第4話 ヴァルハラ(喜びの野)の宮殿にて



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 (オーディン!!! やってくれましたね!!)


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 喜びの野の宮殿の一室で、こめかみに青筋立ててプルプルしている一柱のヴァルキュリアがいた。


 ヴァルハラを望まず、戦士ではなく医療人として人命を助けるために転生したいという1つの魂を平和な日本に時を超えて転生させて21年。やっとこさ国家免許を取りいざこれからハッピーライフの始まり!って感じで来たのに、スタートで蹴躓かされた怒りは、半端なもんではない。


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「勇敢に戦い戦死した戦士の魂は、全てヴァルハラに召喚される!!例外は認めん!!」


 主神オーディンは雷神トール等の神々やヴァルキュリアたちを集めた( 謁見の間 )で玉座から立ち上がりドヤ顔で言い放ちやがった。


 マイヤーを転生させた張本人のヴァルキュリアの1柱・戦乙女エリカは思わず、仮にも主神であるオーディンを(箪笥の角に足の小指思い切りぶつけて悶え死ね!)と邪神ロキに本気で祈りを捧げて呪いそうになり焦って天井(無駄に高い)を仰いだ。


 (何が喜びの野よ。昼間はみんなで殺し合いまくり、夜になると全員復活して朝まで盛大な酒宴でバカ騒ぎを永遠に繰り返す性格破綻者の集団カルト以外の何物でもないじゃない。今は令和よ、れ・い・わ!コンプライアンスって知ってる?! 暗黒の中世でも毎日社長に電話で稼働率聞かれてつるし上げ食らう時代昭和のブラック介護会社でもないんだからね!)


 「彼の者の魂は、直ちに転生させた。麗しき中世の様で魔法や亜人・魔族の存在する異世界へ!その地で記憶を取り戻し、再びヴァルハラに召喚されるにふさわしき戦士となって勇敢に戦死させてやる事こそが、彼の者にとって最高の栄誉となるであろう。」


 オーディンはまるで、これこそが慈悲である、と言わんばかりの顔と大仰な仕草でそうのたまった。まるでオペラの役者のような自己陶酔感がやたらと鼻についてエリカは眉間の皺を更に深くした。


 (いいでしょう。オーディンよ。見てなさい、思い通りに彼の魂はもてあそばさせないから!)


 主神オーディンがその後酒宴に向かったのを確認したのち、エリカは行動を起こすのだった。


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