祝日

Grisly

祝日

私は国王。


数十年に渡り、

国民のため、国の発展のため尽くしてきた。


おかげで、皆が私を慕ってくれている。



そして、功績が讃えられ、今日。


私の誕生日が

遂に祝日となる事が議会で決定した。


大きなご褒美。

尽力した甲斐があったという物。

感謝と感動をもって誕生日を迎える。






朝、窓から太陽が差し込む。

誕生日というのは嬉しい物だ。


そしてこの日は祝日となったのだ。

なんと喜ばしい事だろう。


従者が、報告をあげる。


「国中から、贈り物が届いております。

 そして、諸外国から

 お祝いの使いの者達が来ております。」


素晴らしい。

皆私のために…

涙が出てきそうだった。





数十人と意義のある謁見を終え、昼。


やはり誕生日は素晴らしい。

こんなに自分を受け入れてくれる

人がいるのだ。


従者が、報告をあげる。


「テレビの取材が来ております。

 陛下の誕生日をお祝いしたい国民が多い。

 是非彼等のためにお受け下さい。」


こんな機会でもないと、

メッセージを伝えられない国民も

大勢いるのだ。

求められるとはなんと素晴らしい事だ。


涙が出てきそうだった。





そして夜。

この夢のような、ご褒美のような1日も

もうすぐ終わってしまうのか。


私は少し名残惜しい気持ちになった。



従者が報告をあげる。



「あなたを慕う方々から、

 とても大きなバースデーケーキが

 届いております。


 そしてその様子は雑誌の取材が入り、

 残しておくことになります。」



なんと、そんな事までしてくれるのか。

思いもよらないバースデープレゼント。


そして、その瞬間は綺麗に写真に残り、

国民との思い出として記憶されるのだ。


私は涙が出てきそうだった。





深夜。

夢のような1日が終わり、

ベッドに着いた私。


あることに気づいてしまった。


「確かに素晴らしい祝日だったが、

 私だけ休みではなかった。」

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祝日 Grisly @grisly

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