陰陽師と禁忌の十二霊神
鋼音 鉄@高校生
第1話 呪物と化した十二霊神
2015年、ある陰陽師の家系に存在していた。名を
雅彦が意図的に取り込んだのでは無い。特級呪物が雅彦を選んだのだ。
これは一人の陰陽師と十二霊神が手を取り合い、面白可笑しく世界を裏返す物語。
2018年6月5日。武器も何も持たず、ドローンのカメラ兼マイクだけを浮かせ、着物を着ている青年が一人。それは俺だ。配信を始めてから数時間ほど、今日の最高同時接続数は未だにゼロである。まあ、新人よりもベテランに行くのは分かる。けど、けどさあ……少な過ぎだろ……!
『マスターのヤツ、クッソダメージ受けてやんの!あっはっはハハ!』
そう言葉にして煽ってくるのは【月光の霊神】。此奴だけ霊神の中で特別な形態がある不思議なヤツだ。……【月光】、お前笑い声超煩いんだけど。早く黙ってくれないとお前ら十二霊神の心理空間に陰陽神道放つぞ。
俺が脅しの思念を飛ばすと、笑い声はすぐに鳴らなくなった。マジで何やコイツ。確かに陰陽神道は霊神特攻とは言え、怖がり過ぎだろ。【貪欲の霊神】なんか見てみろよ。面白そうって言って態と受けに来るぞ。月光は貪欲を見習った方が良いと思うんだけどな。
後で勧めてみるか、と俺が思考していれば、コメントがチャット欄に追加される。
・初心者か、頑張れよ
おぉ、応援だなんて久しぶりにされたぞ。あれじゃないか?初めてダンジョンに行く時に両親に心配された以来な気がする。いや、特級呪物を十二個も取り込んでいる時点で純粋な人間と言えないから妥当と言えば妥当なのかもしれないな。
「あはは、頑張りますね」
コメントにそう返事をした後、前の方向を向く。魔力の風が俺の前髪を揺らす。霊力を魔力に変換して魔力探知をすれば、目の前の至近距離でイレギュラーが発生しようとしていた。魔力が形を作り、体が作られていく。完成した魔物の体はタコだった。そりゃイレギュラーだからこのダンジョンとは何も関係が無いのが出てくるよな。
呑気に思考を巡らせ、観察をしていれば、タコの触手が拳を形作り、振り下ろす。階層のレベルでは320階層だろう。そしてこの階層は100階層。流石イレギュラーだな。100階層に行ける者でもこのタコには勝てない。俺の知り合いの陰陽師でも勝てるのは少ない。
向かってくるタコの触手を力強く掴む。霊力というバフを使わなかったとしても、特級人物を何度も取り込んだ事による怪力で投げ飛ばす。タコは攻撃力と衝撃に驚きつつも、柱や壁に触手を貼り付ける事で大幅な吹き飛ばしを回避する。そして向かってくる俺の存在に気づき、残った触手で防御をしようとするが、間に合わず、タコの頭に前蹴りを与える。
「アッハッハ!遅い、遅いなあ!」
・何やこのチャンネル主!?
・身体能力化け物過ぎやろ……ワイ探索者じゃ無いから分からんけど魔力とかスキル使っとるんか?
・ホンマに謎やが使ってねえな、これ
・はぁ!?素でこれなのかよ!
コメントが急速に流れている君がするが、そんなのは無視をしてタコに集中をする。前蹴りの体勢から体を捻り、左脚で地面に叩き落とす。札を霊力で用意をし、札の効果を霊力で付け加える。効果としては爆発。シンプルな効果だが、このタコ相手ならば大丈夫だろ。
札がタコ間近の数メートル先の空間にて、札が爆発をする。黒い煙がタコを覆うが、タコは自身の触手を暴れさせて近づかせないようにする。しかし、それで俺が近づけれない、と考えるのは間違いだ。暴れている触手の間を通り、拳を使っての殴りをタコの顔面に受けさせる。
「お前さ、俺に対して闘志を消したろ?逃げようとしただろ。ならお前の命、貰うぞ!」
陰陽を発動し、タコの生命を吸い尽くす。タコはどうにかして反抗しようとしているが、触手が動いていない。当たり前だ、生命を吸い尽くす陰陽と並行して拘束をさせる陰陽を発動させているのだから。タコから意識は無くなっていく。そして命が完全に消失した事により、出現したタコの魔石をバックパックに収納する。
よーし、一件落着だな。……そういえばチャット欄のコメントがアホ程動いてたよな。体を向けて見てみれば、今もなお急速に動いており、同時接続数は1000にも到達点していた。え、は、マジ?さっきなんか漸く1だぞ……マジ?うん、タコマジスゲェーー!
「あのタコ、それなりには強かったけど……其処までなのか?」
・さては此奴よー分っとらんな?
・イレギュラー討伐した時点で凄いし、あれは300階層レベルの魔物だったぞ
・上の人が言った通りやな
・てか主、何歳や?歳によっては魔石回収できないけど
「俺は17歳ですよ。でも、安心してください。俺は探索者特別免許持ってますから」
俺が名前を霊力で隠したのを見せれば、チャット欄は驚愕に染まる。
・マジか……マジか
・やば
・発掘した俺に感謝しろよー!
・↑ただ見つけただけじゃろがい
・うむ、天才じゃったか
「まあ、天才だと思います。自覚してます……嫌になるほど、言われましたから」
俺はチャット欄のコメントに、思わず顔を顰めてしまう。
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