マスター・オブ・ザ・ペーパーの名において
霜花 桔梗
第1話 それは一通の間違いメールから始まった。
私の名前は『川神 嬉々』祭倫館高校二年、図書委員として図書室を仕切っていた。そして、またの名を『マスター・オブ・ザ・ペーパー』と呼ばれている。
紙にプログラムのコードを書き、それをネット上でハッキング行為を行っている。愛用の三面ディスプレイでプログラムを実行して。簡単な落ちゲーから大企業への不正アクセスまで好きなことを楽しんでいた。不正アクセスと言っても何もせずに覗き見るだけだ。それでも、業界では『マスター・オブ・ザ・ペーパー』として恐れられていた。
しかし、最近は物騒だ。
『絡繰り人形』なる人物が人々をネット依存に落としているのだ。
ネット依存は本当に怖い、歩きスマホは勿論、自転車に自動車、更には大型トラックに乗りながらネットである。
また、対人コミュニケーション能力を格段に下げて、社会不安が高まっているのだ。
うん?
メールが届いている。昼休み中なので机に三面ディスプレイを広げてネットに繋がる。
『司、ゴメン。もう、私の寿命は尽きるわ。ホント、迷惑ばかりかけて心から謝意を感じるわ……』
これはかなりプライベートな内容だ、私は誰が何処に送ったメールなのか解読することにした。私はリックサックから数枚のコートの書かれた紙を取り出す。後は白紙の紙にコードを書き込む。
OK、私は速攻で作られたプログラムをコンパイルして三面ディスプレイで実行する。
私が『マスター・オブ・ザ・ペーパー』と呼ばれているのは紙に書かれたプログラムを実行出来るからだ。
そう、これで間違いメールは誰の物かを解読するのだ。
結果は直ぐに出た。
これはクラスメイトの『片霧 雫』さんのメールが間違って届いたのか。
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