初心者ゲーマー最弱職で最強になる。~魔法使いが最弱職のありえない世界~

@mesa_rin

第1話 始まりですよ! 最弱職!

「あ、もしもし? 由紀? この間話してたゲーム届いたよ」


『おー! 琴音も遂に買ったの?』


「由紀がうるさいから買ったんだよ? 会う度に買って買ってって言うからー」


『だってこのゲーム、本当に面白いんだもん! 一緒にやろうよ「MAGIC・WORLD」!』


 あんまりゲームやってこなかったけど本当に私に出来るのかなぁ。


「『MAGIC・WORLD』仮想空間マジックワールドで不可能を可能に……か。よく分かんないけどとりあえずやってみるかぁ」


『そうそう! その意気! 今日は塾があって出来ないけど明日は必ず出来るから一緒にやろうよ! あ、やばい親が来た! 電話切るね!』


「え、由紀!? 今日できないの!? ちょ、ちょっと待ってよ!」


『ブチッ……』


「えぇ……。本当に切ったよ。あの子……。仕方ない。一人でやるか……」


 ダンボールを開けるとそこにはよく分からないノートくらいの大きさの四角い機械が入っているだけだった。


「なにこれ? ケーブルも何も無い。どうやってやるんだろう」


 ダンボールから取り出して機械を眺めてみる。


「あれ? これが起動ボタンかな?」


 そのボタンを押した瞬間、目の前が真っ白になった。


***


「あれ!? ここは…?」


 気が付くとそこは森の中だった。


「ここが仮想空間? まるで本物の森の中みたい……」


『新規ユーザーを確認しました。職業を選択してください』


『剣士』『狩人』『魔法使い』『僧侶』


 その声と共に目の前に現れた四つの選択肢。なにこれ? なんでもいいのかな。


「えっと。触ればいいのかな? こう?」


『「魔法使い」が選択されました。現在獲得しているスキルと魔法を表示します』


『スキル 「なし」』


『魔法 「ファイア」「アイス」』


「これが私のスキルと魔法? えっとこれは強いのかな? まぁ、弱いんだろうな。始めたばかりだし……。どうしよう。とりあえず歩いてみるか……」


 それにしても凄いな。この世界。どの植物もまるで本物みたいにそこにある。すごく綺麗……。


「そういえばどうやって魔法やスキルを手に入れるんだろ」


『魔法とスキルは一定の条件を達成するとクリアできます』


 その声と共に目の前にログが出てくる。

 すごい! なんでも教えてくれるじゃんこの子!


「うぅーん。この言い方的にどうやって手に入れるかは自分で考えろってことだよね。もう少しこの辺りを探索してみるか……」


***


 10分ぐらい歩いただろうか。突然、アナウンスが聞こえた。


『「デビルラビット」が出現しました。現在のステータスでは討伐困難です』


「え!? なに突然!」


「ガルルルル」


 そんな鳴き声と共にコウモリの翼と長いツノが生えたウサギが現れた。


「え!? な、なにこの子! こわ可愛い!」


「ガア!」


 ライオンのような雄叫びと共にウサギがこちらに突進してきた!


「うわっ! はや!」


 間一髪でその攻撃を交わす。


「な、なにあの子! めっちゃ早いじゃん! もしかして強い敵!?」


『「デビルラビット」は「誕生の森」の指定ボスです。いわゆるボスキャラです』


「うそぉ!? そんなやつ倒せないよ!」


「がァ!」


「あ、危ない! また当たるとこだった!」


『逃走をオススメします』


 私は笑う。


「ナビゲーターさん。いいこと教えてあげる。私は逃げることが大嫌いなの!」


「ガア!」


「危ない!」


 私の身体スレスレをウサギが通っていく。


「ナビゲーターさん。私は何回魔法を使えるの?」


『2回です』


 2回……。その2回で勝負を決めないと私の負けはほぼ確定か。


「ガア!」


「げっ! また来た!」


「もう! 何回くるの! 落ち着く暇もないよ!」


 考えろ! 考えろ! あいつを倒す方法を! あいつが走って来る時に攻撃を当てる? いやいや、あんな動き回ってるやつに攻撃を当てるなんて不可能だ。


「がァ!」


「危ないっ!」


 なら身体を抑え込む? あんなに走り回ってるやつ、どうやって抑え込む? 考えろ! 考えろ! あいつを倒す方法を!


「がァ!」


「くそ! また! 何回も何回もガアガアガアって何回も何回も何回も!」


 ん? まてよ。もしかして! いや、一か八かやるしかない!


「見つけた。勝利の活路!」


「ガア!」


「君の攻撃は見切った! ここだ!」


 私はジャンプし、ウサギを踏み付ける! そしてそのまま押さえ込んだ。


「ウサギさん、貴方は突撃する前必ず鳴き声を上げる! つまりそこに合わせて交わし抑え込めば動きを封じれる!」


『スキル「悪魔の捕縛者」を獲得しました。ATKとAGIに4倍補正が追加されます』


「なんかよく分かんないけどラッキー! くらえ! 『ファイア』!」


「キュウー!」


「なになに!? ウサギが紫色に光った!?」


 ボシュン。そして突然、煙と化した。


「え、なに!? どいうこと!?」


『ボス「デビルラビット」を撃破しました』


「つまり倒したってこと!?」


『はい』


「やったー!」


『スキル「森の悪魔」を獲得しました。INTとMPに4倍補正が追加されます』


『レベルが15に上昇しました。各ステータスにSPの振り分けが可能になりました』


 な、なんだ!? なんかよく分かんないけど色々起きた!


「ナビゲーターさん! ステータス見せて!」


『ステータスを開示します』


名称 未設定 Lv 15


HP 10 プレイヤーの体力です。0になるとゲームオーバーとなりスポーン地点からの再開となります。


MP 40 魔法を使うためのポイントです。各魔法を使うために必要になります。


ATK 4 プレイヤーの攻撃力です。


DEF 1 プレイヤーの防御力です。


AGI 4 プレイヤーの素早さです。


INT 4 プレイヤーの魔法攻撃力です。



SP 14 ステータスポイントです。レベルが1上昇する度に付与されます。各ステータスにポイントを付与できます。


スキル

「悪魔の捕縛者」「森の悪魔」


「やったー! 能力もりもり! 始めたばかりにしては凄くない!?」


 なんか疲れちゃったな。そろそろやめようかなぁ。


「これどうやってやめるの?」


『「終了」を表示します。ゲームからログアウトするには「終了」をタップして下さい』


「ありがとう! ナビゲーターさん!」


 私はログアウトした。


***


『「デビルラビット」が討伐されました。第二エリア「火山地帯」が解放されます。付随しボスが新たに出現するようになりました』


「ステイド! 聞いたか? 今のアナウンス」


「あぁ、聞いたさ。デビルラビットが攻略されるとは……どんなヤツが討伐したんだろうな」


「今のうちに俺たちの仲間に引き込むか?」


「いや、いい。それより第二エリアに行く方法を見つけるぞ」


「りょーかい」

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