取引先変更のお知らせ

 ハーレムエンドでも活躍するダニエル・マルスンを落とすため騎士科をウロウロするものの全く会えず数日。こんなことなら編み物して在庫増やせばよかった!人としてはあまり好きではないから徒労感がすごいわね……馴染の商人から糸を仕入れ帰ろ。


 あれ?なんか閉館してる……今日休み?ついてないなー。まぁ毛糸自体はあるしいいか、新しい糸でなんかデザインの変わり種試したかったんだけどな。


 家について毛糸作業をしていると珍しく訪問客が来たようだった。通してと頼むとそこにいたのはシャリー・マッセマー。ゲームでめちゃ稼げるバイト先のオーナーだ、商会の一人娘で自身も商会を率いている。一応取り巻き枠だが商人として距離をっているようで断罪後にも描写はないあたり別に裁かれたりはしていないのだろう。


「こんにちわ、ウチはマッセマー商会の王都学院区支店長、今後は王国北部担当になりますシャーリー・マッセマーいいます、以後よろしゅう」

「ララです、よろしくお願いいします」

「早速やけどこれベルク商会の紹介状、確認してや」


 そこには以後の取引はマッセマー商会のシャーリーに引き継ぐ旨が書いてあった。何かあったのかしら?


「ウチんとこ降ろしてほしんやけど急な引き継ぎやし、断れても引き下がるしかないんやけども前と同じ金額でどうやろ?」

「いいですよ」

「ホンマ?じゃあ一般用は同じ金額で、貴族用は出来次第、新作も出来次第でお願いするわ。現状なにか売れるもんあるん?」

「新作のセーターが2つ」

「はーこれはなかなか……金貨100枚でええか?」

「えっ、2つで?それだと少し下がりますね……」

「いや1つや、つまり合計200枚やね」

「それは……ずいぶん上がりましたね……」

「これならそれは妥当やで、ほなこれからも継続取引お願いするでー。糸はベルク商会から卸してたん?」

「ここ数年は無償提供でした」

「ほなウチも無償提供や、店舗来て勝手に持ってってや。話は通しとくでー。ほな、さいなら」


 さっと来てさっと帰ってったわね。なんかゲームより感情が薄い気がするけど。警戒されてた?なんでまた……シャーリーとは交流もないし別に婚約者もいないはず……ゲームと違って出来てた?もしかして馴染の商人がそうだったのかしら?と考えていたが数日後に驚かされるニュースが入ってきた。



            王国北部商人組合解体

 先日王国北部商人組合が謀反の罪により解体された。最高幹部陣は捕縛され全員処刑されることとなった。売り先はバーゼル山脈の蛮族であり毛糸商品を売りさばき蛮族側の戦力を充実させライヒベルク公爵家に対する攻撃を意図したものと思われる。この計画には公爵家の一族が関わっており即日公爵家に処断された。蛮族側と協力したことは許されることではなく身内であっても切り捨てねばならぬとライヒベルク内務大臣は熱弁した。同時のこの計画に関わった貴族は処断する、庇うものは共犯とみなすと宣言をしておりイデリー宰相は謀反人を処断することには何もいえないが爵位を持つものを勝手に裁くことは許されないと反論。王国が公爵家を陥れるための攻撃であると内務大臣は対立姿勢を見せた。王国北部商人組合を唆したとして内務大臣はグリンド財務大臣を攻撃、王家にのみ提出したライヒベルク公爵家の内情書類が洩れていたこと、関わった公爵家の一族は公爵家の客間以外立ち入ることが出来なかったため管理元になっていた財務大臣の不手際を突いた。財務大臣は否認したものの書類がどこで洩れたのかは公爵側ではないことの見解は一致している。王家が流したか財務大臣の近辺から流れたものとして調査を進めているが新警察長官が宰相寄りであるため信用はできないと対立を深めている。



 攻略対象の父親が失脚しそうになってるじゃない!

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