第2話

「最後にあなたの能力を調べます。なにか質問はありますか?」


「特にはないです」


「良かったです。それでは、この水晶に触れてください」


言われた通りに水晶に触れると、水晶が七色に光り最後には、元の色に戻った。


「これは、、、」


なにか、男性の試験官が言ったような気がするが気のせいだろう。自分の能力にワクワクしていた。


「おめでとうございます。あなたの能力は雷を扱うことの出来る能力です。これからはダンジョンに潜ることが出来るようになります」


「ありがとうございます。では失礼します」


深く礼をして部屋から退出した。







side 試験官


「まさか、自然を操る能力者を担当するなんてな」


「ええ、全くです。ですが、次の人には待ってもらわないといけませんね」


私の名前は志川しかわ 彩音あやね。今日は、ダンジョンに入る資格があるかを確かめるため、上司である三上みかみ 珀人はくとと試験官をしていた。


「あー、しかも今の子で10人目?今日もうそろ200人くらいは見たよね」


「そうですね」


そう、ダンジョンに入るにも国から認められなければいけない。身元を確認できるものや戦いに向いている能力かどうかなど。そして、その一定の条件に当てはまらなければダンジョンに入る資格すら与えられない。


「ともあれ、まずは自然を操る能力者が現れたことを本部に伝えなければ、今日は残業確定ですね」


「今日"も"の間違いだろ。はぁー、ただでさえ開いたばかりのダンジョンはが起きやすいって言うのに」


「お疲れ様です。さすがは元S級探索者。ダンジョンのことにはよく精通してらっしゃる」


「なんだ、イヤミか?」


この人は数年前までは探索者として、名を馳せていた。学生の頃は憧れたものだ。


「いえいえ。それより、もう次の人が来ますよ」


「覚えとけよ〜」


「187番の方呼んでください」


私は無視をして、係の人に声をかけた。果たして今回の合格者は何人になるのか。







side 夏


「ふう、何分かしか経ってないけど疲れたな」


俺は部屋を退出してから、待合室みたいなところで待っていた。すると


「鳴神夏様ー」


受付で名前を呼ばれた。もう結果が出たのかと少し驚いた。受付へ向かうとよくゲームで見る受付嬢のような人がいた。


「おめでとうございます、鳴神夏様。こちらが、あなたのライセンスです。それと少しで、探索者の心得という講習が開かれますが、参加されますか?」


「ありがとうございます。はい、参加させてもらいたいです」


ありがたい。ダンジョンのことなんか全く知らなかったから運がいい。




暫くすると、先程の受付嬢?的な人が来て、案内をしてくれた。


「失礼します」


入るとそこには、十数人のひとがいた。見たところ自分と同じ講習を受ける人達のようだ。


「揃ったな。それでは、これからダンジョンに関する一般常識と注意するべきことなどを話していく。よく聞くように」


1番前にいるガタイのいい男性がそういった。どうやら一番最後だったらしい。





「さて、こんなもんだ。聞きそびれたことや、分からないことはあるか?ないようだな。最後にもう一度重要なことを言うぞ。他の探索者のモンスターの横取りは厳禁。色々とめんどくさい事になるからな。そしてダンジョンに入る時は自己責任だ。怪我をしてもそれは自分の実力不足。それを踏まえて安全をしっかりと守って探索するように」



20分程で講習が終わった。あのガタイの良さで説明がとっても上手だった。教師向いてるよ。そして、どれだけダンジョンが危険かもよくわかった。とりあえず今日は少しだけ潜ってみよう。

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