第5話
「....」
「....」
いやなにこれ、気まずすぎるだろ。最初は俺も声掛けたよ?怪我大丈夫ですかとか色々話しかけたよ?
そんなことを思っていると、出口が見えてきた。良かったようやくこの地獄のような空気が終わる。
「ふぅ、出口か」
女の人を抱えて、あまり戦闘をしないようにして来たが、なんせ約十階程も距離があるのだ。少しと言わず、なかなかに疲れた。
「というか、配信?大丈夫でしたか?」
この人は配信者らしく、俺が助けた時にも多分配信をしていた。俺もなにかで顔を見た記憶があるが、思い出せない。
「コクコク」
「良かったです」
「....」
「....」
会話続かねぇなあ。俺こんなにコミュ障だったっけな?
「よっと」
ダンジョンから出ると、そこには数人の職員さんがいた。
「鳴神様、ありがとうございました。今回はイレギュラーの討伐と人命救助という我々が対処しなければならない事態を解決して頂きありがとうごさいます」
「は、はい」
俺は、抱えていた女の人と荷物を職員の人に渡した。すると男性職員が
「眠れ《スリープ》」
何かを言ったあと女の人が気絶するように倒れた。俺が驚いていると、その職員が少し疲れたように言った。
「そうでしたね。鳴神様は本日が初めての探索でしたね。何が何だか分からないとは思いますが、、、」
そこまで言うと、隣にいた女性職員が遮るように言った。
「後日、功績に応じた報酬をお渡しします。重ねてになりますが御礼申し上げます」
「は、はい。わかりました?」
「それでは、外までお送り致します」
「あ、ちょ、ちょっと待ってください。今回倒したモンスターの魔石を売りたいんですけど」
「わかりました。それでは、着いて来ていただけますか」
「はい」
女性職員が歩き出した。俺もその人の後ろをついて行った。
その後魔石を売り、その報酬も後日同時に渡されるらしい。明日は学校があるので、すぐに帰った。
side職員
夏が帰り、今回の被害者の女性は中層まで攻略するような実力者だ。しかし今回は相手が悪かった。相性によっては、下層のモンスターと同等、それ以上になる。
そして私、
「なぜ帰した、志川」
この人は、上司にあたる
「今回はイレギュラーもイレギュラー。初めての探索でのイレギュラーとの交戦、そしてその戦いに勝利。それもおそらく上層のボスを討伐した後。ならば、肉体的にも精神的にも疲れ果てているはずです。あなたになら分かるでしょう?」
「待て、彼はボスまで倒していたのか?」
「彼が、提出していた魔石は合計20数個。そして一際大きいサイズの魔石が1つ、鑑定すれば分かるでしょう」
「そうか」
三上の顔には困惑と疲れが見える。それはそうだ。昨日は現れたイレギュラーの討伐。今日は合計1000人の人を面接しこっちも疲れ果てているはず。
「わかった。上にはどうにか言っておく。それにしても今回は、助けた相手が少し悪かった。まさか、配信者とは」
「彼の今後が楽しみですね」
「お前ほんといい性格してるな」
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