第10話 Are you ready? 後編。
「みんな!!集まってくれい。お前達が今回の仕事で乗るカブだ」
あくまで、今回の冒険はセシリーちゃんからの手紙を届ける仕事だと言い切るトム爺はホントに頑固だよね?
目の前には4台のスーパーカブが並んでいる。
「ん?なんかいつもと違うカブがあるな?
この赤色は俺とナルシスがいつも乗ってるヤツだけど、タイヤがいつもと違ってゴツゴツしている。
もう一台は俺達のと同じ赤色だけどシートが長い?荷物は載せないのか?」
「おい!リオン!!こっちの砂色のヤツもタイヤがゴツゴツしてるが、体つきもゴツゴツしていてカッコいいゾ!!」とナルシスは大興奮だ。
「お前達のカブを掘り起こした時に一緒に掘り起こしたカブ達じゃ。まだ他にも道具やカブの部品に薬品の様な物も畑から掘り起こされておる。
どうやら、わしの畑は異世界のカブの商売屋と繋がっているのかもしれんの?」
「う、美しい…!!この無骨なカッコ良さが美しい!!トム爺!!俺はこれが欲しい!!」と、砂色のカブに大興奮なナルシスだ。
「それは、獲物を狩りに行くのに便利かと思ってハンターカブと名付けた。
丁度良い。このハンターカブのブレーキがスーパーカブと違って円盤の様な物になっているんじゃが、すごく良く効くんじゃ。
毎度毎度ナルシスのブレーキ調整にはウンザリじゃ。コイツをナルシスが乗るが良い」
「やったーっっっ!!!!!!」と、ナルシスは少年の様に小躍りをしてる。
「えーっっっ!!俺もコッチがいいぜ!トム爺!!」
「お前さんはセシリーさんの手紙を届けなくてはいかんじゃろ?最下層に行くまでにも何ヶ所かは手紙や荷物の配達もある。いつものおにぎりボックスのスーパーカブに乗るんじゃ」と呆れてる。
「あ、そうか。そうだな…
セシリーちゃんからの大事なお手紙はこのリオンが大事に大事にお届けしますっっっ!!」と、涙ながらにその大義に感動している。
「わあ〜。カッコイイ乗り物たくさんですね?」
「うわあッッッ!!セシリーちゃん⁉︎」
突然のセシリーちゃんに大慌てだ!!
「ふふふ。みなさんのお見送りに来ちゃいました♪」
と、唐突にセシリーちゃんに俺も小躍りしそうになった。
「ありゃりゃ、リオン大はしゃぎだよ?アロっち?」
「まったく。鼻の下伸ばして。先が思いやられるわ?」と自分の杖をクルクルと振り回す。
「くっくっくっおもしろ〜いっ♪」
「何よ⁉︎ギャル!!」
「別に〜♪」
いつの間にか2人の隣にいるニンジャもウンウンと頷いている。
「ねえ?トム爺。ニンジャはいつも通り走ってついてくるとして、」
ガーン!!とショックを受けるニンジャ。
「あたし達はこの二人乗りの方で良いのね?」
ともう一台の2人乗りシートが着いてる赤いCC110と書いてあるカブにアローラとギャルが跨る。
「そうじゃ。そのクロスカブに2人で乗ってくれ」
「へえー二人乗りか?良いなこれ。俺のスーパーカブとナルシスのハンターカブの合いの子みたいだ」
「うむ。2台が重なっとるなと思ってクロスカブと名付けた」
「フッ!!やはりトム爺のネーミングセンスは天下一だな!!」
「よせよせ、何にも出んぞ?」と照れながら少年の様な笑顔を出すトム爺。
2人の世界を呆れながら眺める俺たち。
「するといつもナルシスが乗ってるカブはトム爺が乗るのか?」と配達鞄とおにぎりボックスの中の配達物。当然愛しのセシリーちゃんからの手紙も確認しながら聞く。
「うむ。今回の冒険の装備。そしてカブの整備の部品などはいつもナルシスが使っているスーパーカブのおにぎりボックスに載せてわしが乗る」
「それは助かるわね。トム爺がいてくれて助かるわ。強力なバックアップメンバーね」
「タイヤはダンジョン用に新しく山道用のに変えた。いつもと乗り心地が違うから慣れるまで気をつけるのじゃぞ?」
「オーケーイ!!」
「フッ美しいタイヤだ!」
「オッケーイ!トム爺!!ギャルもオッケイ?」
「久しぶりの冒険マジ楽しみ!!」
「………」羨ましそうに見つめるニンジャ。
「よし!!行くぞ!!」
一斉にエンジンを掛けてゴーグルを目に当てる。
ブアーン!!バルン!!ブアーン!!と、空ぶかし。
「みなさん!!お気をつけて〜!!」
手を振るセシリーちゃん♡
「さあ、楽しいショータイムの始まりだぜ⁉︎行くぞッッッ!!」
ガツンとギアを一速に入れて俺たちは走りだした!!
ニンジャも涙を流しながら懸命にダッシュする!!
さあ、冒険の始まりだ!!
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