魔王の国から帰還~英気を養う~
魔王の国から戻ってきた私達はベルドの街に戻ってきた。
「おう! 巫女様! よく戻って来てくれた」
「色々ありましたが戻ってこれました」
「早速で悪いんだが……」
「はい」
空き地へと向かう。
「旅する、レストラン!」
バンとレストランが出現する。
住民の皆さんが歓声を上げる。
私が扉を開け──
「今日から営業できますか?」
「できますとも、オーナー」
と店員さんたちからお墨付きを貰うと──
「どうぞ、皆様。営業開始です」
わっと人が入ってくる。
「カツカレー大盛りで!」
「チキンカレーを大盛りで!」
「スパゲッティとイチゴパフェ! パフェは食後!」
等など注文をしている。
「では、私達も食事にしましょうか?」
「うむ」
VIP席で食事を取る。
「うむ、何度食べてもこのステーキの肉の旨みはやみつきになる」
「私は刺身定食だ、魚は寄生虫がいるから食べられないのが人型の時は普通だが、ここの魚は人型でも食える、美味い。わさび醤油だともっと美味い」
「鰹のたたきというのがでてますよ。わらであぶった鰹の……レアなお刺身? すみません、説明が下手で」
「あぶったものというだけで分かった、何で食うのだ?」
「ニンニク醤油だったり、マヨネーズだったり、ポン酢だったり……?」
「ほぉ、試してみよう」
青さんが慣れた手つきで店員さんを呼び注文している。
「パフェはいくら食べても飽きないわー」
「分かるわー」
「ケーキもよー」
神王様なのだが、もはや女子会の会話にしか見えぬ。
「ワインとチーズは合うものだな、このハムもいい」
黒さんは朝っぱらから酒ですか。
突っ込む気力もわきません。
お風呂からボディーソープとシャンプーとリンスと入浴剤、洗面所からは洗顔料と歯磨き粉と歯ブラシを持って行き、家へと戻る。
「「「「「ご主人様、お帰りなさいませ」」」」」
「うん、ただいま。お風呂入りたいな」
「はい畏まりました」
数分待つ。
「入浴ができるようになっております、どうぞ」
私は着替えを持って風呂へ向かう。
「あ、お風呂は一人で入れますので……」
「畏まりました」
王宮に滞在時、お風呂を用意して貰ったとき、侍女さんが手伝ってきて恥ずかしかったからちょっとそうならないように言っておく。
入浴剤を入れて体の汚れを落としてお風呂に入り、伸びる。
「あ~~、いい湯だわ~~」
お湯はちょうど良く、ほどよく熱かった。
体をもみほぐし、着替えて風呂場からでると見た目女性陣の神王様達が風呂場の前に居た。
「ねぇ、カズエちゃん、カズエちゃんところの湯浴みって……この世界とちょっと違うの?」
「違いますね、大人は、一人で入りますし、髪の毛も一人で洗います」
「カズエちゃん、貴方とっても良い匂い、何を使ったの?」
「えっと、ボディソープとシャンプーとリンスと……それから洗顔料です」
「この世界の者では無く、カズエちゃんの世界のもの?」
「は、はい」
「じゃあ使い方教えてくれない?」
「へ?」
三名に言われて私は間の抜けた声をだした。
「ありがとー! カズエちゃん、つるつるだわ!」
「本当いつもよりもち肌だわ」
「風呂の香りも良かったわ」
「そ、それは何より……」
「今までお風呂は水浴びくらいしか考えてなかったけど、カズエちゃんが居る間はお風呂にしっかり入らせて貰いましょうね」
「そうね」
「ええ」
何故かお風呂の良さに目覚めた女性陣?であった。
そのうち化粧水とか出てくるんじゃないかなぁとか思ったりもしなかったり。
つやつやさらさらヘアーで街を歩く六神王【女性陣限定】。
人目につく。
「カズエちゃん、今日は何をするのかしら?」
「うーん、何をしましょう?」
「カズエ、ギルドへ行くぞ」
「分かりました紅き王」
「もう、紅ったら我が儘なんだから」
「ふん」
なんか紅き王若干ご機嫌斜め?
どうして?
とりあえず、ギルドへ到着するとギルドマスターが出て来た。
「巫女さんと神王様達ですか」
「何か依頼は無いか」
「あるっちゃありますよ、ただそうすると街を離れることになるんですよ」
「ほほぉ、話を聞かせろ」
紅き王は興味津々。
「メルディスの街──薬やポーション生産で有名な街なんですがね、アースドラゴン、ブラッディオーク、マーダーゴブリンが採取場所を占拠しちまってるんですよ」
「マーダーゴブリンは食えたものではないが魔晶石を大量にため込んでいるな」
「お話が早い」
「ブラッディオークとアースドラゴンは肉が美味い」
「あの、黄さん、アースってつくから眷属だったりしませんよね」
「ドラゴンの姿を取ってるけど、私達とドラゴンは別種よ、人と豚くらい違うわ」
「マジっすか」
「本当よ?」
「それにドラゴンには私達みたいな意思はないもの」
「なるほど……」
とりあえず共食いになるんじゃないかという危惧は無くなった。
しかし、人と豚……完全に捕食対象じゃないですかソレ。
「で、もう一つはギルティクスの街。港町なんだが、クラーケンと、リヴァイアサンが出たそうだ」
「リヴァイアサンか、奴の肉は美味いぞ。クラーケンもな」
青さんが言ってる。
いやちょっと待って、クラーケンはともかく前の世界では神話級のとんでもない生き物食うんですか貴方。
「リヴァイアサンは見てくれはちょっと違うが竜種の一種だな、エリクサーの材料にもなるな」
「あ、この世界では竜種なんですか」
「ん? お前の世界にもいたのかリヴァイアサン?」
「えっと……ちょっと聖書というものに書かれているのを思い出した程度なので実際いたのかと聞かれるとお答えできません」
「難儀だな」
元の世界だと色々とゲームで魔改造されてるから私も分からないんですよ-!
「では、明日立つ」
「明日⁈」
「こうしちゃ居られん、れすとらんにいそがにゃ!」
ギルドマスターは走り出した。
「……お仕事良いのかな?」
「言ってやるな」
「ギルドマスターも羽を伸ばすのは必要であろう」
「何を察してるんですかお二方」
「まぁ、神王特権故」
「そういうものだ」
神王様、ギルドマスターの仕事覗き見してたりするの?
え、もしかして私も覗き見──
「お前の覗き見は私達はしてない、緑と黄と白は分からんが」
「青さんは?」
「奴は見目は女だが、それは人の信仰、母なる海という意識に引っ張られたものだ」
「なるほど」
「だから中身は男に近い、海は荒々しいからな」
「マジか」
思わず言ってしまう。
ギルドの一回に下りると誰も居なくなっていた。
ギルドから出ると「巫女と神王様達が明日立つので全員レストランに行っています」という看板が書かれていた。
いつの間にそんな看板を作ってたんだろう。
「やることがないし、明日のために英気を養うぞ」
紅き王が言うと、他の神王様達が頷く。
「じゃ、レストランに行きましょうか」
私達はレストランへ戻るのだった。
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