海に落ち、ぷかぁと浮いた。
「じゃあ回収するか」
「……」
さすが神王様達、規格外すぎる。
「私何にも役に立ててない」
「大丈夫だ、お前のレストランで十分役に立っている」
「それは私のスキルであって、私個人が役に立ってないって言ってるんですよぉ」
紅き王に不満を言う。
「仕方なかろう、お前は戦いには向かん」
「うぐ」
「お前が攻略した天然のダンジョンの様子で分かった『こいつは戦わせるのは駄目だ』とな」
「なんでぇ」
「魔力が強いのにへっぴり腰で常に挙動不審だったからだ、そんなのにダンジョン攻略とか任せてみろ、死ぬ」
「死……」
私の顔がこわばる。
役立たずは嫌だけど、死ぬのはもっと怖い。
「紅ー? 正直に言ったら? 前線に出して怪我されるのが怖いって」
「緑ー!」
緑さんが私を抱きしめて言う。
「ふへ?」
そして紅き王と緑さんの空中おっかけっこが始まった。
『面倒だ、こいつら置いて帰るか?』
「いや、止めてくださいよ!」
青さんにお願いして二人を止めて貰った。
そのうち魔法の打ち合いになって大騒動になりかねなさそうだったし。
で、港に戻ってくると──
「もう終わったのか⁈」
「当然だ」
青さんから下りて、それを見た青さんが人型の姿になって着地する。
「では、クラーケンの解体から任せるか、十匹いるからしっかり働けよ。その後リヴァイアサンだ」
「まってくれ! クラーケンなら解体はできるが、リヴァイアサンの解体はできない!」
「何だと」
青さんが明らかに不機嫌になる。
「あ、あの──メルディスのメルトさんなら解体できるんじゃぁ……」
私が意見を出す。
「そうだな、じゃあ行ってくる」
青さんはドラゴン形態になって飛んで行ってしまった。
「じゃあ、私達でクラーケンを出しましょうか」
「はい、お願いします」
緑さんの声に紅き王達も頷かれ、私のアイテムボックスに手を突っ込んで引っ張り出した。
「他人のアイテムボックスに手を突っ込めるなんて、さすが神王様だな」
「え、普通はできないんですか」
「たりめぇだ、嬢ちゃん何も──ああ、そうか。連絡にあった神王達に仕える異世界人ってアンタの事だったんだな。すっかり忘れてたぜ」
この国のギルドには連絡が行ってたらしいがそれを忘れるなんて海の男は豪快なのかな?
「よっしゃ解体するぞ」
「「「「「「「「おう!」」」」」」」」
たくさんの猟師さん達がやって来てざくざくとクラーケンを解体していく。
げそなどの可食部位をみんなでアイテムボックスにしまっていると、青さんが帰って来た。
「リヴァイアサンを倒したんですか?」
メルトさんが下りてくると、青さんは人型に戻った。
「メルディスのギルドマスターさんじゃねぇかよ!」
「はい、リヴァイアサン倒したんですが解体が」
「大丈夫です、解体できます」
「肉は寄越せ」
「では、ギルティクスのギルドマスターさんと話ながら買う物を決めますね。さて、では解体、手伝ってください!」
「「「「「「「「おう!」」」」」」」」
メルトさんがリヴァイアサンを捌いていく。
血の一滴も無駄にしないように。
「さすがメルディスのギルドマスターだ、エリクサーを作った経験があるだけある」
「え⁈」
「あらあら、見てみたかったわ」
「それはもう昔の話で、それに当時の国王陛下に献上しちゃいましたよ。ただ鑑定した結果寿命は延びない劣化版だったので私は本物のエリクサーをいつか作りたいですね」
私は緑さんに小声で問いかける。
「あの鑑定っどういうことですか?」
「鑑定はね、異世界人と、国のアーティファクトで調べられるステータスや状態等を見ることをこの場合指すわ」
「え、でも私鑑定できませんよ」
「そこが不思議だったのよ、鑑定とかステータスについて何か言われなかった?」
「言われる前に外れスキルと追い出されたので……」
「じゃあ、ステータスオープンって唱えてみて、それで貴方の鑑定眼が開眼するわ」
「は、はぁ……ステータスオープン」
ブンと画面が現れた。
名前:御坂 和恵(カズエ)
年:18歳
種族:人
職業:異世界人、レストランのオーナー、六神王の巫女(紅き王の花嫁)
スキル:旅するレストラン、二号店、三号店、持ち帰り三十種類まで、鑑定、火魔法、水魔法、氷魔法、土魔法、風魔法、雷魔法、闇魔法、治癒魔法、神聖魔法、植物魔法、鍛冶魔法、調剤魔法、結界魔法、アイテムボックス
レベル:325
ステータス
力:1230
魔力:9236
素早さ:1030
体力:3025
「……」
「どうしたの?」
「あのー紅き王の花嫁ってどういう事ですか」
「緑貴様カズエに鑑定を教えたな!」
紅き王が顔を真っ赤にして激昂している。
「ずっと黙ってる紅が悪いんですよーだ」
緑さんがべーっと舌をだしている。
「燃やす!」
「きゃー! 青、黄助けてー!」
「黙ってたお前が悪い」
「そうよ、ずっと騙してた貴方が悪いわ紅」
「あの、紅き王の花嫁ってどういう……」
「その通り、紅き王の妻ということだ」
黒さんがなんでもないように言いながらサンドイッチを食べている。
小腹が空いた用に自分のアイテムボックスに入れてたようだ。
「妻⁈」
「そうよ、特別な契約をしてるっていったでしょう、それが妻として娶る契約」
私は、魔法だと周囲に危害が加わるのが分かっているのか、どかぼかと殴り合ってる紅き王を見て唖然とした──
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